高齢者ほど栄養不足になりやすい

体によい食品をバランス良く摂りましょうーよく見かけるキャッチフレーズですが、現実的には高齢者ほど栄養が足りていないかもしれません。

ねこへび高齢者は要注意?

65歳以上のガン患者は、それより分かりガン患者に比べて栄養不足に陥りやすい、とフロリダのオーランドで行われたthe American Society for Parenteral and Enteral Nutritionの年次ミーティングの席で、スペインから来た研究者はコメントしました。

「高齢のガン患者は栄誉状態も含めた高齢者に対する平等な調査が必要です。この調査への参加は栄養だけでなく、栄養素に影響を与える症状が、生存率を高めQuality of Lif(生活の質)や機能を改善するために極めて重要である可能性がある」とマドリッドにあるClinico San Carlos病院から来たPilar Matía医師は述べています。

2012年1月22日のプレゼンテーションの中で、研究者は調査に参加した1608人の患者のうち、65歳以上の62%がややもしくは深刻な栄養不良状態だったのに対し、65歳未満の患者ではその割合は45%に過ぎませんでした。

性別や腫瘍の場所、ステージ(進行度)、化学療法の利用、糖尿病等栄養状態に関連する可能性のある要因を調整した後のオッズ比は1.75となりました。

なお、調査に参加した患者のほぼ半数(46%)が少なくとも65歳以上でしたが、若いグループでは平均年齢は51歳でした。

年齢によって異なる
栄養に関する症状や、2つの年代グループ間での行動の違いの中で、高齢者のグループは通常よりも食事量が少なく(55%対45%)、総脂肪量の不足(56&対44%)、そして浮腫の有無(58%対42%)という傾向が見られました。

高齢の患者は明らかに食べる量が少ない理由は若い患者と異なり、様々でした。若い患者では31%だったのに対し、51%が食欲がないと答え、若い世代が8%だったのに対し、19%が歯に問題があると答えました。

その他の症状は2つの年代グループ間で似通っており、便秘(約20%)、下痢(11~14%)、味覚の異常(約10%)、吐き気(10~13%)と行った結果となりました。

調査に関わっていなかったハワイ大学のPaul Palalay博士は、高齢の患者は栄養不良状態になりやすいかも知れないが、新しいデータはガンの種類や年齢による一般的な生理学的変化を勘案している様に見えない、と述べています。

2011年12月にOahu支局を閉鎖するまでそこのHawaii Medical Cenreの腫瘍学の医学部長だったPalalay博士は、更に「私は治療法の存在や、病気の進行状況、糖尿病と言った、栄養不良に関わるその他の変数の重要性について強調します。それは複雑な問題であり、その調査は特に65歳以上の患者における栄養状態の重要性を引き上げます」と述べています。


Matía博士と彼女が率いるチームは、引き続き調査を行っており、更なる結果を近々得る計画がある、と述べています。


ブーケ1治療の一部として重要

最近のガン治療の方向性の1つに、「根治を目指すのではなく、ガンがそれ以上悪化しない様調節しながら生きる」というものがあります。今までは外科的処置や化学療法・放射線治療など、ガンを治療するためとはいえ体そのものに大きな負担を強いる治療法が一般的でした。しかし、それによって生活の質が損なわれてしまったのでは、結局のところ患者にとって何のために生きているのかが曖昧になってしまうからです。
今回の調査は栄養状態に関するものなので、一概にそれが生活の質を損ねるとまでは断言できるものではありませんが、とはいえ栄養が足りていた方が体は健康な状態に近づけるというもの。今後こういった調査の内容からどの様な栄養が不足しがちなのか、何を重点的に補充すれば体がより良い状態になるのかが整理されていくことでしょう。


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それではまた。