甲羅で身を固めたカメは
他の脊椎動物とは違う、独特の骨格パターンをもっている。
カメの背側の甲羅は肋骨が扇状に広がって形成されたもので
肋骨と背甲は一体なのである。
しかし、
他の脊椎動物は肋骨の上(外側)に腕(前肢)と胴体をつなぐ
肩甲骨が乗っており、
その流れでいくと、カメも甲羅の上に肩甲骨があるということになる。
だが、
カメは肋骨の内側に肩甲骨が入り込んでいるという
逆の骨格パターンをしているのだ!
なぜ、カメだけこのような構造になったのか謎であった。
2009年7月。
理化学研究所の研究チームは
カメ、ニワトリ、ハツカネズミの胚のなかでの
肩甲骨や肋骨の発生過程を調べることによって
カメが甲羅をつくった進化過程の解明に成功したという!
研究によると、胚発生中期まではカメも他の動物と同様、
肋骨の外側にあったようだ
しかし、後期になると、カメの成長に違いがみられた。
★肋骨は成長が止まり、わき腹の方へ伸びることはなかった。
★肩甲骨は体のかなり前方に位置していた。
この結果、カメの胚は腹側の体壁が内側に折れ込み、
それにともなって、肩甲骨が肋骨の下側に入り込んでしまったのだ。
また、この胚の形態は
2008年に中国で化石が発見された背甲が未発達の最古のカメ
オドントケリスによく似ていることを示しているという!
オドントケリス
学名(Odontochelys semitestacea )
2億2000万年前に生息した最古のカメだが、
オドントケリスは肩甲骨は肋骨に乗っからず、前方にあり、
肋骨は短く、下方のわき腹に伸びずに水平に伸びているのが
生物の胚の成長過程はその生物の進化の過程をたどるといわれるが、
今回の研究結果はそのものズバリであろう。
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