面白かった!
519ページ、めくる手が止まらない。
「あなた方は素晴らしい宗教をお持ちだ。だが一つの神しか認めないのは、どうしてですか」
「それが真実だからです」
「この世は多様な考えからできています。他を受け容れることができなければ、争いが起こります」
「それがこの国の弱さです」
「いいえ、強さです。美は… 一つではありません。美は万物に宿るのです」
「それは正しい考え方ではありません」
宗易が首を左右に振る。
「あなた方とは最後の一線で理解し合えぬようだ。そうした考え方が、あなた方のしようとしていることの障害になるかもしれませんぞ」
フロイスが困った顔をする。
「つまり、いつか布教を禁じられる日が来ると言いたいのですか」
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幼い頃から教え込まれたのは一神教だけど
結局身にならず
しっくりくるのは、森羅万象に神が宿るという感覚
崇拝ではなく
感謝を伝えるために手を合わせること
黄金の茶室を作り
寂びた茶室で古びた道具を使って茶事を行うことだけが侘ではないことを示した秀吉を
「まごうことなき侘」と認めた利休
正解も真理もたった一つではなくて
というか
人間がこれだと定義できるものではなくて
だからそれをどう表現しようと
それが自分が正しいと思う形と違ったからって
否定できない
してはいけない
と思う
自分の「正しい」を押しつけることが
どれだけ危険がということ
同時に
自分の「正しい」を貫かずに生きることが
どれだけ虚しいかということ