安倍晋三元総理逝去の報に接して |  政治・政策を考えるヒント!

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   政策コンサルタント 室伏謙一  (公式ブログ)

 参議院議員選挙奈良県選挙区の応援演説中に、安倍晋三元総理が暗殺者の凶弾に倒れ、帰らぬ人となった。このような凶悪な行為は、暴力によって政治を、議論を捻じ曲げようとするものであって、断じて許されるものではなく、断固抗議する。戦前のように、政治家が凶弾に倒れる時代に戻してはならない。

 

 私は、野党自民党の安倍晋三幹事長に早期の奪権を直接切望した経験を持つものの、安倍政権に対しては、その政策に関し是々非々で望んできた。残念ながら、我が国の行く末を考えると徹底批判せざるをえないものが多く、積極的に評価したものよりも批判したものの方が圧倒的に多かった。

 

 デフレ脱却を目指したアベノミクスについても、第一の矢である機動的な財政政策は不十分であり、結局デフレからの脱却は叶わなかった。

 

 しかし、総理退任後の安倍元総理は、自由の翼を得て、未完のアベノミクスの完遂、すなわち積極財政への転換に向けて邁進された。今の我が国に必要な積極財政について改めて猛勉強され、自民党内の積極財政派糾合の大きな柱となられた。総裁選における高市早苗候補の出馬にあってはこれを支えて「PB黒字化目標凍結」を明言するに至らしめ、責任ある積極財政推進議連設立に当たっては、「カレンダーベースのPB黒字化目標を置くべきではない」との名言を残された。

 

 安倍元総理という強力な求心力を得て自民党内の積極財政派は一大勢力となり、骨太の方針の決定に当たっては、安倍元総理自らが陣頭に立って、緊縮・増税派の独断専行を阻止された。

 

 更なる緊縮財政の推進によってこの国を衰亡の淵に追いやるのではなく、安倍元総理主導の下、積極財政への転換、まさにアベノミクスの完遂によってこの国を成長軌道へ戻していく、その大転換点に差し掛かっていたまさにその時、この凶悪事件は起き、安倍元総理は暴漢の凶弾に倒れた。強い憤り、怒りを禁じ得ない。同時に、極めて残念でならない。

 

 ここに安倍元総理のご冥福を心よりお祈り申し上げるとともに、一人の言論人として、安倍元総理のご遺志を受け継ぐべく、積極財政派の議員諸氏を支援していくとともに、自らも在野の積極財政派の一人として、引き続き積極財政への転換に向けて尽力することを明言したい。

 

令和4年7月8日 室伏謙一