「ふふふんふ、ふふふん〜♪」
口から溢れるのは、我ながら浮かれた鼻歌。誰かに聞かれたら選曲が古くさいなんて言われそうだけど、気にしない。
だって、高級タワーマンション最上階の広々と広大なるこのお部屋には私しかいないんだもん。
どこもかしこもセレブでゴージャスティックな香りしかしないインテリアなお部屋には不釣り合いにチープだけど、ダイニングテーブルの上には小さなクリスマスツリー。
頭にはちょこんと真っ赤なサンタ帽なんかも乗っけちゃって……
目に見えてはしゃいじゃってますよ？あからさまに浮かれちゃってますよ？
でも、仕方ないじゃない。はじめてなんだもん。
恋人と過ごす特別なクリスマス。
年末のかきいれどき。
まだまだひよっこぺーぺーなタレント兼女優な私はまだしも、事務所の看板俳優なあのお方のスケジュールはもちろん隙間なくぎっちりぎゅうぎゅうで。
だけど、それでも……日付けの変わる前には帰るから家で待ってて欲しいって言ってくださったの！！
ただでさえ食の細い問題児。
丸ごとなローストキチンなんてのは無理でも、サラダにスープやちょっと摘める程度にささやかななクリスマスディナー。
夜の遅い時間だけど、甘さ控えめに焼いた小さなケーキに鞄の中にはラッピングまで限界拘ったつもりなプレゼント。
寧ろ、盛り上がり本番は当日よりもイブの夜だなんて言われちゃってたとしても、気にしない気にしない。
お付き合いしてから、はじめての……その…………こ、こここ恋人っぽいイベントなんだからっ！！
恋人はサンタクロースなのですよ！
いや、あの産まれながらにセレブなお方をサンタ扱いした日には、受け取るのに手の震えが治らないような贈り物をなされそうなので、それはやめておきましょう。所帯臭い庶民派な私の心の平穏を守るにはその方が良さそうですゆえに！！
なんてひとりでやっているうちに、ピピッと玄関で電子キーの解錠される音。
パタパタと足音をさせながら向かった先には、神の寵児たる麗しくも眩しい笑顔。
浄化されて乾涸びるっ！！とは思いつつも、今宵はここが踏ん張りどころな訳ですもの。
にっこりと笑って告げるのですよ。
いつもの「おかえりなさい」とは違った今日だけに許されたお決まりな台詞をっ！
「Merry Christmas！敦賀さん」
お約束ですよね！
そりゃぁもう一日中たくさんの方から告げられているとは思いますが、やっぱり押さえておきたいお約束。
なのに……何故っ！？
何故に、ここでキュラめいた微笑みに！？
甘やかして柔らかだった笑みから一転、ちょっぴりぐっさりとする例のあの微笑みへ。
そして、綺麗な孤を描く唇から落とされたのは……
「違う。」
との、ダメ出しなお言葉。
「クリスマスなんてどうだっていい。」
吐き出された低い声。
はじめての恋人っぽいイベントだ！なんて浮かれ上がっていた心臓に氷水を浴びせられたみたい。
期待して膨らんでいた気持ちがぷしゅうと押し潰されて萎んでゆく。
子どもみたいに、はじゃいじゃって…………呆れてられた？きら……われ、た？
ただでさえ釣り合ってない、私と敦賀さん。
もううんざりだって……思われた？
深く深く俯いて唇を噛む。
それでも、涙が滲みそうになってしまった、その時だった。
ふわりと香る敦賀セラピー。
「世界中で祝われてる男が生まれたかどうかな日なんてどうでもいい。俺にとって今日は、君が産まれた日だ。クリスマスなんかより君の誕生日の方が大事。」
ぎゅうっと、強く抱き込まれた腕の中。
ドキドキと速い鼓動の音。頬が焼けるみたいに熱い。
ちゅっと、額に落とされたくちづけにひゃぁって口から溢れた間抜けた小さな声に、くすりと笑う気配。
ぎゅうぎゅうと抱き締められたまま、とろりと甘い甘い蜂蜜みたいな愛しい声が耳のすぐそばで紡ぐ。
Happy birthday , my love .
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キョコたんハピバー☆
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な、勢いだけで思い付きから出来上がりまで約２時間！な、そんな感じのやっつけ仕事にて出来上がったのがこちらだったりします。
お付き合いはじめたばっか、そんな初々カップルなかわいい感じのが書きたかった筈。
クリスマスだぁー！って浮かれる彼女キョコさんと、クリスマスなんかより愛しい愛しい恋人の誕生日に気持ちがいっぱいいっぱいな彼氏蓮くん的な？
_(:3 」∠)_
おそまつでしたっ！！
↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。
