更新が一日遅れましたこと、お詫び申し上げます。


一昨日、大阪の心斎橋にある「オアシス心斎橋」というところで、
3コマのスイムレッスンと、スイム・ワンポイント・パーソナルレッスンを行ってきました。

今年の春から始めて、大体2か月~3か月に1回の頻度で行っていますが、
1回目からのリピーターも多く、徐々に定着してきている感じがします。

ここでは、初心者・水慣れくらいの方をはじめ、
「そろそろ大会に出てみようか」といった泳力の方が中心です。

我々が大学という研究・教育機関に身を置きつつ、
FREESTYLEという民間のスポーツ振興機関にも所属しているのは、
研究・教育機関で得られた様々な知見を、
より多くの方に、フィードバックする役割があると考えているからです。

これまで、関東圏を中心にいろいろな活動を行ってきましたが、
私の実家のある関西圏、西日本では、
まだまだそういった活動が少ないと伝え聞いており、
新たなスポーツ・水泳人口を作るための活動として、
何かできないか?と考えたことが、この活動の発端となっています。

水泳を始められた方が、水泳が楽しくなって、
そして大会に出るようになるためのきっかけ、起爆剤にしていただきたい、
そんな感じのレッスンです。
ですので、与える情報としては、
お客様の泳ぎのチェックや指導にとどまらず、
普段のレッスンでここを注意してほしいとか、
陸上でのトレーニングでここの筋を鍛えてから泳いでほしいなど、
より普段の活動に密着したアドバイスが主体となります。

その日のレッスンでは、初心者用のレッスンでは
「水中で回ってみる」という、クイックターン導入を行いつつ、
けのび姿勢での頭と足の位置のバランスや頭の位置の違いによる姿勢の違いを、
実施者が自らわかるように学んでもらいました。

中級者用のレッスンでは、「揚力・効力」をテーマにして、
泳いでいる際の「揚力」や「効力」の発生を、
様々なスカーリングや、プル、キックなどで経験していただきました。

上級者用のレッスンでは、
様々なビート板の持ち方でキックを徹底的に泳ぎ、
最終的にはドルフィンキックのレッスンに持ち込みました。
特に、腹筋や脚の筋を使うことは脂質を燃焼しやすくなるメリットを伝え、
同時に「加齢は脚からやってくる」を覚えていただき、
脚を使った運動機会を減らさないようにお伝えしました。

キックの推進力が高まると、
恐らく、プルのキャッチ時の水の壊れが少なくなるように思います。
いわゆる「インピーダンス・マッチング」と呼ばれる現象ですね。
止まっている水に乗ろうとしても水が壊れるのに対し、
自ら少しでも動いていると、
水を壊さずにキャッチができる…といった表現がわかりやすいかと思います。
マスターズでは上級者も初級者も共通して、
キックの推進力が選手ほどではないため(プルは時折選手並みの推進力を発揮する方もいますが)、
どうしてもキャッチで水を壊してしまい、ストローク効率が低くなる傾向が見られます。
また、肩関節への負担という意味でも、
初心者とはいえどもキックをしっかりと鍛えることは、
必要であろうと考えています。
なかなか進みが悪いので敬遠しがちですが、
脂肪燃焼というのを一つのモチベーションにして(笑)、
次の訪問まで、頑張って取り組んでいただきたいと思います。


月曜には、毎年恒例となっているのですが、
水連の公認コーチ養成研修で、
「競泳のトレーニング」という題目の講義を行ってきました。
内容は、
「トレーニングの定義」
「トレーニングの歴史」
などで、ざっとこれまでの競泳トレーニングを振り返り、
それを現在明らかにされている生理学的根拠に照らし合わせて、
当時なぜそれらのトレーニングが主流となったかを説明しました。
その上で、選手強化に必要なトレーニングプラン、
日々のメニュー処方の方法やその説明を行いました。

これらの情報は「競泳コーチ教本」(競泳のトレーニング:担当筆者)を教科書として行っていますが、
もう少しそれらを膨らませた話をしています。
また、「技術改善のためのトレーニング」と題し、
ドリルワークをどのように使ったらよいか?を、
これも動作習得・習熟に関する様々な実験をもとに説明して、
現場での応用方法なども提案しています。
加えて、陸上トレーニングに関する情報や、
その意義、検証方法なども紹介しています。

特に今年は、自分自身がNSCAのCPTを取得したこともあり、
日本人選手にとってのウエイトトレーニングの意義を再考してみました。
特にスイミングクラブでは、
なかなか積極的に陸上トレーニングを入れられないという声もよく聞きますが、
ここは資格取得者の養成研修ですから、
基礎知識と理想論をまず抑えていただきたいとの意図で、
あえて現場の無理を承知で、話しをさせていただいた次第です。
現場でどのように応用するか?
あるいは時間や設備がない中どのように工夫して行うか…は各コーチ次第ですが、
「やった方が良いよ」という情報はこういったオフィシャルコメントの場で残しておかなければ、
私たちが講師をやる意味はないだろうと考えております。

「初心者・中級者へのコーチング」と、
「コーチへのコーチング」という、
非常に両極端な仕事をこなしたわけですが、
共通して言えることは、
「スポーツや人間の身体に関する知恵・知識をしっかり持ち合わせることが、
より充実したスポーツ・ライフを送るために必要なこと」
であるということだと思います。

あと、コーチ研修では
「コーチももっと泳いだりトレーニングしたりすべきだ」
と提案させていただきました(笑)。
知恵・知識を持ちつつも、実際の動作感覚を実施中に感じたり閃くこと、
そしてその「気づき」の楽しさを指導者自身が知ることが、
コーチングにおける説得力の強化(いわゆる「カリスマ性」などの構築)につながるのだと、
思う次第です。

日体協の公認コーチ資格取得への道は結構厳しく、
指導レポートや講習のレポートに加え、
200問の運動に関する一般教養のマークシート試験(60%以上の正答がなければ不合格)が待っています。
しかし、私なんかでも乗り越えた道です。
試験時には鉛筆忘れてシャーペンでマークして時間かかったり、
マーク間違いして10問くらい消して書き直したりと、大変でしたが(笑)。
頑張ってクリアして、
日本のスポーツがもっと盛んになるよう、
全国各地で頑張っていただきたいと思います。