18-1
パチン
イミクの頭の中で、いきなりシャボン玉が弾けたような音が聞こえました。
(なにかのおとがした?)
イミクはイミヤにいいました。
(何?)
(なにか、われたようなおと?)
パチン
またその音が聞こえました。
イミヤには聞こえていないようでした。
(ほら!なんだろう?)
イミクは耳をすませて目を閉じました。
パチン
という音はやはり、シャボン玉のような泡が弾ける音だと思いました。
「どこ?」
それは水の中。
水の音、水の中からうまれる泡が、上に上がって行き、そうして水面で弾ける、、、。
「水だ!水の中の泡の音だ!」
イミクが言いました。
「どこの水?」
「どこの水?」
ふたりは顔を見合わせたようにいいました。
18-2
泡の音は、さらに大きく、時に弱くイミクの中で響いてきました。
「意識を集中させよう」
「うん、泡の音をかたちにするんだ」
「においは?」
「少しずつ、見えてきた」
イミクとイミヤは、感覚を集中させながら、泡をたどっていきました。
「やっぱり水だ、水の中から泡がでてる」
「うん、なんだか薬が混じったにおいがするね」
「水、、じゃないのかな」
「薬品が混じった海?いや水か」
「泡、、、1カ所からわいてるね」
「あとさ、決まった間隔にでてこない?」
「なんで?」
「なんでかな?」
「息?」
「呼吸なの?」
「泡、、、見たことある色、、」
「うん、白っぽい、、肌の色っぽい」
「これ、、、肌の色、、」
(タスケテ、、、)
「たすけて?」
「声、したよね??」
「した、、」
「イミナ???」
(イミク・・・タスケテ・・・)
「イミク??」
「イミクって言った!」
「イミナなの?」
「そうだ、イミナだ!」
「イミナだ!」
「イミナだ!」
ふたりは興奮して叫びました。
「イミナだよ!」
「イミナはやっぱり生きてる!」
イミクとイミヤは思いました。
「でもいったいどこに?」
「決まってるじゃないか!病院だよ!」
「薬品のにおい!そうか、連れて行かれた研究所の病院にいるんだ!」
「イミナはあの場所でまだ生きてるんだ!」
「でもなぜ死んだと言われたんだろう?」
「戻さないためだよ。もう会わせないためにそう言ったんだよ」
「なんでさ!?」
「わからない、イミナ大丈夫かな」
「少なくとも生きてる。それに、今こうしてつながってきたのは意味があるんだ」
イミヤはいいました。
「イミナは僕らに助けを求めている」
「助けよう!」
「うん、助けに行こう!」
「ねえ、おとうさんに話してみる?」
「うん、、いや、やめておこう。まだこれは2人だけの、ひみつだ」
「うん、わかった」
2人はそうちかいました。