去年の秋の雨の日

バラしてしまった大山女魚



ヒルが出る前に

もういちど

あの女に

巡り逢いたい



なんて下らない替え歌を脳内カラオケしながら

昨日まで点灯していたはずの

天気予報の雨マジックは消えてしまったけれど


部活の練習試合に行く下の子を

集合場所まで送ることでちょっとだけ罪滅ぼしをしつつ


朝はゆっくり

最後の堰堤から連瀑帯を巻いたところから

目指すはサンダーフォールまで。





その間も、

それなりに釣れたし

何より電光石火に出る魚に

電撃合わせをしてみれば

もの凄い引きだったりするから

あの女がまた来てくれたかと思わせてくれる。


それは、渇水と訪れる釣り人達にちょっとイライラしていた

8寸イワナのスレ掛かりだったとしても

胸の鼓動が止まらない

そんな釣りをした。



途中の沢を過ぎた頃から

此処も去年の雪の影響か

倒木が激しい。


この先は木も被るし

溯行も楽しくないのであれば

この岩場を登る気も失せる。





もう充分楽しんだのだから、

それに単独だとちょっと怖いし

この上の滝見物は諦めて

まだ時間は早いけれど

やっぱりヤマメの顔もみたいし

少しだけ釣り下がりながら帰ろう。


そう思ったのだけれども、


途中の大滝がある沢が気になった。





出会い付近だけちょっとだけと入ってみれば


直ぐにイワナが出て来た。

大きくは無いけれども

次のポイントでも

その次のポイントでも


その次も、その次も






結局、イワナに案内されるかの如く

来るつもりが無かった大滝まで来てしまった。



いつも人気のこの滝も

今日は雨予報のせいか

もしくはボチボチ出始めるであろうヒルを警戒してなのか

訪れる人が少なく

きっと寂しかったのだ。



日頃の釣れない鬱憤を晴らす為に

此処ぞとばかりに釣りをした訳じゃない

ただ大滝様に招かれて此処迄来ただけの事。



そういう事にしておこう。

しておいて下さいな。


晴れの大滝(様)