お久しゅうございます。すっかりと書き散らしさぼり癖のついちまった感満載、猫木めにございます。
(´д`)
 
 
さて、そんな今宵のこちら。
過去にあれそれと書いたシリーズ?なつもりなものだったりしたり?
なんぞこれ?なタイトルでなんとなしに察してくださったあなた様は猫木ふぇち☆←壮絶にやなフェチズムだな。
ちと、せちがら現実とリンクっぽいですが……そんなでもどんなでも桶ー☆なお方さまはどうぞお付き合いをば。
 
 
 
 
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地下の駐車場から直通のエレベーターを使って最上階の自宅の玄関先まで。そんなたったそれだけの移動なのに、うっすらと滲む汗。
すっかりどっぷりと日の落ち切った夜の時間帯になったというのに、茹だるようだった昼間の暑さを残す熱帯夜。
長く暮らし慣れたと思えた筈なこの国独特みたいなじったり張り付くようやそんな不快感も、ぎゅうぎゅうぎっちりな過密スケジュールで仕事をこなして来た疲労感も……て
玄関のドアを開けたその瞬間に微塵も無くすっきりさっぱりとすべて、消えて失せる。
 
 
 
 
『マスクド・アンダー・アレゴリー☆』
 
 
 
 
自宅の玄関扉を開けたそこに、天使がいた。
「おかえりない」
風呂上がりなのだろう、お気に入りのパステルカラーのナイトウェアに少し湿り気を残した髪をした久遠の最愛の妻。
予定の時間より少し速く帰宅した久遠に驚いているのか、琥珀色の大きな瞳を少し丸くしながら出迎えてくれるその様子は最高にかわいい。
「女房と畳は新しい方がいい」だなんて馬鹿げた事を宣うやろうはうちの事務所のボスにラブミー部に入れられて矯正されてしまえばいいっ!!
だって、キョーコはいつもいつだっていくつになったとしても世界一かわいい俺の天使!!
温厚大人紳士成分を担当している「敦賀蓮」な外っ面をぺろっと玄関先に捨ててしまったらしき男は、無駄に優秀なその頭脳でもってそんな事を考える。
うちのお嫁さんマジ天使!な、そんなテンションなまま愛しい愛しい愛妻を腕に抱き締めようとしたのだけれど……
「お外から帰ったらすぐに手洗いとうがいっ!手洗いは30秒しっかりと指の間から手首までですよ?着替え持って来ますから、そのままお風呂入っちゃってください。」
昨今の世界的ウィルス性感染症の大流行。自分の夫を演劇界の神であり至宝と崇めるに躊躇いのないキョーコとしては、久遠の体調管理の為にもウィルス予防対策を怠る訳にはいかない!な徹底っぷり。
このままではおかえりなさいなキスもハグも絶対に許されやしない。
「了解」と、両手を上げて脱衣所へと向かう久遠の背中を追いかけるように「マスクは蓋付きのゴミ箱に捨ててくださいね」と愛妻のかわいい声がかかる。
感染拡大防止なせきエチケットの観点でもっても、近ごろめっきりと外出には欠かせなくなってしまっているマスクの下、しっかり者な頼りあるお嫁さんに愛されている喜びに久遠はその形の良い唇を緩ませるのだった。
 
 
 
 
お風呂上がり。最近のキョーコのオススメなのだと言うペパーミントティの爽やかな香り。柔らかなソファーの隣には最愛の妻。
大型な液晶テレビが映し出すのは、世界的な感染者の増大を知らせる報道番組。
先に明るくないニュースとは裏腹に居心地の良いリビングの寛いだ幸福な空間が酷く対比的だった。
「むぅぅ……梅雨の時期もでしたけど、これからも辛いですよね。」
むぅっと唇を尖らせるように不服を零す愛妻の声に、何が?と久遠はこてんと小首を傾げてみせる。
「マスク。これからどんどん暑くなるのに蒸れるじゃないですか?」
マスクと答えながら自分の口もとで両手の指で四角を作るポーズを取るキョーコの仕草のかわいさに唇を更にゆるゆるに緩ませる久遠。
とにかく何処へゆくにもマスクやフェイスシールド。密閉空間は避けて距離を取って。
今や当たり前みたいになってしまった感染予防。
「はやく収束して欲しいです。マスクしてるとお化粧だってすぐに崩れちゃいますし……」
ある意味では恋愛事タブーとされがちな人気商売な芸能界において、堂々と高らかに交際を公表し結婚後も抱かれたい男NO.1の座に君臨し続けた人気俳優。
そんな久遠の愛妻であるキョーコも好感度の高いマルチな活動を熟す人気タレント兼女優である。
顔の表情だけが演技として感情を伝えるすべてとは決して言わないが……演じる者としても芸能人としても、マスクで顔を隠すデメリットも十分に理解は出来る。
役を憑けるように難しい役所を見事に自分のものにしてしまう彼女を、カッティングを変えた原石の様に鮮やかに化て魅せる彼女を、役者として芸能界の先輩として、導き磨き輝かせたいと確かに思う。
思うのだけれど……
久遠は手に持っていたペパーミントティのグラスをローテーブルの上へと置くと、隣に座る愛しい妻の細い肩へ腕をまわすようにソファーの背へ腕を伸ばすと上半身を捻るようにキョーコの顔を覗き込む。
すっかりとリラックスしたプライベートの愛しい愛しい妻。
マスクなどせずに外出出来るようにはやくなれば良いと願いを語るピンク色の唇。
片想いの頃から触れたいと焦がれ続けた唇。その柔らかさも甘さも知って、今でやすっかり久遠のものだ。
けれど、それでも久遠だけが知っている夜の彼女の唇がどれ程にキュートでセクシーであるか……
そんな事をつらつらと考えながら、久遠の指はキョーコの下唇を思わせぶりな手つきでゆるりとなぞる。
「そうだね……はやく収まると、いいね。」
何故に今この話題とタイミングで夜の帝王が!?なんて思わぬ不意打ちへの驚きにきょどりと硬直するキョーコへと、低い声が同意を告げる。
上っ面だけで。
いや、人命的にも経済的にも被害の広がりは甚大で、本当にいちはやい収束を望んではいるのだ……だけど、でも、妻の愛らしい唇を有象無象の馬の骨どもの目から遮り隠してくれるマスクの存在は仄暗く久遠の独占欲を満たし喜ばせてしまっている事も、確かに彼の本音なのだ。
 
 
 
 
だって……唇は第二の性器だなんて言われてるじゃないか。
などと心の中で言い訳のように嘯きながら、久遠は彼の最愛の妻の唇へ触れるべく顔を寄せるのだった。
 
 
 
 
 
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はやく収束してほしいものですね……
遊びに旅行に、そしてなによりも……ら、ライブに行きたひのですよ。
_:(´ཀ`」 ∠):
 
 
 
壁|д')
かわいいかわいいお嫁さんの唇は俺だけのもの!な久遠くんが心の中でこっそりひっそりとビバ☆マスク!とかしてたら……かわいくないっすか?
どうだろう?
 
 
↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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