私たちは、どこで決別したのだろう。どこで何が私たちを遮っているのだろう

 一体、私たちはどうしたら会えるのだろう


 彼と別れてから、まっすぐ家へ向かった。一面の銀世界、まだ誰もいない、そんな場所に一歩ずつゆっくり、歩いて行った。家に着いてしまった。歩くと速いものだと思う。今は一体時速何キロくらいで歩いていたのだろう。解らないけど、考えてみた。そして軽いのに何故か自分の気持ちに比例するかのように重く感じた。「ガラッ」と言う音が嫌に耳に着いた。

「明里!!どうしたの!?」

まず最初に怒りを露わにしたのは母だった。

「明里、何があった。」

父も続いて居間から出てきた。何も言わない私に、とうとう母はキレたのか私を叩こうとした。すると、何かが母の手を止めた。

「止めなさい…。」

止めたのは父だった。私も母も一瞬愕然とした。私は今まで何回この人にたたかれたのかと思うと、私はもう突っ立ていることしかできず、ずっと父と母に目を向けていた。ようやく父が言葉を発した。

「明里、お前のしたことは確かに悪い事だ、ただお前にも事情があったんだろ。」

「でもあなた、明里はまだ中一なのよ、なのに朝帰りなんて、いくら何でも…。」

「わかってる。ただ、明里はこの性格だから、やましい事はしていないはずだ。そうだろ、明里。」

小さく頷くことしかできない私を父はそっと励ましてくれてた。

「明里は大丈夫だよ。」


 僕は電車に乗って東京に戻った。僕はその間言い訳を考えて、ただあのキスの余韻を味わっていた。そして、いつの間にか小田急線のホームに立っていた。

 家に帰ると、親が「誰!?」と急に怒鳴った。次の瞬間

「貴樹!?」

と、飛び出てきた。

「母さん、ごめんなさい」

「一体何があったの?貴樹」

と母は気が狂ったような声で話してきた。

「ごめんなさい、母さん…。」

「まぁ、昨日のあの雪だから、きっと色々あったんでしょう。」

「でも、ちゃんと家に電話しなきゃだめよ。」

と、ただそれだけを言って朝食を食べなさいと促した。何故かその優しさに変な気分を覚えたが、逆らうことはできず、うなずくだけだった。


 私の部屋で、ボーゼンジシツ状態だった私のところへ父が入ってきた。

「明里、何があったんだ。」

こんな風に、いつも父は余裕で話しかけてくる。そんなことを余裕に、けど、そのストレートさがうれしかった。

「実は…。」


 そして、僕は真実を話すことを決意した。

「母さん…。」