我が家な6周年のお遊び6周年だったので6面体ん中へと閉じ込めてみようかと。からな続きとなっておりますのよー☆
 
他のおへやとは別な世界線でのお話でっす!!ってやつは今回は書かなくても読めば解っていただけるかと。
 
 
 
✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄
 
 
 
………………やっぱりぃぃぃぃ!だって、おかしいと思ったんですよ!?
キョーコは白いプラスチックプレートを片手に頭を抱えそう嘆く。
唐突に、どうやら拉致され閉じ込められたらしきこの部屋。
まるで6面体の中のように真っ白で何ひとつないこの部屋の中に唯一、この部屋の脱出へのヒントを示しているのだろうそれ。
『この部屋は◯◯しないと出られない部屋です。』なんてそんな悪ふざけのような一文のみがプリントされたそれは、キョーコの手を待っていたかのように酷くあっさりと壁から剥がれ取れた。
その裏面に書かれていた脱出の条件は
 
 
 
 
秘密の暴露。それと……
 
 
 
 
白いプラスチックプレートの裏側に添えるように加え書きされただろう一文。
それによってキョーコはこの一連の拉致監禁ハプニングを企て実行しただろう黒幕を理解してしまった。
はぁぁぁぁぁと、キョーコの唇から零れ落ちた大きな大きなため息。
そして、そのため息と同じような大きさで小さく狭い部屋に響く、苦しげで低い呻き声。
キョーコが立つ白いプレートの貼り付けられていた壁から反対側の壁沿い、そこに呻き声の発生源はいた。
真っ白な壁にもたれ掛かるようにぐったりと、それでいてなんとも中途半端な中腰のなんとも情けない格好でいる彼、実はカリスマロックスターだなんて謳われている不破尚である。
まぁ、尚だって好き好んでそんななんともしんどい体勢でいる訳ではないのだ。
不破尚、彼もまたキョーコと同じく気が付くとこの部屋に拉致された閉じ込め被害者だった。
そんな彼が何故呻き声なんぞあげているのか?
その答えは、彼を取り巻きくすくすと楽しげにせせら嗤う小さく黒い存在の所為であった。
つまり、キョーコの怨みつらみの具現化した怨キョコたちが引き起こす金縛りによって身動きひとつ出来ないありさまとなっているのである。
「キョ……コ、てめぇ……いい加減に」
身体をギリギリと締め上げられるかのような重い苦しい痛い怖いな金縛り状態の中、それでもなんとか元凶たるキョーコへ向けて唸り声混じりな抗議の声を上げる尚。ある意味怨キョの被害も慣れたものとも言えよう。
だが、そんな超常現象で苦行の真っ只中な尚など目の端にも入れないままキョーコは白いプレートを手に
「いつもの過剰装飾奇抜万歳な派手っぷりはどうしたんですか?なんですか?もしかして、どろどろ人間関係ありないろものデスゲームものにでもハマったりしたんですか?あーもうっ!魔王さまに怒られる……ならまだしも、拗ねられたりしたら、どうしてくれるんですかっ!?」
なんてぶつくさと呟いてみたりなんぞしていたのだけれど……
はぁぁっと、またひとつため息を吐き出すと、さもしぶしぶに仕方がないと言った素振りで尚へと顔を向けると、秘密の暴露を口にしたのだった。
 
 
 
 
「敦賀さんの膝を矢で射抜いたのよ。」
 
 
 
 
だなんて、なんだか物騒なような表現でもって。
はぁ?と尚の口からは何言ってんだこいつ?的な声が漏れる。
だって、そうであろう?
尚としては自分を差し置き芸能界一ほにゃららな男なんて言われてやがる敦賀蓮など膝だろうが腕だろうが矢で射られようがざまぁみろ!なくらいには気に食わぬ存在ではあれど……偉大なる大先輩だとか演技の神だとかまでに崇拝していたキョーコがその蓮へ害意を向け矢で射抜くだなんてあり得るのだろうか?
そもそもだ。認めたくはないが、ほんのちょっとした事だろうが話題になりやすい人気俳優が、それも膝を矢で射抜かれるだなんて大怪我だ。大々的にニュースにならない訳などないのに、そんな話は微塵も聞いた覚えがない。
おかしいじゃないか?
はぁ?と、芸能人らしからぬ間抜けたようは怪訝な顔を晒してしまっている尚をしりめに、キョーコは自分の首もとからチェーンを引き出す。
「これで、わかるでしょう?」
見せつけるようにこれ見よがしに、シンプルなカットソーから引き出されたネックレスが尚の視界でゆらゆらと揺れる。
女物にしては長めのチェーンにごつめのペンダントトップには、見覚えがあった。
いつだったか……確か、尚が芸能界いち気に食わないあの野郎がプライベートでは常に身に付けていたマインドアイテムを思わせぶりに外していただとかで話題になっていた筈な、それ。
ペンダントの持ち主が敦賀蓮であり、そしてそれをキョーコが身に付けている。
余りにも意味深なその取り合わせに、尚の感情は振り切れる。お気に入りのおもちゃを取り上げられた幼な子のような我慢のならない怒りのまま声を荒げようとした……
苛つきを乗せて吐き出していつものように挑発して否定させてやろうと、そう。
けれど、キョーコがたいせつそうに持つペンダント。そのチェーンに通されペンダントトップにちょこんと乗っかるようにあるその存在に気が付いてしまった。
ペンダントと同素材だろう煌めきの細身のリング。小さな女物の指輪に愛を誓う宝石。
どう見ても、本気を思わせる指輪。
膝を矢で射られた。北欧系で使われる最愛を前に片膝をつきプロポーズをしたと意味される慣用表現だ。
キョーコが蓮に躓いたのではなく、蓮がキョーコへ膝を付き乞うたのだと、そう突き付けられ言葉を飲む。
キョーコが指輪を持っている事は、そのまま蓮からのプロポーズを受けたのだと物語る。
それが、キョーコの秘密の暴露。
いつの間にか、怨キョたちによる金縛りも消えていた筈なのに……
それでも、指さきひとつ動かせないでいたのは、目の前のキョーコの微笑みに目と意識を奪われてしまったからか。
幸せそうに微笑むその表情をキョーコにさせたのは自分ではなく……あの男なのだと。
 
 
 
 
ぐっと奥歯を噛んでしまう尚を置き去りに、キョーコの秘密の暴露によって、今まで何も無かったはずの白い壁に脱出の為の出口が現れる。
それなのに、尚の身体は鉛でも詰まったかのように重く動かせないままで。
なのに、キョーコはその出口へと一歩を踏み出しかけ……そこでぴたりと止まると尚へと振り返ると口にしたのだった。
「あ、復讐もやめるわ。」
だなんて、なんて事ないまるで今日の天気の話でもするみたいにけろっと。
どろどろとした恨みなど少しも感じさせたい顔でもって。
「あんたのした事を許した訳じゃないけど……そんな事よりも追い掛けたいものあるの。」
演りたい役も受けたい仕事もまだまだたくさんあるのだと、キラキラとした瞳で語ってみせるキョーコ。尚ではない、何処かへ、誰かへとその瞳を真っ直ぐに向けながら。
「それに…………かわいそうじゃない。あんたのこと好きだった、昔の私が。」
いつの頃からか歪な依存へと変わってしまったけれど、確かに。そう、確かに。大切な妖精の友達に呼び捨てを拒むくらい幼い頃は、そばにいてくれたあの幼馴染みの男の子のことが純粋にただ好きだったのだから。
いつまでも、復讐になんて囚われていてはいけないのだと。
小さな声で付け足して。その癖、
「今のは秘密!秘密なんですからねっ!!」
と、誰にともなく大きな声で訴えたりなんぞするのだ。
「じゃぁね、ショータロー」
ひらりと手を振って、この何もない部屋から出てゆくキョーコ。
よく知った幼馴染みの筈なのに、尚が知らないような表情で。胸元にペンダントと指輪を揺らしながら。
その名前で呼ぶなと、いつものようにそう言い返す事も出来ない尚を置き去りに。
 
 
 
あとに取り残されたロックスターと白いプラスチックプレート。
秘密の暴露。とそうレタリングプリントされたそこには、尚には見慣れぬ手書きの文字でこう付け足されてあった。
『ラブミー部卒業ついでだ、復讐も卒業してしまいなさい。』
真っ白な壁に背中でもたれ掛かったままずるずると床へ座り込み顔を深く俯かせた尚。
取り巻いていた怨キョの気配も消え失せた……その筈なのに、数日前に買ったばかりのおろしたてなシャツに皺が寄る程ぎゅうと強く握り締めて、酷く軋むような胸を押さえる。
 
 
 
「ちくしょう…………痛ぇ。」
 
 
 
 
 
ぐっと噛んだ歯を縫うように喉の奥から呻くようにやっと絞り出された、そんな小さな声が、ぽつりと白い部屋に落ちた。
 
 
 
 
 
 
 
✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄
 
 
 
 
6面体ん中に入れちゃうの、蓮さんキョコちゃん以外のもあってもよくない?なんて、そんな猫木の思い付きのもと詰め込まれた松くんとキョコちゃんでしたとさ。
あと、これ系では秘密の暴露ってありがちかなと。けど、妖精バレも坊バレもちょっとお話作りきれなくて、こんなしろものに。
時系列的には原作のあたりから2〜3年後くらいって感じで。
_(:3 」∠)_
 
 
 
むきになったりもしないで、素直に幼い初恋だったとかさらっと今さら認められちゃったりする方がダメージ大きそうじゃないですか?フラれてもないのに引きずる痛さ……みたいな?
あとあと、蓮さんに知られて拗ねられるとかもよしかなと。
ァ,、'`( ꒪Д꒪),、'`'`,、
 
 
 
次回→ごへやめ。さて、どうしよっかしら?←のーぷらーん
 
 
 
↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


web拍手 by FC2