東京の猛暑を逃れ、涼しい山の中で沢の音を聞きながら、満天の空を見上げ、時々流れる流星を見つける。
街灯一つない、山の根に立つその家は、あばらや同然だけど、こうして溢れる光りだけを見れば、ちょっと素敵な別送みたいだ。
この村に初めて訪れたのは、まだ上の子がカミさんのお腹の中だから、15年程前。
それから毎年、年に数回、数日間、今は誰も住まない義父の生家で過ごしている。
空に薄明かりがさす頃から、家族が目を覚まし朝食となるまでの僅かな時間が自分の時間。
だからとってもスローな展開なのだけど、それでも毎年少しずつ山道を覚え、そして新たな沢を見つけて行く。
発見は、決して楽しい事ばかりとは限らない。
現実を知って、落胆する事も多い。
でも、だからこそ、貴重な自然を見つけた時にはその喜びも大きい。
どんなに大きな人工ダイヤや養殖真珠より、沢で磨かれた小石や海岸で拾う貝殻の方が美しいと思う。
そして、小さな沢にはやっぱり毛鉤釣りがよく似合うと思う。
ゆっくりでいいの。
ちょっとでいいの。
そぎゃんこと、朝飯前ですけん。
今年もミョウガが豊作。
勝手に生えてるだけだけど。