尊厳の芸術展 日本開催 | akazukinのブログ

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「日本史のいわゆる「非常時」における「抵抗の精神」とは真理追求の精神、科学的精神に他ならない」野々村一雄(満鉄調査部員)

尊厳の芸術展が東京都上野の芸術大学美術館で開催されている。


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2010年11月、NHKの「クローズアップ現代」で放映されていたのを見ていたで、すぐ気がついた。

さもあらん。

この番組がきっかけで日本での開催に結びついたようだ。


東京での開催が終了したら、来年より福島、仙台、沖縄、広島と巡廻するというので、機会ある方はぜひご覧なられることをお勧めする。

http://pid.nhk.or.jp/event/PPG0151561/index.html


実際目の当たりにすると、その出来栄えに感服する。


あの状況下でこれほどのものを制作されたのかと思うと、実際戦地に赴いた日系部隊の行動もさることながら、強制収容された収容所での日本人ならではの精神生活を垣間見るようだ。


akazukinブログも日系人のことを過去に何度も取り上げた。


立ち上げ当初、どうしても書きたかったのは、日本人の移民についてであった。


参考当ブログ:「棄民」の定義2009-09-10~09-21 )

http://ameblo.jp/ootadoragonsato/theme-10016589807.html



「棄民の定義」を書いたのは、私が約20年前協力隊に参加して南米パラグアイに赴いたとき、はじめて日本人の移民が住んでいることに衝撃を受けてのことだ。


恥ずかしながら、こんなにも大勢の日本人が移民しているとは、それまで何にも知らなかった。


事前訓練があったとしてもそのような情報は聞いたのかどうか、これから起こるであろう自分にとっての一大異変に緊張していたので、それどころではなく、他のことは記憶に残らなかった。


着任した任地先の村には、アメリカ人の平和部隊がいた。

日本人が赴任するところは、僻地といえど交通の便や生活する場がある程度整ったところがあてがわれる。

しかし、平和部隊の連中は、希望によりそこからさらに奥地に入ったところに着任するので家から手作りするひともいる。


奥地のアメリカ人がたまに村に出てきて、私のいる事務所に訪ねてきたりする。


まあ、任務が決まってて着任する日本人と違って、自分で仕事を開拓することを選んだ彼らは必要なところに出没して交渉していた。


その二人連れのひとりがどうも日本人のような顔立ちだ。

聞くとハワイ出身でおばあさんが日本人だという。

片言の日本語しかわからない。


このときも、なんで日本人がハワイにいるのか自分の想像をはるかに超えていたのであった。



仕事とはいえない仕事をしながら、時間は過ぎてしまった。

時間は過ぎたけれど、この時の体験やら疑問は常について回った。


これと言って、追跡調査もしないままどこか遠い記憶のようになっていたところ、ふとこのことを結びつけたのが、まだ刑務所に服役中のフリッツ・スプリングマイヤーの手紙の中にあったハワイの日本人の言葉だった。


参考:スプリングマイヤー小論文#7「発展/拡張には長期計画が必要だ」2009年3月4日記ttp://www.ohtaryu.jp/springmeier/1970-01-01.622.html


ここに書かれている、日本人移住者のことばの整合性をとるため、ハワイ移民史を調べたのが、20年前のささいな出来事と結びついた瞬間だった。


パラグアイにいたハワイ出身の日系アメリカ人の青年がこのような言葉を発したわけではない。

彼の存在自体から、このような歴史と結びついたのである。


そこから、442部隊のことをさらに知った。


幸い、2010年は、映画「442 日系部隊」が劇場公開され、TBS制作のドラマ「99年の愛」が放映されより詳しく理解できた。


もう二年前なのか・・・、つい昨年のことかと勘違いしていた。

どのような流れか、この年はこのような番組がこぞって取り上げられた年だった。


その「442 日系部隊」を制作された映画監督による第3部作目が今年もまた公開上映される。


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参考:

MIS
http://mis-film.com/


12月劇場公開決定!映画『二つの祖国で 日系陸軍情報部』
日本語字幕チームに見どころや翻訳時の苦労を聞いてみた!
http://www.jvtacademy.com/news/index.php?id=659


監督による本「1941」、鈴木潤一著、文藝春秋(2012,9,13)も出版されているので、映画制作のいきさつも知ることができる。


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アメリカ国内で日系部隊の見直しがされていた中、日系人の足跡をたどるこの展示会も開催されていた。


参考当ブログ: The Art of Gaman

http://ameblo.jp/ootadoragonsato/entry-10705026398.html


日本で初めて公開された「尊厳の芸術展」に置いてある無料のガイドブックは、良心的につくられている。


この展示会の企画者デルフィン・ヒラスナさんのメッセージも添えられ、これらの作品の蒐集が2000年に彼女のお母さんを亡くされてから始まったとある。


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The Art of Gaman: Arts and Crafts from the Japanese American Internment Camps 1942-1946
DELPHINE HIRASUNA
(2005/10/1)


2010年11月に放映された「クローズアップ現代」の該当の番組も会場で見ることができる。


ほんの15分ばかりのビデオであるが、改めて見直すと、日本人はどこにいようと、どんな状況下であろうとも前を向いて生きていく民族なのだと感じた。


子どもや孫が今後暮らすであろうアメリカを嫌いにならないように、戦争が終わって解放されても収容された日本人たちは不幸な出来事について口を閉ざしていたのだ。◆