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今から2週間前の8月29日(木)、
メデジン市長がテレビで
市内の小中高大学すべての教育機関の
午後2時以降の授業をキャンセルし、
生徒を家に帰すよう指示した。

私が勤務するEAFIT大学も例外ではない。


前日から不穏なうわさはあった。
国際空港があるリオネグロとメデジン間の
道路が封鎖されるから、空港との行き来ができなくなる、
とかセントロや国立大学で暴動が起きるから
近寄るな、とか周囲の友人から忠告を受け、
朝はピリピリとした雰囲気の中出勤した。


お昼の12時からのクラスには
リオネグロから通ってきている女子学生がいるが、
彼女はやはり欠席。

そして授業中に何度も他のクラスの学生から
携帯に電話が入り、
「危ないからすぐうちに帰った方がいいです」
「今帰らないと交通手段がなくなるから、
クラスの学生も帰した方がいいです」
と忠告をしてくれる。

その度に言語センターの上司に
確認したが、上司は
「今相談してるからちょっと待ってて」
と言うだけで、なかなか学生達を帰していい、
という許可が出ない。
学生達に不安そうな顔が広がる。


セントロ近くにいた学生から
「セントロのお店は全部閉まってる。
アンティオキア大学付近ではpapas bomba
(ジャガイモ型の手作り爆弾)が投げられている」
という電話が入った時点で、
授業の終了時間までまだ30分以上残っていたが、
これはもう帰すしかないな、と
キャンセルを決定し、学生を帰し、上司に伝えると、
ちょうど会議で今日の午後の授業のキャンセルが
決定したところだったようで、
私もすぐ帰るように言われる。

EAFIT大学はお金持ちの子どもが通う、
私立大学なので、
国立大学のように構内でデモを行う学生はいないし、
周囲も落ち着いているので、
大学の中にいるといつも通りで、
特に「非常事態」という感じはしない。


幸い私のアパートまでの路線バスも動いていて、
無事に家までたどり着く。


でももしかしてもしかすると、
しばらくアパートに引きこもらないといけなくなるかも、
と心配になり、買出しのためすぐ近くのスーパーに向かう。
セントロのお店は全部閉まっている、
との情報だったが、ここのスーパーは開いていた!
お米や野菜、お肉、シリアルなど
1週間くらい引きこもっても大丈夫なだけの
食材を買い込み、アパートに戻ってやっと
ひと息つくことができた。


青年海外協力隊時代も含めると、
コロンビア生活はもう6年になるが、
ここまで大きなストライキがあって、
仕事が休みになったのは初めてのこと。

後で聞いたところによると、
エクアドルやベネズエラ、
パナマなどに抜ける国境地帯の道路は
すべて封鎖されていたらしい。

この大規模ストライキは
アメリカとの自由貿易協定(TLC)の見直しを
求める農民たちのデモをきっかけに
バスやトラックの運転手、
教育関係者、学生などに飛び火したらしい↓

コロンビア全国ストライキ


私がおもしろいと思うのは
学生や周囲の一般のコロンビア人、
新聞などがこのストライキに比較的好意的なこと。

もちろん、暴動や道路封鎖などは良くない、
という意見が多いものの、
デモやストライキ自体は「応援している」という
学生が多い。

$メデジン日本語クラブへようこそ!


女子学生の一人は今回の経緯をこう説明した。

「コロンビアの農家の人たちは今まで先祖代々
伝えられた方法で種籾を大切に保存して、
いいお米を育ててきた。

でもTLCが結ばれたため、アメリカは
アメリカの基準を満たした種籾、
アメリカの規定の審査を通った種籾しか
使用してはいけない、と言って、
それ以外の種籾は認められないことになった。

コロンビア政府はそれを受けて、
警察を農村地帯に派遣し、
各農家が大切に保存していた種籾を集めて焼いてしまった。

コロンビアにはアメリカがいう種籾の審査をするような
機関も技術もないので、要は農家の人はみんな
アメリカの会社の高い種籾を買え、ということ。

大切にしていた種籾をごみくずにされ、
さらに経済的負担を強いられた
農家の人達が怒って、
それで今回のデモに発展したんだよ」


日本にもコロンビアと同様のTPPという問題がある。

日本にももちろん反対運動をしている方は
いると思う。

それでも「和」を大切にする日本国民は
道路封鎖や暴動などの強行手段に訴えることは
まずないだろうし、
それはすばらしいことだと思う。
事実、東日本大震災の際の日本人の
落ち着いた行動と良識は世界中の人々に
驚きをもって賞賛された。


しかし日本人は、
自分とは直接関係がない、
一般市民や学生が国と国との自由貿易協定に
関心を示し、農家の人々に対する不公正に怒りを感じ、
自らも立ち上がる、あるいは応援する、という
行動もまたとらないだろう。


コロンビア政府はストライキ指導者との
対話を開始した。



ストライキやデモと暴動の垣根はあいまいで、
ラテンの人々の熱さは時に暴走し、
死傷者を出すこともある。
関係がない商店などへの略奪が始まることもある。

なのでスト側が一概に被害者で、
正義がある、と言いきることはできないが、
あきらめないことで、
行動することで、農民の声は政府に届いた。
TLCが今後どうなるかはわからないが、
政府はとりあえず国民の怒りを受け止め、
話し合いのテーブルについた。


今回のストライキでは怖い思いや不便な思いもしたが、
市民の声が政府に届く、
人が国を動かすことができる、
ということを証明できたのは
民主主義国家としては一つの希望なのではないだろうか。


メデジン日本語クラブへようこそ!

メデジン日本語クラブへようこそ!



市民の声、
と言えばコロンビアとはまったく関係がないが、
パキスタンのこの少女を
忘れるわけにはいかない。


マララ・ユスフザイさん↓






国連スピーチ(2013年7月12日)↓



「親愛なる少年少女のみなさん、
私は誰にも抗議していません。
タリバンや他のテロリストグループへの
個人的な復讐心から、ここでスピーチを
しているわけでもありません。

ここで話している目的は、すべての子どもたちに教育が
与えられる権利をはっきりと主張することにあります。
すべての過激派、とりわけタリバンの息子や娘たちの
ために教育が必要だと思うのです」


スピーチ全文(日本語訳)


彼女に関しては、
カメラマンであり、調理師であり、
日本に二度と帰らない旅人であり、
そして私の友人でもあるTomoさんの
ブログを読んでいただきたい。

「マララ・ユスフザイ、カイナト・アフマド...少女たちの闘い...」


Tomoさんのブログは
内容も文章も一筋縄ではいかない。
難解で、長文で、
でも非常にユニークで、
コアなファンが多い。

噛みごたえのある文章を読みたい方は
ぜひご一読を↓

「反骨の扉Ⅲ」



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