以前友人からタイパンツをいただいた。タイ古式マッサージのお店で一度だけ履いたことがある。だぼだぼのパンツをウェストでひもを締めてウェストの上の部分を折り返す。それしか覚えていなかったが、いただいたパンツを手にしてびっくり!

このブログ、専門用語多用しますので、興味のない方はさらっとスルーして下さい。


$M's Rythmn開店準備室

タイパンツをレディス9号ボディに着せたところ。
先染めのストライプ、綿100%。ウェストで折り返すため、後染めのプリントは不可。
今回、このパンツがストライプだったから気がついたこと。
切り替えが通常私たちが履いているパンツと全然違う。
まず、前中心、後ろ中心の股ぐり線がない。[わ]になっている。これはありがち。サルエルパンツもそう。サルエルについてはまた後日ゆっくり書く予定)
脇線もない。同じく[わ]の状態。
切り替えは中心と脇の間。プリンセスラインの位置。これもデザイン線としてはありがち。驚いたのは地の目。


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パンツを台に平らに広げて置いた状態。
中心は[わ]になっているが、これだけ足が左右に開けば普通中心で行う[倒し]はクリースラインを軸にみれば自然と倒しが入った形になっている。

地の目は脇にたて地。切り替えの股下のパーツも脇とおなじ。前後中心で少しバイアスになっている。そしてソケイ部に当たる辺りに更に切り替えが。
この写真ではわかりづらいので、友人から送ってもらったタイパンツの履き方のサイトを参考に。カッティングが一目でわかる。
http://heianichiba.com/?mode=f3

アジアの服は着物もそうだが平らなので、前後は共通。ひもが後ろに付いているくらい。

とりあえずそのままパターンをとってみた。
そこでさらにびっくりしたこと。



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裁断するためにパターンを生地にのせたところ。
生地に無駄がなく裁断ができる。
あの不思議なカッティングは全てこのためだったんだ!

民族衣装は古くて新しい。長い間受け継がれて来た技法が合理的だったりする。
昔は布を自分で織って裁断してきたのだろう。1本のパンツを作るのに必要な丈を織り上げるのにどのくらい時間がかかるだろう。そんな布地を無駄なく大切にして来たのだと思うと、先人たちの知恵に感動する。

思えばわたしはあまり着物には明るくはないが、着物も無駄なく裁てるはず。
実はネクタイも2本で生地が無駄なく裁てるときいたことがある。
ジーンズも後ろのウェストにヨークの切り替えがあるのは、中心を倒して飛び出た部分を前と丈を同じにするために切り替えにして、その部分は他のあまったところでとる。だからヨークは中心から脇に向けて地の目が通っている。


タイパンツはデカパンツだが、余った部分をひだにするので、たてにドレープが出てちょっとエレガント。またぐりが長めで足が短く見えるのは難点だけど、最近わざとそういうのもあるし、時代的には気にしなくていいかな。
これ、タイシルクとかで作ったらかなりいいかも。
ぺんぎん腹もかくせて、ミセスにおすすめかな。

とりあえず友人たちにプレゼント。
ルーシーダットンのイントラさん、ふくよかなジュエリーデザイナーの友人、等々。

冬はちょっと寒いけど(暑い国の民族衣装だからね)、うちでのリラックスウェアにはおススメ。