理想のシザーに。


1週間前....


NYドライカットで使っているシザーがやっぱりイマイチしっくりこない。

昔、ニューヨークのエイジさんのサロンで働いてた方達が使っていたドライカットシザーを触らせてもらう機会があって、とにかくバランスと切れ味が最高だったのを思い出した。

基本的に5インチのメガネタイプのシザー。
刃はハマグリ刃で、パワーのある物。

各メーカー同じタイプのシザーは販売しているが、触ってみると全く違う。

刃の長さ、ハンドルの長さ、バランス。

ニューヨークドライカットでのテーパー技法は、自分の場合、手首を振り子のように高速で振りつつシザーを開閉する。
この時のシザーの重心が手元過ぎたり、刃先過ぎるとイマイチしっくりこない。
髪の毛1本切るか切らないかで髪の毛の動きが全く変わってしまうNYドライカットでは、手先の誤作動は命取りになる。

エイジサロンのスタイリスト達が使っていたそのシザーは、全くもって完璧だった。

そんな事を思い出した私は知り合いの美容師にメールした。

『あのシザーってどこのやつだっけ?』

返ってきた答えは「影」というメーカーだった。

スマホで検索してみると、ホームページがあった。
しかし商品紹介のページを見てもドライカットシザーらしき物は無い。

その場ですぐに電話してみた。

『あの、自分ニューヨークドライカットをやっていて...』

「あ~~...ありますけど..」

正直、最初は無愛想だなと思ってしまったが、話をしているとどうやら電話口のその方は超が付くほど業界では名の知れた研ぎ師の佐藤さんという方だった。

佐藤さんはpeek-a-booの川島文夫さん、ニューヨークのエイジさん、エイジさんがリスペクトする、故・ブルーノ・ピッティーニの研ぎも担当していたほどで、peek-a-booにいたってはスタッフ全員の研ぎを任せられているらしい。

世界を極めた有名美容師達が最終的に辿り着く研ぎ師が、電話口の向こうの佐藤敏夫さんだった。

私はすぐにドライカットシザーを注文した。


電話を切り、しばらくするとLINEの通知が。
なんと研ぎ師の佐藤さんからだった。

まさかLINEをしているとは....かなり驚いて返信すると、川島文夫さんとのツーショット写真(家族のように親しいらしい)やエイジさんとのツーショット写真、そのほかにも仕事の事やプライベートの事など、沢山アドバイスをいただいた。

こんなにも凄い方とLINEをして、すごくフワフワした不思議な感覚に襲われた。


そして1週間後の今日、ついにシザーが届いた。

開封してみて仰天した。本来「影」とロゴが入っているはずの箇所に「new york 」 裏面には「eiji drycut」とロゴが入っていた。

そう、エイジサロンのスタイリストと全く同じ物だった。

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すぐさま佐藤さんにLINEしてみると、
どうやら間違って入ってしまっていたらしい。

私はむしろ大喜びだった。

モデルウィッグをカットしてみると、あの時の感覚が思い出される。

これこれ‼︎やっぱり完璧だ‼︎


ついに辿り着いた。恐らくハサミの浮気は二度としないだろう。



NYドライカットとオーガニックカラーのサロン
Hair&Esthetic Salon Sato