暗譜能力と読譜能力❷ | オカハセのブログ

オカハセのブログ

ブログの説明を入力します。

❶のURLを貼った記事に書いている「楽譜を見て演奏する落とし穴」をオカリナ用に書くと。

………………………………………………………
●落とし穴1つ目は、楽譜を見ながらオカリナを吹くと、
オカリナの音が疎かになりやすい
オカリナは演奏をする前の段階で楽器としての音である必要があります。
オカリナは音が出しやすいため、初心者が安直に考えられる傾向があり、楽器としての音の完成度は二の次でカリキュラムを先へ進めてしまいます。
初心者の方の大半が、漠然とした音の悩みを抱えています。

●落とし穴の2つ目は、
楽譜を見て吹くことに満足してしまう
いつのまにか、音を出すことよりも楽譜を見ながら吹くこと自体に焦点がすり替わってしまって、楽譜を見て吹くことに満足して、結局は音も楽譜を読むことも中途半端になってしまいます。

●落とし穴の3つ目は、
楽譜がないと吹けなくなってしまう
楽譜を見ると吹く音を目で確認できるので
何となく安心してしまう
逆に楽譜を見ないと不安で仕方なくて音が出せなくなってしまうのです。
楽譜を見ながら吹くことを長い間、習慣的に続けていて、後から楽譜を見ずに吹けるようにするには、相当大変なトレーニングが必要
多くの時間と労力が掛かってしまいます。

………………………………………………………

楽譜を見ずに音を拾うのが得意な人は、複雑なメロディーやアドリブラインをコピーできるならともかく、「ポピュラーなメロディーを拾える程度は」特別に耳が良いわけではありません。
そこのところをわきまえずに「自分はセンスがいいと勘違いする」かたも多いのです。


しかし、そのいっぽうで、例えば僕の様に楽譜に弱い人間が、楽譜に強いジャズアンサンブルの集団の中で思いっきり見下された事もあります。
それはサックスを初めて3~4年の頃の九州での話です。
凄く僕がアウェーで居心地が悪かったことを覚えています。
しかもそれは女子高生のジャズアンサンブル…
顧問の先生は「この子達にアドリブ演奏を聴かせて生きたジャズ(即興演奏)を指示するつもり」だったそうなのですが…
その子達の演奏は譜面を見て演奏している分には聴けるのです。
しかしアドリブになると、映画「スウィングガールズ」の子達の演奏のほうが何十倍もゴキゲンなのです。
だけども、僕が譜面を前にテンパっているのを見下すわけです。「アドリブできても、譜面弱いんじゃん」的な感じで…
【ジャズをやっているのにもかかわらず、譜面通りにしか吹けない子達が上から目線になってしまう】のです。
愚痴になってるな(笑)。
もっともこの頃の僕は、譜面が弱いと言う事に引け目を感じて、ハッキリと「私は譜面が弱いです」と示さない「若気の見栄」があったから、そこの弱い波動を女の子達は無意識に突いたのだと思います。


この様に、【個人同士のやりとりでは、暗譜に強いかたが譜面を見ないと吹けない人を見下すことが多い】のに対して、【アンサンブルの集団になると圧倒的に読譜能力のある人ばかりなので、譜面に強いかたが譜面に弱い人を(集団で)見下すことが多い】のです。
その様なコミュニケーション上の問題があるから、譜面の弱い人は「譜面なんかクソ食らえ!」となってしまったりするのです。
逆に譜面に強い人は、譜面がないと演奏できないというコンプレックスによって【集団の中にいると、楽譜に弱い人間を見下すことによって自分を守っているのかもしれません】。
この様な面倒なコミュニケーションさえなければ、【両方とも大事な能力なのだから、お互いに成長できるチャンスになる】と思いますので、どうかみなさんもお互いの能力を尊重して、素晴らしいオカリナライフにしていきませんか?(笑)


昔、僕は「初見演奏に強くなるにはどうしたらいいのですか?」とある先輩ミュージシャンに質問したら「初見に強くなるには、初見をやる事です」と言われた事があります(笑)。要するに、数をこなして「慣れろ」ということ。
もちろん合理的でシステマチックな初見トレーニング法はあるけど、それも【慣れるため】の合理的なトレーニング法なわけです。


それと!これは大事な事で、僕自身もずっと軽視していた事ですが。
楽譜は作者の思いが入っていて、それを演奏する側もその思いをできるだけ楽譜から受け取ろうとする努力が大事だと思います。

「のだめカンタービレ」で楽譜に弱い野田恵が、先生に自分の曲の楽譜を弾いてもらった時。

のだめ「そこはそうじゃないです、もっと○○云々~です」

先生「そんなことはどこにも書いてないよ」

のだめ「書いてなくても感じて下さい」

先生「ほら、ベーベちゃん(のだめの事です、笑)が自分の言いたい事を感じて欲しいのと同じように、シューベルトやモーツァルトも同じなんだよ。ベーベちゃんも、人が何を言いたいのかを感じようとしなきゃダメでしょ。自分の事ばかりではなくてね」

みたいな事をアドバイスされて、のだめがハッと大事なことに気がつく場面があります。

この様に、どちらかと言うと譜面を見るのが苦手だけど感覚が優れてるという人は、作者の言いたい事を「アナライズ」せずに、感覚重視で行き過ぎる傾向があり、また逆に譜面に強い人は譜面重視で感覚を乗せなさすぎな無味乾燥な演奏で、聴き手があまりワクワクできなかったりするのです。

そういうところのバランスが取れると素晴らしいですね。


オカハセ