ロシア、北アメリカ、オーストラリア
そして日本では群馬県や宮城県で・・・
これがその化石。
ゼンマイ状に渦巻く不思議な歯列だ。
この歯列化石は世界じゅうで発掘されるにも
かかわらず、
いまだ、この歯の持ち主は化石として
その姿をわれわれに見せることはない。
だが、この歯はサメの歯であることは確からしい。
ヘリコプリオン
属名(Helicoprion )
石炭紀後期からペルム紀にかけて生息していた。
世界じゅうから歯化石が発見されていることから、
生息範囲はかなり広く、勢力のある種であったことだろう。
なぜ、ヘリコプリオンの歯列は渦巻き状になったのか・・・。
サメの歯は前の古い歯が抜け落ち、
その後ろにある歯と入れ替わり、それを繰り返し更新する。
なんでも生涯、サメは数万本もの歯が生え変わるとか。
しかしヘリコプリオンは古い歯が抜け落ちず、
そのまま後ろの新しい歯に押されていくうちに、
渦巻き状の歯列になると考えられているようだ。
ところで、ヘリコプリオンの生体復元図は
下アゴにその渦巻く歯列が備えられているが、必ずしも
そうとは限らない
もしかすると、上アゴに備えていたかもしれない。
いやいや、実は両方のアゴにあったかもしれない。
とにかく
ヘリコプリオンの歯のつき方は
完全な化石が発見されるまで謎のままである。
歯は化石としてよく残るが、軟骨で支えられた体は化石として
残りにくいサメの仲間。
ヘリコプリオンのその全体像が残されたものが
この世界にあるのかすら、今はわからない。