先週は、3日(木・文化の日)に野田市にありますルネサンス野田へ出向き、

背泳ぎDVD 販促イベントを行ってきました。


4月に発売された、中村真衣選手出演の背泳ぎDVDのドリルの中から、いくつかをピックアップして、

直接指導させていただくものです。

当日17名の方のご参加により、

90分、常に上を向いて泳いでいただきました。


始めに、背泳ぎの歴史をざっと動画で見ていただき、

その後、ドリルの内容を動画で紹介し、

入水指導に入りました。

特に今回力を入れたのは、

「エレメンタリーバックストローク」でした。

元来は「サバイバルスイム」の一つとして、

水難事故対応策の泳法指導となるのですが、

これが実は背浮きの姿勢矯正や、

ストロークのフィニッシュ動作の要領を得るのに非常に好都合な型であるため、

FRESTYLEでは背泳ぎの有効な指導方法の一つとして取り入れています。


頭の高さを変えると姿勢がどう変わるのかを体感した後、

このエレメンタリーバックストロークを行いながら、

姿勢の保ち方から、ストロークのフィニッシュ動作に至るまで、

意識の持ち方や動きのコツなど、

若干DVDの説明を掘り下げた実技指導を行いました。


参加者の中には最終的に11ストロークで25mを泳げた方も現れましたが、

これまでおおよそ20ストロークを切ることはなかったであろう方々が、

平均して17ストロークくらいで25を泳げるようになられたようです。

これから是非DVDをご購入いただき、

益々洗練した動きが身に着くよう、役立てていただきたいと思います。

お招きいただきました青木唯コーチはじめルネサンスの指導陣の皆様に、

このような機会を与えていただき、深く感謝申し上げます。


土曜日にはFREESTYLEマスターズ練習会「SSS」の指導に入りました。

隣では原コーチがジュニアの練習会を行っていましたが、

子供たちの横で、大の大人が大人気なくIM(個人メドレー)のスピード練習に汗を流しました。

最後には50mを、25mずつのスイッチングで、

Fly(バタフライ)-Ba(背泳ぎ), Ba-Br(平泳ぎ)、Br-Fr(フリースタイル)をリレー形式で行いましたが、

最後のFrを3回呼吸くらいで一気に突き抜けてくる方もいらして、

良い追い込みができたと思います。

IMは様々な筋を稼働しますし、

特に上肢の速筋線維を使い切らせるために非常に有効なトレーニングだと捉えています。

イアン・ソープ選手がワールドカップ短水路シリーズで100IMに出場していますが、

久々のレース復帰なので専門外から…という戦略もさることながら、

そういったトレーニング効果を求めてのものでもあると思います。


さて、日曜には「松江市民水泳大会(短水路)」に出場するため、

島根県立プールへ出向きました。

松江市民水泳とは、毎年8月に長水路、11月に短水路で行われる市の水泳協会主催の大会で、

小学生~社会人が一堂に会する未公認大会です。

ちょうど両親の介護帰省を始めた昨年から、

師匠である須山治彦コーチが支配人を務める「テルサドルフィンクラブ」のメンバーとして、

そのクラブの成人会員さんたちと、

その指導をサポートしている私の幼馴染や後輩たちと一緒に、参加し始めました。

市民の大会とはいえ参加者は非常に少なく(笑)、ましてや競技役員も少なく、

私の後輩たちがみな補助役員で駆り出されて、なんとかギリギリのところで運営されていましたが、

大変アットホームで、温かみのある大会です。

リレーなどは参加チームが少ないので、

子供たちのチームと大人が同じ組で泳ぎますし、

マスターズ以外の大会では珍しい「男女混合リレー」などもあります。


今回は私は4×25mのメドレー、フリーリレーと、人生初の100IMを泳ぎました。

IMは無事に泳法違反なく(笑)、1.05秒で泳ぎ切ることができました。

ちなみに今年の夏には、後輩たちとこの大会の長水路版に出場し、

メドレーリレーで背泳ぎを泳ぎました。

水の中に入ってからスタートするという行為自体初めてのことでしたので、

同じ水泳だけども、まったく新しいことにチャレンジするような、

新鮮な気分で泳ぐことができました。

今回の100IMも、改めてその種目のハードさを体験しました。

技術的にも、話題のパケットターンもどきのターンにトライしてみたり、

各種目で10m前後潜ってみたり、

最近覚えようとしている平泳ぎのキックを意識しながら、

苦しみながらもいろいろと実になったレースでした。
30年以上泳いでいても、実はまだまだ知らないことや体験していないことが、

水の中には沢山あります。

生涯スポーツの中の「第2」「第3」のスポーツ種目として、

クロール以外の泳法にも、積極的に取り組んでいきたいと思います。



このように、生涯スポーツとして取り組む水泳は、

0.1秒を争うというより、

大会を通じて「いかに新しい刺激を得られるか?」が重要なのかなと、

最近では思えるようになりました。


Cotmanら(Trends Neuroscience 25: 295-301, 2002)によると、

脳由来神経栄養因子(BDNF)が神経可塑性や神経栄養伝達などの生理機能に影響を与えることがわかっており、

更にラットを対象にしたVaynmanらの2004年の実験や(J Neuroscience Res 84: 699-715)、

Gomezらの2008年(Eur J Neuroscience 28: 2278-2287)の研究では、

運動によってその脳由来神経栄養因子の蛋白質量が2倍も増加し、

運動群では学習能力も高いことが明らかになっているといわれています(森谷敏夫,NSCA JAPAN Vol. 18, 2-7, 2011)。

しかし、我々のように昔から何十年も同じスポーツを励行していると、

それらはもはや、日常生活の中の様々な身体運動のように、

既に様式化され、自動的に(何も考えず)遂行できるものとなっていて、

それによって脳を使う以前に、脳の血流量が減少するまで脳を使わずに追い込むことさえできてしまいます。

裏を返せば、既に自動化された運動様式では、何度も繰り返したところで、

脳に新しい指令の連絡経路を作らせるのは難しいのではないかと、経験的に感じるのです。


成人になってから泳ぎを変えるとか、

新しい技術を身につけることに抵抗感がある方もいるでしょう。

特に、長年泳いでいらっしゃる方であればなおさらかもしれません。

それなりにハイレベルな競技者であった方はなおさら、

自分のやり方や、自分の感覚にこだわります。

別の種目で改めて下位からスタートすることに心理的抵抗感も感じるでしょう。


しかし、水泳というのは水の中であらゆる角度に身体を動かし、

しかも水という流体を扱い、効力、揚力、重力、時には浮力や流体力さえフルに活用する、

極めて自由度の高いスポーツです。

少しだけ自分の殻を破ってみるのも、

楽しみを増やすのに必要なことなのかもしれませんね。


レッスンで新しい技術に挑戦したり、

試合で新しい種目にエントリーして、練習で普段使ったことのない筋を苛めたりすることは、

脳の老化予防の積極的な策として、

これからどんどん広めて行きたいと思いますし、

私自身も常に何かにチャレンジする姿勢を忘れずに行きたいと考えています。


市民水泳の打ち上げの際に、

「来年は平泳ぎに出るぞ」と後輩に宣言しました。

まずは膝を壊さないようにするため、これから半年は股関節と脚筋力の強化に励みます(笑)。