昨期、取り組んだ課題のひとつが、

「技術組織の30人の壁を超えること」でした。

 

CC:NH53

 

30人の壁はマネジメントの課題として言われるやつで、

この規模は簡単に言うと、

「リーダー1人がメンバー全員と個人的な信頼関係を築くのが不可能になる」

規模です。

 

また、「1人の人間が業務の全てを把握して判断するとボトルネックになり始める」

規模でもあります。

 

これがどういう問題を起こすかというと、

簡単に言えばサプライズ退職が出てきます。

 

全ての業務に目が届かないので潜在的な問題が生まれ、

しかも目が届いてない範囲なので判断に時間がかかります。

把握に時間がかかり、間違った判断が増えます。

 

施策の精度はどんどん落ち、スピードもどんどん落ちる。

 

結果として問題の芽が潰せず、

期待していた人から「こんなのだったら辞めたい」

と、来てしまいます。

 

マネジメント層は実害を被らないので、

どちらかというと優秀なメンバーから順番に離れていく感じです。

 

個人的に過去何度も経験している壁ではありますが、

今回特殊だったのは技術組織だった、という事です。

 

開発組織で準備が無いままに30人の壁に突入すると、

上記の問題に加えて開発プロセスの問題、

システム設計の問題、技術的負債などが一緒に噴き出します。

 

今回、身を持って体験しました(笑)

 

で、こういうときにどうするかと言うと結局のところ、

権限委譲という事に落ち着きます。

 

限られた人間の判断が追いつかなくなってきているのですから、

決定する人間を増やすしかありません。

 

また、限られた範囲だけしか自分の目が届かないのですから、

自分は勝負どころに集中するようにしないといけません。

 

この時にMGRに求められる能力は「ミッション切りの上手さ」になります。

これは、「目標設定力」と微妙に異なります。

 

部署として業績を伸ばしていくにあたって解決するべき課題や機会を

ミッションの塊として切り出して、現有戦力を付け合わせてもっとも

成果の出るマッチングを編んでいく作業です。

 

うちの部署としては結果としてだいぶ意思決定が分散されてスピードが上がってきて、

次のリーダーの芽が見えてきたのでひとまずは良かったなと思っています。

 

ちなみに50人とか100人がもう一回壁になるのも、

30人の壁を自分以外の人にも超えさせる必要があるから、

というのが体感上は大きいと思います。