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歓迎の飲み物はチチャだった。
ペルーでよく飲まれている紫色のコーン・ジュース、
チチャ・モラーダではない。
どろっとした黄褐色の飲み物はココナツの器に
なみなみと注がれていた。
口をつけると思ったより冷たい。
甘味と少しの酸味、そして発酵したアルコールの後味。
普段アルコールはほとんど飲まない私だが、
意外なほどおいしかった。



チチャを受け取った4人の反応はそれぞれだった。

1.エディ(男性)
「すごくおいしい!おかわりあるかな?」

2.かおり(私)
「お酒は飲めないのにこれは飲める。
おいしいけど一杯で十分」

3.りぜちゃん(女性)
「これ好き。でもちょっとずつしか飲めない。。。」

4.ちのちゃん(男性)
「これはちょっと……。無理かも」






インディヘナ自治区・クリスティアニア、
チャミ語ではKarmata Rua(カルマタ・ルア)。
5月にボランティア・グループの一員として
訪れたこの不思議な村に私はまた戻ってきた。
今回は短時間の滞在ではなく、
7月12日から14日までの二泊三日、
自治区に泊まらせてもらう許可を取っている。



初めて訪れた時から、
メデジンからバスでわずか4時間の距離にある
この小さな別世界に心惹かれていた。
今回の訪問は私の夏休みのメイン・プロジェクトであり、
ずっと楽しみにしていた3日間だ。

チチャはインカ時代から続く、インディヘナのエネルギーの
源であり、儀式のための神聖な飲み物でもある。
もともとは未婚の若い女性達が原料のとうもろこしを
口に含んで発酵させたという。
(注:現在は違う)

「強いチチャと弱いチチャがあるんですよ」
とチチャを持って来てくれたマリさんは言う。

「儀式の時、私達エンベラ・チャミ族は子どもも含めて
全員でチチャを飲みます。成人男性はアルコール分が高い、
強いチチャを、子どもやお酒に弱い女性などは
アルコール分が低い、この弱いチチャを飲むんです」

マリさんは前回の訪問でお世話になった
ウラポノさんのお姉さん。

前回の訪問


「私達の父はシャーマンでした。
数年前に亡くなりましたが、客人が大好きで
いつも私たちに『村の外から来たお客さんはお前達の
まだ会ったことのない兄弟だと思ってもてなしなさい』
と言っていました」

「父が生きていてあなた達を見たら、
『娘と息子が来た』と喜んだことでしょう」

そう語るマリさんのそばでは5歳になるマリさんの娘さん、
チャチャカウが恥ずかしそうに、
でも興味津々で私達を見つめている。



マリさんが私達に提供してくれた宿泊場所は
教会だった。教会の中には
近隣の町から神父さんやシスターが訪れた時のために
宿泊施設が併設されている。
村にはそれ以外に宿はない。
ついでにいうとレストランもスーパーもない。
村の入り口にお土産屋さんと小さな雑貨屋があるだけだ。


なので前回の訪問時、
活動の2日前に現地入りした
ボランティアグループの前乗り班は
近隣にあるJardin(ハルディン)という
少し大きな町に宿を取り、
そこから自治区に通っていた。

だが今回は村の生活により近づくためにも
ぜひ自治区内に宿泊したいという希望があり、
寝袋を持って行きますからなんとかならない
でしょうか、とウラポノさんに相談すると、
自治区の代表者の許可を取り、
教会に無料で宿泊させてもらえることになったのだ。
シャワーや台所までついていて、
本当にありがたかった。


他にもウラポノさんは今回の滞在のため
マリさんと相談して
実に魅力的な予定を立ててくれていた。

1.学校訪問

2.自治区のラジオ局への出演

3.エンベラ・チャミ族と日本の文化交流会

4.シャーマン訪問

5.タトゥー体験
(ジャグアという植物の汁での一時的なタトゥー)

6.エンベラ・チャミ族の
工芸品(ビーズ・アクセサリー)体験

7.バーニョ(エスピリトゥアル)体験

注:Baño(バーニョ)はスペイン語でお風呂、
トイレなどの意味だがここでは心の汚れや
悪運を落す儀式のこと。


この自治区にはこれまで教会関係者の欧米人が数時間滞在した
ことはあってもそれ以外の外国人が宿泊し
ワークショップなどを行ったことは一度もないという。
またアジア人の訪問は初めてとのこと。

それもあってウラポノさんとマリさんは
今回の私達の訪問を
普段異文化と接する機会のない
村の子ども達、そして大人達が
新しい文化や外国人に触れ、
それぞれの世界を広げるよい機会として
村人全員に大々的にPRしてくれていた。




とりあえずチチャを飲み終え、
教会のすぐ隣のマリさんの家へ行く。

マリさんとマリさんのご主人は
トウモロコシの粒を粉にして、
その粉を練って、アレパを作っているところだった。

コロンビアの朝ごはんの定番のアレパが
トウモロコシの粉で作られているのは
知っていたが、実際に作っているところを見るのは
私も初めてだった。

早速みんなで手伝ったが、
トウモロコシの粒を粉にするのは
けっこうな重労働。
できた生地を平べったくて丸いアレパの
形にするのもなかなか難しく、
きれいな丸にならない。。。

りぜちゃんが携帯で奮闘する日本人たちの様子を
動画に撮る。
その様子を見たチャチャカウは
自分もおもちゃの携帯で動画を撮るマネをする。


マリさんのご主人が一本の枝を持って来た。

「これ、何の葉っぱかわかりますか?」

首をかしげる私にニコニコしながら

「これはコカの葉(コカインの原料)ですよ」

と一言。




「私達エンベラ・チャミ族は伝統的にコカの葉や枝を
儀式や薬のために使ってきました。
なのでここではコロンビア政府の許可のもと、
コカの木を栽培することができるのです」


その言葉通り、マリさんの家の裏手には
マンゴーやみかんの木に混じって、
コカの木が生えていた。


近寄ってにおいを嗅ぐと
かすかに青臭い、爽やかな香りがする。


ここはインディヘナ自治区。
メデジンやボゴタなどの大都市では
コロンビア・マフィアの収入源であり、
悪の象徴でもあるコカが、
ここではごく普通の植物の一種として庭に生えている。



さあ、いよいよ夏休みの始まりだ!


《続く》




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