はてさて、この前に5年越しでお終いにした「飛んで火にいる食育ハニー。」なお話。
その要らないおまけ的な?そんなしろものにてございますのよ?
 
 
萌えもキュンもないあほ話ゆえ、なんでも桶ー☆なお方はどうぞよろしゅうにお付き合いをば。
_(:3 」∠)_
 
 
 
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何か間違ってる気がするって?
何にも間違ってやいないよ。
だって、俺の食育が目的なんだろう?
 
 
 
 
なら、なんの問題もない。
きちんと、美味しく楽しく、食べてみせているのだからさ。
 
 
「あぁぁ……うぅ〜」
今日のごはんも美味しかった、ご馳走さまと、そう心から目の前の彼女へ向けて告げると返ってきたのはそんな鳴き声。
最上さんの俺への食育プロジェクトに気が付いてから2ヶ月。
今日も今日とて、彼女の言う食事の楽しみを満喫したところ。
きちんと完食しましたとも。
ただでさえ美味しい彼女の手作りのお弁当。
更にその上、『こっちの方が絶対に美味しく楽しく、食べられる』と、そう熱烈なまでに主張して願って強請って駄々を捏ねて……マネージャーから白い目で見られるそんな甲斐があってな、膝の上に抱っこでもってなはい、あーんと食べさせもらえる昼食。
例え、それがあの余り思い出したくないような破壊的な味の母の手料理だったとしてもおかわりだって出来そうだ。
 
 
 
 
なのに、最上さんは言うのだ。この食育は何か間違ってる気がするだなんて。
食の楽しみではなく、いじめっ子的な楽しみ方をされている気がするだなんて……
 
 
 
 
何が?どこが!?
「あんまり度が過ぎるとセクハラになるぞ?」なんて社さんは言うけれど、膝の上に乗るくらい前にもしてもらった事(ヒール兄妹演技中ではあるけど)があるし、食べさせ終わったその瞬間にしゅばっ!と凄い勢いでもって膝の上から逃げていく最上さんをぎゅっと捕まえるのを我慢してる事を褒めて欲しいくらいなのに。
「だってさぁ、蓮くんが積極的に食べるようになったのって、キョーコちゃんとの食事かキョーコちゃんの手作りか、さっきみたいにキョーコちゃんに食べさせてもらえる時だけで、その他は寧ろ悪化してないか?」
………………。
じと目をした社さんに厳しくそう指摘されてしまう。
ぐっ……反論が出来ない。
仕方がないじゃないか!俺の食の楽しみ=最上さんなのだから。
それに、俺が最上さんのいない時まで自主的に食事なんてするようになれば……食育プロジェクト完了って事になって、俺の日々の潤いがっ!!
「それにさぁ……来週から撮影で半月離島に缶詰めな予定だろ?キョーコちゃんにだって仕事があるんだから無理はさせられないからな!」
重ねての指摘。
俺だって、仕事に私生活にと何かとスケジュールの詰まった彼女に無茶を頼むつもりなんてありませんよ、とそんな事を思っていると、最上さんがさも良いアイディアを思い付いたとばかりにぽんと手を打って言うのだ。
 
 
 
「社さんは同行されるんですよね?だったら、社さんが代わりに……」
 
 
 
だと。
いやいやいや、ちょっと待ってくれ。
「何が悲しくてマネージャーに……それも、成人男性を膝に……」
唐突に食育の一員に引っ張り込まれた社さんが、無理無理無理っ!!と激しく頭を左右に振っている。
同感です。想像もしたくない……絵面が酷すぎる。
断然拒否で却下な、そんなこちらの反応に、それでも重ねて提案をする。
「…………では、誰か……女性の方に頼んで……」
共演者かスタッフか、最上さんではない他の誰かな女性に、頼んで食べさせてもらえばいいと。
片想いを募らせている身からすれば、身勝手に腹が立つようなそんな提案。
だけど、ぽしょぽしょと呟くみたいな声は小さく。うにゅっと下がった眉。晒された目に浮かぶ色はどこか辛そうで……
まるで……そう、まるで、他の女が俺の膝に乗って食べさせるのを嫌がっている、みたいな。
もしかしたら……嫉妬してくれているんだろうか?
あぁ、相手はあの恋愛拒絶のラブミー部員な彼女で、いつもの天国から地獄な展開かもしてないってのに。一度そう思えてしまえば、脳内名医が投薬してくれた筈の学習能力の効力はどこへやら、だ。
食育問題な手のかかる先輩を後輩として思いやって、なそれだけ?
 
 
 
 
「フレームアウトな不正なんてないように、いただきますからごちそうさままで、ムービーを撮ってもらうから」
俺の口から滑り出たのは、グアムでひとりになる前に、放置すれば酒かタバコしか摂取しないだろう兄を心配した妹から厳命された食事記録のムービー。
けどさ?
食事の楽しみを教える為な『食育プロジェクト』なんだろう?
馬の鼻先に人参って訳ではないけど……
「一日三食きっちり。一食も抜かさないでな合格をもらえたらさ……ご褒美、くれる?」
目先の楽しみがないと、ね?
こてっと首を傾げ、約束を願うように最上さんの顔を覗き込んで強請れば、
「ご、ほうびって…………。あの、その……駆け出しぺーぺーなわたくしめの稼ぎでは、セレブリティ敦賀さまにご満足いただけるような品をご用意出来るとは…」
なんでそうなるのか?さぁっと顔色を青くして最上さんは口籠るようにもごもごとそう言う。
「大丈夫。必要なものはこっちで準備するから」
後輩の、それも女の子にたかるようなマネをするつもりはない。
褒美を寄越せと言った癖にものはこちらが用意すると告げてやれば、クエッションマークを浮かべながら小首を傾げて訝しむ彼女に今一度はっきりと乞う。
 
 
 
 
「だから、サインください。」
 
 
 
 
にっこりと笑って。
CMからドラマに映画、更にはタレントまでこなす芸能人な彼女。ファンに頼まれてやら打ち上げで訪れた店からとか取材やらなんやでと、まぁ、サインを書いてくれと色紙を片手にそう頼まれた経験だってあっただろう。
けど、俺からサインを強請られるとは思ってもいなかった様子な最上さん。まんまると目をまるくして戸惑っているのがかわいい。
「サイン?私……の、ですか?」
もちろんと、頷いてみせて。
追い討ちのように『ご褒美』の約束なしでは、食事のムービーどころか、いつも通りな彼女の食育なしの時の杜撰な食生活を貫いてやるつもりだと、そう暗に語ってみせるように、にっこりと微笑みを深くしてみせてやる。
 
 
 
 
ひといちばいに俺の食育に勤しむ彼女のこと、三食しっかりと食事を取る事とサインひとつを引き換えに強請れば、どれだけおかしいと不振に思おうとも……頷いてくれる事だろう。
 
 
 
 
この国のものだと、判子も必要なんだっけ?まぁ、用紙と一緒にこっちで準備してしまえばいい。
 
 
 
 
 
さぁ、君に一生『食育』してもらえる権利を強請りとってしまおうか。
 
 
 
 
 
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猫木のところの知能指数低めな敦賀さんは、何故やらか恋人になって欲しいと告白するよりも先に、騙し打ち的に確実に自分に縛り付ける物証を得ようとなさりやがる……。
いや、その前に言う事あんだろ?って感じが凄い。ヘタれ?なのか……いや、違う気がする。
_:(´ཀ`」 ∠):
 
 
 
作者の知能指数以上に賢い登場人物は書けないって本当ですね。
敦賀さんがすっかりとあほの子に……
ァ,、'`( ꒪Д꒪),、'`'`,、
 
 
 
とっぺんぱらりんのぷう。
 
 
 
↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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