人に「理学療法士をしています」と言うと自分の手応えでは30%位の人が何と無くどんな仕事か分かってくれてる感じがします。まだまだ認知度が高いとは言えない職種なんだなーとそんな時に感じます。

「病院でリハビリをする人の横にいる…」と補足するとだいたいの人がピンときた顔をするので、理学療法士=リハビリ専門職 というイメージの結び付きが弱いのがネックなのかなーと書きながら思ってきましたが、自分が理学療法士になる経緯などをつらつら書いてみます。

音楽に打ち込んでいた自分が歌から離れてしまったのは2008年の事。この一年前からフォーカルジストニアの症状に悩まされていました。

フォーカルジストニアはザックリ言うと脳の病気です。

こう書くと怖い感じですが、可塑的な症状で治療方法も幾つかあります。

一番この病気で代表的なのが書痙というもので、ペンなどで物を書く職業の人が上手く字がかけなくなったりします。

ミュージシャンもあらゆる楽器の演奏者が悩まされ、身体のどの部分でも起こりうるものです。

筆で字を綺麗に書く、演奏に繊細さを求めるなど、細かい作業を必要とすると脳の中で広い領域を使うようになり、それがこれ以上拡大出来なくなると、余計な身体の部分まで同時に動かしてしまうようになります。

診断を受けた訳ではないので推測、仮説の域はでませんが、自分は声帯の緊張を司る脳の領域が広がり過ぎて高音を出そうとすると掠れ、ひっくりかえり、声が出ないというのに悩まされました。

近年コブクロの小渕さんも同じ症状になり回復されたので、良い医療機関なりリハビリ方法があったのだと思います。

当時はどの病院で診てもらえるかよく分からず、プロボーカリストとしての道を断念しました。


次の職業を考えていた時に、身近にリハビリテーションの関係者が何人かいて理学療法士という職業を知ることになりました。

自分がそういった当時はよく分からない病気になった経験から、患者に寄り添う事の出来る治療者になれる道があると言うのは魅力がありました。

2009年に専門学校へ入学し、留年することもなく(笑)無事に卒業、2012年国家試験に合格、資格を取得しました。

学校を卒業するためには病院、施設での実習が合計半年あるのですが、睡眠時間の面では厳しいながらも暖かく的確な指導を先輩の理学療法士の方々にして頂きました。特に恩師と呼べる方々に出会えたのは自分の人生で掛け値なしに宝物と言えます。

特に2011年の青森県の実習先では、スーパーバイザーという理学療法士の先輩が

「歌やってたの?じゃあ歌ってよ!!」

というとてもウェルカムな状況(歓送迎会などイベントがある度に「ギター持って来て」と言ってくれたり 笑)を作ってくれる人で、何も気負わずに音楽や歌を楽しめるんだって事を思い出すきっかけを作ってくれました。

その実習と同時期に勉強した解剖学、生理学、運動学の知識、フォーカルジストニアの治療に有効とされているメソッドの勉強、自分が持っていた歌う時の身体の使い方がリンクし始めました。

こんな事を言って良いのかわかりませんが、ボーカリストとしての自分を理学療法士としての自分が治療、またはコンディショニングし始めたというのが自分の実感です。



その後も学校に通いながら、働きながら音楽活動を進めていく中で、自分の声のコントロールが再獲得されて行くのを実感しました。というより今もまだまだしています。

今では最盛期(自分で言うのもアレですが笑)→http://youtu.be/i10NO-TR9KM

よりも音域が広がりつつあります。
要望があれば(多分なくても)自己流のメソッドにはなりますが、具体的にどんな事をしているのか、ここに書いて行こうと思います。

自分のフォーカルジストニアの話がメインになってしまいましたが、自分で実感した分、理学療法の素晴らしさを自信を持って患者さんに提供できる、と信じて日々仕事できています。

理学療法士としての自分を支えてくれている全ての人に感謝します。


日本理学療法士協会ホームページ
http://www.japanpt.or.jp