ロッテ・荻野、巨人・長野ら、右の好打者にも注目したい。

 菊池回避組では、右の好打者に的を絞ったのが目についた。

 ことしの早い時期から長野の指名を確約していた巨人はともかくとして、今宮健太(明豊)を指名したソフトバンクと荻野貴司(トヨタ自動車)のロッテには是非注目してほしい。

 特にサプライズを感じたのはロッテで、当日までの報道では「菊池一本」のはずが、俊足好打の外野手・荻野の指名に踏み切った。

 振り返ると、長野を昨年指名したのはロッテだったから、「右の外野手」は補てん事項だったということなのだろう。自チームの現状を冷静に把握しての菊池回避は、彼らのプロフェッショナリズムを感じさせるものといえよう。

 荻野で思い出すのは……彼に陽がようやくあたり始めた頃の高校時代。ロッテが熱心に彼を追いかけていた姿である。

「高校の時にロッテともう1球団が見に来てくれていたんです。『指名リストに入れたい』と言っていただいたのですが、本人が進学志望でしたからその時は実現しなかった。大学で力をつけて、社会人に行って、今年ロッテに指名していただいた。すごく縁を感じます」

 とは、荻野の郡山高校時代の恩師・森本達幸氏である。

 菊池雄星の動向に注目が集まった'09年ドラフト。ここ数年の潮流である、巧い左打者を抑えられる「左投手」と、左打線偏重を補う「右打者」の需要が高い、という傾向は変わらなかった。しかし、その中で若い野球人たちの運命は大きく揺れ動いた。菊池雄星という巨星がために、むしろ今年は各球団の戦略とスカウトの眼力がよりハッキリ見えたドラフトではなかったか?

 来年は世にいう「斎藤世代」がドラフトを迎える。

 逸材があふれ返っているという噂もあるが、「左腕」と「右打者」はまだまだ足らない。来年のこの日をどんな気持ちで迎えるのだろうか。これからの1年がまた楽しみである。