釣師ってのは、いや自分も一応釣師だとするのなら、それはそれは勝手なモンで、雨が降れば降ったで増水だの濁ってるだの文句を云い、雨が降らなければ渇水で釣れないと文句を言う。

 それ以上に男ってのは勝手なモンで、カミさんのご機嫌が最近の天気の様にご機嫌続きなのは喜ばしい事だとしても、山女にうつつを抜かしている自分に小言ひとつ言わないのもいかがなものかと逆に不安になったりする。

 仕事とカネの都合で家族旅行なんてイナカ以外全く連れて行ってない事に対しては申し訳なく思う事もあるけれど、ウチから車で一時間で、里山に流れる美しい小渓流に行けるのに、それ以上の世界がどこにあるのか、なんて主張はやっぱり勝手すぎるのかもしれない。

 平日の仕事帰りにもいけちゃう最近お気に入りのこの川は、水量も魚影もこの辺ではマシな方だと思う。

 そして今日は、小物のポイントからは小物が、
$オイカワだっていいじゃない

 それなりのポイントからはそれなりが、

$オイカワだっていいじゃない

 大物のポイントからは大物が、
$オイカワだっていいじゃない

 

 なぜか脱皮したて?のカゲロウなんかも



 釣れちゃった?り、ウリ坊が逃げて行ったり(ママは出て来なくて良かった)、近くで発破音がしたけど、きっとあれはサル避けだ。


 本当はフルフル詐欺続きの天気予報を信じて、雨の降り始めなんて時合を狙ったのだけど、結局雨は降らず。良い釣りは出来たけど釣り損ないも随分多かった。自分が達人なら釣り損なった他の尺2尾も釣れてて.....尺絡みハットトリック!なんて....やっぱりないよな~。だけど、それだけの夢を見させてくれる川である事は間違いなさそう。

 これ以上のパラダイスが世界のどこにあるのだろう?



 秋の空は、川から出たとたんに雲行きが怪しくなり、遠くで雷鳴がなる。

 やっぱり、降られずにすんで良かったのだろう。ビショ濡れで帰ったら、カミさんのご機嫌だって秋の空。

 いつか、仕事が落ち着いたら、今日の自分が良い思いをした代りとして、旅行にも連れて行ってあげたいとかも思ったりもした。

 でも、やっぱり考え直してしまう。こんな素晴らしい世界がこんなに近くにあるのに、どうして飛行機なんかに乗って遠くに行きたいのだろう?


 あの忌まわしい事件を忘れない。

 でも、世界のリーダーとされる国は、その事件の犯人とされる人物を10年後に自国以外の国で射殺し、遺体を海に捨てたと言う。

 本当だろうか?


 9月11日。渇水。なんで釣れたのか、山女心は良く解らん。良く解らんままで良いけれど、事件の被害者の冥福を祈ると同時に、この国、この楽園だけは、これ以上汚さないで欲しいと自分勝手な願いを唱える。