2019年以来のJEC 全日本エンデューロ選手権の第1戦・第2戦に参加してきました。
クラスはIB
国際B級です。
「A級じゃないの!?」と何人かに言われましたが、あまり僕を買い被らないで欲しい。この1年くらいはほとんど乗っておらず、さらに磨きがかかっております。
第1戦の広島は雨が降ってマディコンディション。手も足も出ずタイムアップ(になりそうだったしマディだったし意気消沈)でリタイア。
第2戦は2DAYS
オンタイムエンデューロのルールや変更に翻弄されつつ辛くも地元いなべで3位入賞。
買い被らないでと言いつつ何とか面目は保たれたかなといった所でしょうか。
IBクラスで圧倒的な強さを見せる酢崎選手。
モトクロスの関東選手権NBクラスでも破竹の勢いで勝ちまくっているらしい。驚き。
モトクロスのNBなんつったらジュニア上がりのヤング達がゾロゾロいるわけだから。
第2戦ファイナルクロスはスターティングゲートを使用してのスタート。
スタートは得意な方なのでここは出させて貰いますよと1コーナーに飛び込もうとした瞬間、やっぱり来たねインからグイグイと酢崎選手。
絶妙にコンタクトするかしないか、いやちょい当たったなってくらいの突っ込み!
いいねいいね「前に出させるか」って気持ちの入った幅寄せ逆に嬉しいねーと思ってたら酢崎選手スリップダウン。
フッ、まだまだ若いな!お先にぃー!
ってアクセル開けた瞬間に自分もスリップダウン。あれは何とも言えん恥ずかしさがあったな。
自分もまだ若いという事が確認出来て嬉しかったのと、レース後に酢崎選手から「河村広志さんは絶対に前に出させちゃダメだと思ってたんで」という言葉を頂戴して私、大変光栄でした。
同じグループで走った青木選手も酢崎選手と同年代で僕との年齢差は倍。
彼も綺麗な走り方をするけど、ちょいちょい変な感じするなーと思って聞いてみたら怪我を押しての出場だったんですね。
まだ若いんだから今はしっかり治してー とかおじさんみたいな事も言いたくなっちゃうけど、16歳くらいの「自分は!今しかないんス!」ってゆーのもわかる。わかるぞ!
きっとこれから日本のエンデューロ、引いてはオフロードバイク界で活躍されるであろうヤング達。
怪我なく楽しくレース出来るといいな。
有難い事に参加されていた他のライダーの方からも声掛けて頂いて嬉しかったです。
何人かに聞かれたのが「ジャンプ飛びたいけど怖いんです」や「ウィップ(スクラブ)ってどうやるんですか?」という質問。
普段からモトクロスコースを走ってみえる方からも同じ事を聞かれる事が多々あります。
ジャンプに関しての僕の答えなんですが
怖いなら飛ばなきゃいい。
これに尽きます。
本当に無理して飛ぶ事ないです。
危ないしね。ジャンプって。
ふつーに考えて。
ただこれだけだと"河村広志ただの嫌な奴"で終わっちゃいそうなのでもうちょっと踏み込んでモトクロスのジャンプというものを考察していきたいと思います。
ここからは完全に僕の私的考察(僕のブログなんで当たり前だが)なのでそこん所よろしくお願いします。異論はもちろん認める。
そもそもジャンプはなんで飛ぶの?って話です。
モトクロスの醍醐味!ジャンプカッコいいじゃん!という感情は抜きにして語っていきます。
ジャンプって邪魔なんですよ。
障害物競走で言う所の障害。
ずーっとアクセル全開で走れた方が速いですよね。でもコースには2連ジャンプやテーブルトップもある。
もの凄いダウンフォースを生み出すスポイラーなんか付けて走ったらアクセル全開で地を這うような走りが出来るんじゃないかと思ってるんだけど、そもそも発想がアホっぽいと言うか、アホが考えた頭良さそうな答えみたいというか、現実問題それは無理。
じゃあどうするかって言うと、
速く走る為に「しょうがないから」ジャンプする。
となるわけです。
ジャンプを一気に飛ぶ事によって障害をまとめてクリア出来る事になります。
ジャンプを飛ばないより飛んだ方が速い。だから飛ぶようになるわけですね。
要はモトクロスレースにおいてジャンプは速く走る為の手段でしか無くて目的にはなり得ないという事です。
これが僕が思うジャンプの本質です。
当たり前の事のようだけど、意外とこれを知らずに「ジャンプを飛ぶ、飛びたい」だけにフォーカスしてる方が多いように思う。
嫌な奴になりたくないんだけど、今の時点ではまだ「なんだかんだ言って飛べねー奴は大人しくしてろって事だろ」って言われちゃいそうな気がしているのでもうちょっと聞いて欲しい。
続きましてジャンプの進化について
通常モトクロスのジャンプはそのジャンプの角度、着地斜面までの距離に合ったスピードで進入し、ジャンプします。
※ 僕らはこの事を俗に"合わせる"と言います。
凡例:「あそこは合わせないと危ないよ」「あそこは合わせて飛ぶより飛びすぎるくらいがいいよ」
しかし、現代のモトクロスはただジャンプに合わせて飛んでいるだけでは勝てなくなってしまいました。
今度は「ジャンプしたは良いけどこんなに上に上がって滞空時間が長いと速く走れない!しかも手前で速度落とさないと飛びすぎちゃう!」となったわけですよ。
時は90年代アメリカ。
"King of supercross"ジェレミー・マクグラスは連戦練磨の無敵状態。
新しい時代に突入していました。もちろんバイクの進化もありきだけど、それほどマクグラスの存在はセンセーショナルだった。
ジャンプで言うと進入速度をあまり落とさず、尚且つ飛び過ぎないように飛ぶ、いわゆる抜重ジャンプ。
簡単に言うと、身体とサスペンションを使って垂直方向の力(飛ぶ力)は逃がして進行方向への力をなるべく殺さない飛び方。
BMXのレースは抜重の極端な例ですね。ちなみにマクグラスはBMX出身。
ウィップもある意味抜重ジャンプの一種だと僕は思っているけど、ウィップの場合は手前、もしくはジャンプ直後のコーナーへのアプローチという意味合いも含まれていると思います。
さらに
人間は欲深い生き物。
もっともーっと速く走りたい!となるわけです。
速く走る為の探究心が悪魔的。
00年代に入るとこれまたアメリカのジェームズ・スチュワートが"スクラブ"と呼ばれるスキルを確立させます。
画像を貼りたい所だけど色々面倒なので
「stewart scrub」でググってください。出てきた画像がソレです。
ソレを見てもよくわからんですよね。気持ちわかります。
多くのライダーが色んな手法でトライしただろうけど、これに関してはスチュワートが確立させたと言っても過言ではないでしょう。
スクラブの最大の特徴。
抜重ジャンプで垂直方向に力を逃がすだけでは足りないと感じたんでしょうね。今度は水平方向にも力を逃がしてやろうとなったわけです。
というようにですね、先述した「悪魔的」になぞらえると人間は悪魔に魂を売るような方法で速く走ろうとするわけですね。
でもね、それでも速く走りたいんですよ。
かくいう僕も先日のファイナルクロスのジャンプ中に前を走っていたライダーを抜かした瞬間が何回かありました。
同じ飛距離のジャンプで同じタイミングで離陸しているのに僕の方が速く着地する。
これは僕がスクラブとまではいかないまでも先述した技術の何かしらを応用して走っている証拠だと思います。
でも僕の中でスクラブしてるとか抜重してるとか、そういう意識はもはや無いのです。
速く走る為にはそういう走り方になっていく。
という言い方になります。
自分で言っといてちょっとカッコいいじゃない。
じゃあ結局抜重だかスクラブだかわかんねえけどどうすればいいんだよっ!て話。
速く走る練習しているうちに嫌でもそういう飛び方になっていっちゃうので心配しないでください。
なので、結局地道な練習の積み重ね。
もうね、ほんっと地味な練習って嫌んなっちゃうけれどこれに尽きる。
道のりは人によるけど近道は無い。多分無かった。多分しようとした時に骨とか折ってた。
「chapter1でジャンプとかもやってください」も言ってもらった事あるけど、それもうchapter10以上いってます。
ジャンプは怪我をするリスクが非常に高い。
目的
速く(気持ちよく、上手く)走るため
手段
ジャンプ飛ぶ(スクラブする)
この関係性を間違えると怪我しやすくなっちゃうので本当に気を付けてください。
唯一例外として挙げるとするならFMX。
あれはまさにジャンプの為のジャンプ。
だから「ジャンプ飛びたい」「ウィップしたい」と思っている方はモトクロスよりFMX志向だと思います。
でもさー
ジャンプ飛んでさーー
バチッと捻れたらさーーー
カッコいいんだよねーーーー
その気持ちもとてもわかる河村広志でした。
📸muneoくん