金髪だからいろいろ気をつけようと思うことの多い拓馬です。やはりどうしても、金は派手ではある。世間から後ろ指さされるのはいいけど、世間様を威嚇したくはない。


そんな心持ちから、初めて会う人には笑顔多めで

接するようにしてたのだけど、気付けばマスクだった。笑顔は伝わりにくい。


仕方がないのでなるべく明るい声色での会話と、面白く大袈裟な身振り手振りを心がけてみた。


図書館で「外国の方ですか?」と言われてしまった。


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台詞を覚えるのは、俳優によってはやはり芝居における深刻なハードルのひとつだ。


いざというときのために小道具に台詞書いとこうか??


という冗談は、僕らよく言う。でも、やらない。「いざとなったら書いてある」という感じが、精神を揺さぶって、覚えているものも思い出せなくなることがよくあるのだ。


人生と一緒だ。守ってくれるかもしれないひとがいると、ひとは弱くなる。


誰も守ってくれないだろう、と腹を決めてみると、意外に自分が強いことに気付くのと、あと、かえってみんなが守ってくれるようになる。


そうなんじゃないかなあ。


なにがなんでも、笑うと決めて稽古場に入る。大きな声を出しながらめいっぱいに動き回りながら稽古をしていたら、楽しくなった。

ショーアップする部分に挑んだりもした。

振り付けのレイナさんも参戦。正式なオファーの瞬間が曖昧で、「助けてー」という連絡で駆けつけ合える関係でやってる。今のところ、圧倒的にこっちが助けてもらってる方が多いように思うけど。。。良い仲間で嬉しい。ちょうどパダラマ初演が終わった頃からの付き合いだ。

。。。

カレンが稽古場に来れない日だったので、ズームを繋いでリモートで振付稽古をのぞいてもらうことにした。そしたら、カレンの自宅にいる黒い芝犬くんが終始鳴き続け、さらにカメラをがんがん覗き続ける始末。稽古場に犬の声が鳴り響くシュールな状態。カレンはカレンで「ごめんなさい〜」とか言いながら愛犬をカメラで写し続けていた。現場みんなが愛犬自慢をされ、そして、事実、かわいかった。


2月1日


「かんそう、かんそうがひどい!」

と言う会話が聞こえてきて、気になってしまった。


感想?→匿名なのをいいことに心ない誹謗中傷めいた感想をネットなどにかいている人についてかな?


乾燥?→冬だし、スキンケアとかについてかな?


間奏?→音楽関係の人かな。ギターソロやオルガンソロについてかな。


騒がしい場所だったので会話をありありと聞き続けることは難しかったけれど、耳をそばだてて聞いていたら「ニベアよ!」という発言が聞こえてきた。


自分の脳内で快楽物質がほんのちょっと分泌した気がした。

じゅんいちさんが、みるみる、いい。たくさんたくさん、話す。


れんとも、かつてないほど芝居や演技について話し合う。やっぱり、おぼんろで仲間としてやるからには、れん史上過去一番の演技を引き出してみたい。

2月3日

いまから稽古。

去年のいまごろ、父は病院に入りっぱなしで、ずっと会えなかった。父以外の僕ら家族の心には不安しかなくって、1日中涙ぐんでうなだれていた。僕は、劇団員さひがしとわかばやしが主宰するユニットへの出演決まっていて、稽古日だったけど心をおかしくしていて、相談して、数時間も遅刻して稽古に参加したんだったと思う。そんなことしてしまう自分の甘えた性根は恥じるけど、そんなこと許してくれた劇団員に感謝しかない。


コロナもあって父とはずっと会えない。それでも、テレビ電話を使ってなるべくやりとりはしていた。僕にとって父は、音楽をやっていないとダメなひとだったので、無理矢理に『ジュロコロ』という作品のサントラを仕事として依頼していた。病室にたくさんの機材を運び込んで、スタジオにしてたのだ。もちろん、体力があるわけではないから進み具合は少しずつだったけれど、進捗をずっとこまめに送ってくれ、余裕があるときは電話した。この頃、父はもうあんまり喋るのもできなかったけれど、ゲラゲラ笑いながら電話するのがこの頃の自分にとって最重要な時間だった。


年末、一瞬だけ退院できたのでクリスマスソングを一緒に創りたかったのに、できなかった。僕らは『あっぱらぱークリスマス』というものや『ヴルルの島』という物語のサントラなど創ったことはある。けど、ほんとはもう一曲クリスマスソング創りたかった。


それで、これから節句やイベントごとに、なんか、世の中のスタンダードになるような曲を創ることにしようと考えた。それで、節分に創った物語が、これ。




父と母がモデルだ。自分なりの祈りの方法。これは、音楽は間に合わなかったので、「来年、この物語をもとに一曲創ろう!」と父に見せた。「ブルースのイメージが合うと思った。」と言ってくれた。


ブルースコードについてはギターでもピアノでも何度も弾き方を教えてもらったのに、すぐに忘れてしまう。自分のレパートリーにないからだ。よし、また習って、今度こそ生涯忘れないようにしよう、と心に誓ったのだった。


「君のことを性格悪いよと言ってしまえるひとの性格はたぶんあんまり良くはないんだ、もしくは、向こうに何か不安とか哀しみの事情があって、思わず言ってしまってるだけなんだ。わかんないけど、そうだとおもってさ、君は、気にせず笑っててね。」


ーー『鬼さんどちら?手を鳴らしてます。』より


。。。

さあて、きょうもがんばるぞ。

がんばろうね。