これにて終話☆
。゚✶ฺ.ヽ(*´∀`*)ノ✶゚ฺ
 
 
 
 
 
………………の、つもりだったんです、本気で。
_:(´ཀ`」 ∠):
あぁ、もう誰か猫木めにもう少しばかり先を見通す目と計画性を授けてくださいませ。
 
 
 
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少しだけ息苦しいような……身動きひとつ出来ない。なのに、優しいあたたかで柔らかな拘束。
酷く居心地のいいぬるま湯の中に囚われているようで。
あぁ、これは…………夢だ。
夢の中なのに、自分が深く眠ってしまっている事を自覚する。
いつ頃からだっただろう?
寝付きも寝起きも決して悪くはなかったはずなのに……月に何度か、こうやって起きようにも起きれぬ深い深い眠りに落ちてしまうようになってしまったのは。
いけない。こんなにも深く眠り込むだなんて。
だって、隣には……有事の際にはこの身を挺して護らねばならない、この国の太陽が眠っているなだから。
いけないと、もっと浅く張り詰めた睡眠へと浮かび上がらなければ……と、そう必死でもがくよう思うのに。どろりと、深い眠りがまとわりつくようで意識が覚醒出来ない。
いつもなら……そうだった。いつもなら……
 
 
 
 
 
ふわりと、何かに呼び起こされるかのように、どろりと重く深い眠りの底から意識が浮かび上がる。
深い夜の暗闇は刺客を闇に隠す助けになる、なので、王の寝室には常に薄っすらとした灯りが一晩中絶える事はない。
目を開ければ、見慣れた王の寝台の天蓋が映る……その筈が
キョーコの目に飛び込んで来たのは、まるで神が愛し創りたもうた芸術品のような整った顔立ち。それも酷く近距離で。
……え?
自分の身体の上、覆い被さるような体制でいるクオンにキョーコは驚き、けれど、次の瞬間にはすわ敵襲か!?と身を硬くするのだけれど……
「あぁ、襲撃ではないから安心して?」
ひそりと低い声が優しげに囁く。
それでも探ってみれば、確かに、部屋の中にクオンとキョーコ以外の誰かがいる気配はない。
けれど、ざわざわと産毛が逆立つように張り詰めてピリついた空気に何がなんだかわからないでいるキョーコの身体はすくんだまま。
「ねぇ?キョーコ」
甘く名を呼ぶ声の、その低さにふるっと組み敷かれた細い身体が小さく震える。
恐い。
素直にキョーコはそう思った。今まで、クオンを相手に感じた事のない感情。
薄暗い中、それでも分かる程に綺麗ににっこりと笑顔を浮かべているこの国の王にして、自分の夫。にこりと、楽しげに笑う。けれど、その笑顔を突き付けられているキョーコの心境はまさに、逃げ道のない行き止まりで天敵の獣を前にした仔うさぎのよう。
何だかさっぱりわからないけれど、本能的な危機感に背筋に冷たい汗が滲む。
「これは……何?」
覆い被さるクオンのせいでシーツの上で身動き出来ないままなキョーコの目の前に、ぺらりと差し出された羊皮紙。
 
 
 
サタケ・タケノリ ◯  イシバシ・ヒカル ◯
ダテ・ヒロアキ △   サガラ・キョウシロウ ×    ウエスギ・ヒオウ   ◎   フワ・ショータロー ××× シンガイ・セイジ △
 
 
 
そこに書かれた見慣れすぎた筆跡の文字列を目に入れたキョーコは、ひゅっと息を飲んだ。
見慣れもするだろう、なにせ自分の手によるものだ。
数日前に物書きビューローの引き出しに仕舞い込んだリスト。
それが、何故今ここに!?
それはキョーコが隠していた筈で。滅多に国王としての仕事を私室に持ち込まぬ王。だから、あの物書きビューローを使うのはキョーコくらいなもので……でも……引き出しに鍵はない。
何かのはずみにキョーコ以外の目に触れても、おかしくはない。いや、そうだとしても、でも何故……
 
 
 
 
何故、クオンはこんなにも怒っているか?
 
 
 
 
かわいい仔犬のように少し手のかかる弟のようだった筈が……今、幼子向けの絵本に出てきた魔王みたいな恐さをキョーコに見せている男。
その癖に、酷く優し気な手つきで、まるで宝物でも愛でるかのようにキョーコの頬を撫でる。
硬直したみたいな身体は身動きも出来ないで、震える唇から答えを返す事も出来ない。
そんなキョーコを見下ろして、クオンはにぃっと笑みを深めいたぶるように告げた。
「キョーコの『王子さま』の候補リスト?◎のヤツが本命?」
低い低い声で。
ひぃっ!とキョーコの唇からとうとう悲鳴じみた声が漏れ出た。
まぁ、仕方がないのかもしれない。当のキョーコにしてみれば、寝起きの唐突に大魔王がどアップにて脅してこられてしまったかのような心境で。しかも、その上それが幼い頃からかわいがって弟のように大切にしてきた相手で。
……へ?え?へ?……わたし…の『王子さま』?……◎がほんめい?いや、本命と言えばそうなんですけど…
「あぁ、そう……やっぱり。俺を、捨てるんだ?」
混乱したキョーコが頭の中でぐるぐると考えていた事は、ぽろっと口から声として溢れてしまっていて。
魔王から笑顔が消えた。笑顔の癖に激怒の感情がピリピリと滲ませた相手に凄まれるのも恐いが、その笑みさえ抜け落ちたとなれば……もっと、恐い。それが、秀麗がまでに酷く整った容姿をしているとならば、更に。
それでも、クオンを捨てるとの言葉に対し、キョーコはふるふると首を左右に振る。
ほぼ条件反射のように。
「嘘吐き。こっちのリストの女のどれかに俺を押しつけて……『王子さま』のとこへ逃げるつもりだったんだろう?」
キョーコがビューローの引き出しに隠した筈だった、クオンと釣り合う年頃の国内の主な令嬢から国外の王族の姫までの名をリストアップしたもう一枚の羊皮紙がキョーコの裏切りを責めるように詰るみたいに目の前へぺらぺらとかざされるけれど、キョーコの目はそんなものよりも、自分を見下ろすクオンにまっすぐと搦めとられるかのよう。
 
 
 
 
 
 
 
冷たく仄暗い怒りの中、捨てられた仔犬みたいなどこか縋るような色を称えた翠色の瞳に。
 
 
 
 
 
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キョコ王妃の本命は飛鷹くんらしいのですよ☆
離縁上等☆本命準備ばっちりされちゃったらしき、わんこな王さまやどうするどうするー?
 
 
 
次回、猫木はじめてのヒオ×キョコ!?
 
 
 
↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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