丹沢のダムより下の広々とした川原で、10m毎に並ぶ鮎師の竿先を眺めながら、この辺のナイスなルアーメン6人と一緒にひたすらビールと焼酎を飲んだ。

 釣りの話もしたけどエッチな話もした。

 女子高生のグループにナンパされ、一度断ったが、2回目のアタックには快く応じた。

 が、彼女らの目的は我々ではなく、我々が飲んでいた発泡酒の缶だった。

 集めている理由は良く覚えてないけど、なんかの活動の資金か、もしくはボランティアなのか、ともかく日本の未来は明るい。

 発泡酒の缶、とは言ったけど、美味しい生ビールや焼酎も振る舞われ、我々の顔も明るかった。

 絶妙に焼かれた肉や野菜を喰らいながら、ひたすら飲んで話しをした。

 鮎師が帰った後、ちょっとだけカワムツを釣った。

 オイカワとカワムツの分布についてはは諸説あるけれど、カワムツが鮎の放流に混ざってこの辺に住む様になったと言う話は本当かもしれない。



 その後もひたすら飲んで同じ話を何度も繰り返した。

 満月が雲の中から姿を見せた。

 総勢7人うち、3番目に脱落したのは不本意だったけど、あっと言う間に眠りに落ちた。



 翌朝目が覚めて、鮎師が来る前にと、少し竿を出した。

 少し下から、テンカラ釣りの老人が上がって来た。

 ジャージ姿で、竿は2間ほどの渓流竿、4尺くらいのハリス分がバカで、その先には少し大きめだけど、綺麗な毛鉤が結ばれていた。

 自分が釣っていた、石の後ろの少し緩い流れに毛鉤をポンと落し、ちょんちょんと誘いながら手前に引いていた。

 魚は出なかったけど、大先輩に川で会え、話を聞けるということは嬉しかった。


 老人が川をでた後、今度は自分の毛鉤にオレンジ色が翻った。

 しつこく毛鉤をながすと、最後には婚姻色のカワムツが掛かった。



 手にとる前に、勝手に鈎を外して帰って行ったが、みんなに見せたい魚だった。


 ヤマメじゃないけど、見せたかった。




 


 
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(相模の釣師ちゃん撮影)