初月無料ですのでお気軽にお試しください。
バックナンバーも購読頂けます。
バックナンバーも購読頂けます。
【前回までのおさらい】
◼︎ PMOは、プロジェクト全般の管理を独立して行う。
◼︎ PMとの違いは、作業をしない人が横串で客観的に管理すること。
◼︎ 短いスパンで複数のプロジェクトが動く現状に則した管理手法である。
◼︎ PMOは万能ではなく、メリット/デメリットがある。
今回は、前回挙げたメリット/デメリットを更に深掘りして、PMOの有用性について分析をしてみたいと思います。
【メリット】
1. 独立性
独立してフラットにプロジェクトを客観的に見ることができるのが、一番の意義ではないでしょうか。
実作業と切り離して実施するので、第三者視点で状況を把握することが出来ます。
そもそも、
マネジメント層は現場で手を動かしてはいけません。
問題の中に入ると、問題が見えなくなりますからね。
2.PMやリーダーの管理業務の軽減
PMの仕事は、多岐に渡ります。
顧客と仕様の調整を行う傍、チーム内での作業がスムーズに進むために目配りしなければなりません。
問題が起きた時には迅速に対処し、更に上位のマネージャーに必要に応じてエスカレーションするのも重要任務です。
それに加えて、ドキュメントワークをやっていると、本来やるべき仕事に手が回らない恐れがあります。
PMが本来の推進業務に注力することが出来るように、比較的技術的な要件を含まない管理業務に特化して外出ししたのが、PMO本来の立ち位置と言えるでしょう。
3. 会議のファシリテーション
プロジェクトによってやり方はまちまちですが、会議の進行もPMOの重要な機能だと思います。
本来、会議というものは「決める」ことが目的です。
しかしながら、利害関係が対立するものや、考え方の違う関係者の意見をまとめるのは、簡単なことではありません。
だからこそ、客観的な立場からの進行が重要なのです。
PMがファリシテーターをやってしまうと、議論の矢面に立ってしまい、議論が発散する恐れがあります。
多くのPMは、このファシリテーションにすり減らされてしまいます。
それを取りまとめることが、プロジェクトを円滑に推進するためにどれだけ大切なことかは、想像に難くないですよね。
【デメリット】
1. PMとしての視点が乏しいと機能しない
PM経験が浅いと、現場の実践的な勘どころがわからず、問題解決が後手後手になります。
客観的に見れるよう組織が独立してるのは良いのですが、原則としてPMのサポートが目的ですので、プロジェクトの課題をいち早く把握し、解決策を検討する必要があります。
従って、PMOにアサインされるべき人材は、ある程度PMとしての経験を積んだ人の方が良いでしょう。
PMの育成として、PMOの一員から始めるのもアリですが、前提として経験豊富なリーダーの元でやることと、技術的なバックボーンがあることが重要です。
その点は、後で記述します。
2. PMとの役割分担がうまくいかない
この問題が生じるのは、2つのケースがあります。
PMがPMOの役割を理解せず仕事が重複したり丸投げする場合と、PMOの意識に過不足がある場合です。
<PMにありがちな誤解>
・自分で何でもやらないと気が済まないから、PMOなんて事務要員で充分。
・自分の仕事を取られるんじゃないか心配。
・進捗/課題管理、会議の進行をやらなければ、PMは何をしたら良いか、わからない。
・細部が気になって、結局PMOと同じことを自分でも重複して実施してしまう。
・手の空いた時間でメンバーの仕事を巻き取ってしまう。
<PMOにありがちな誤解>
・PMの仕事を代行している。
・PMと同じ視点でなければならない。
・ステークホルダー間の関係調整は仕事ではない。
・会議の進行はPMがやるべき。
・工程管理だけやっていれば良い。
・プロジェクト管理ツールの入力や議事録作成などのドキュメントワークが中心である。
ここは深堀りする必要があるので、次回解説します。
3. PMの育成を妨げる
うまく活用すれば相乗効果が出ますが、ヘタするとプロジェクト人材どころか、社内の人材育成の妨げにもなりかねない一面があります。
役割分担が明確でないと、PMがやるべきことが明確にならないため、PMの育成にもつながりにくくなります。
曖昧な役割分担は、実務ではあまり機能しない「何ちゃってPM」や「何でも丸投げPM」を生む危険性があります。
次回は、PMとPMOの役割分担について、深堀りしてみます。