「花子とアン」第32回~バカが読んでも分かる翻訳とペンネーム | 日々のダダ漏れ

日々のダダ漏れ

日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

「花子とアン」 第32回
第6週 「腹心の友」
バカが読んでも分かる翻訳とペンネーム


はなは臨時雇いの小間使いとして、
出版社で働くことになりました。

そんなある日の事。
編集と富山先生の逢引きを目撃してしまったのです。

**********

はな) あの真面目な富山先生が、編集長と…。
蓮子) 白昼堂々と逢引きなさってたそうね。
はな) えっ…蓮様、どうしてそれを?
蓮子) とっくに皆さんご存知よ。
醍醐) それでね。富山先生の逢引きの相手に心当
    たりはないか、富山先生と同級生だったいとこ
    に聞いてみましたの!
竹沢) それで?
醍醐) 富山先生は、高等科の学生時代、ある青年
    と大恋愛をなさって、二人は永遠の愛を誓い
    合ったの。

(どよめき)
はな) ある青年?
醍醐) だけど、家同士の複雑なご事情から、
    その恋は実らなかったの。
大倉) まるで、ロミオとジュリエットね。
畠山) まさか、富山先生のロミオ様も、
    毒をあおって死んでしまった訳じゃ…。
醍醐) いいえ。彼はなんと、富山先生を捨てて、親
    が決めた裕福な財閥のお嬢様と結婚してしま
    ったのよ!
竹沢) 昨日逢引きしていた方が、その酷いロミオ?
醍醐) ええ。富山先生の昔の恋人に間違いないわ。
    彼の方も財閥の娘とはとっくに離婚されたそう
    だし。富山先生と再会して、再び燃え上がった
    のよ!
はな) ちょ…ちょっと待って、醍醐さん。
    そこまで決めつけなくても…。

(ベル)
醍醐) いとこの話だと、彼は昔から文学青年で、
    出版の仕事をされてるって。
    ねっ? 間違いないでしょう。
富山) 始業のベルが聞こえなかったんですか?
    早く席に着きなさい。

(ざわめき)
富山) (英語) 静かに。私語はやめなさい。
蓮子) そんなに騒ぐことかしら? 富山先生は教師
    である前に一人の女性なんですから。
富山) 何の事ですか?
蓮子) 逢引きくらいなさって当然ですよねえ。

**********

はなは、つい、
よからぬ想像の翼を広げてしまいました。


(はなの妄想・はなの声で)
梶原) 僕がバカだった。
    君のいない、人生なんてなんの意味もない。
    まるで、香りのないバラと同じだ。
富山) そんな事おっしゃってももう遅いわ。
梶原) もう一度、僕を信じてくれ。
    二度と、君を離さない!


はな) 梶原さん…。
梶原) 何? 小間使い君。
はな) てっ! てっ! 編集長。
梶原) どうしたの? 大丈夫?
はな) はあ…。
英治) おはようございます。
    編集長、原稿頂きに参りました。
はな) あっ。


**********

英治) う~ん…ここ、百科事典とはいえ、
    分かりにくいですよね…。
梶原) うん…。偉い学者に翻訳を頼んだんだが、
    この先生、文体が硬過ぎるんだよな。
英治) ええ。
はな) 失礼します。
英治) あっ、すいません。あっ、どうも。
梶原) ありがとう。
はな) どうぞ。
梶原) 小間使い君。
はな) はい。
梶原) これ読んでみて。
はな) ラクダの体構造は、乾荒原に適合せり。
    すなわち、背部の大瘤には脂質を蓄蔵し。
梶原) 意味分かる?
はな) さっぱり分かりません。
梶原) 君、英語できるんだよね?
はな) はあ…。
梶原) ちょっと、ここ座って。
    あのね、これの、ここちょっと読んでみて。
はな) 「The body structure of camels is well
     suited for living in desert conditions」。
    あっ、こっちはよくわかります。
英治) あの、試しに、
    このお嬢さんに訳してもらったらどうでしょう?
梶原) そうだな。君、このページ訳してくれるかな?
はな) 私がですか?
梶原) 急いで。
はな) はい!
梶原) ここからここまで。
はな) はい。

(辞書をはなのそばに置く英治)
はな) あの方、どなたなんですか?
梶原) 村岡印刷の二代目だ。
はな) 二代目?
梶原) うん。
    昔からうちに出入りしている、印刷屋だよ。

**********

茂木) あの方が、離婚なさっていたなんて、
    わからないものね。
富山) 今さらそんな事を言われても、
    どうしたらいいのか…。
蓮子) 私は富山先生を見直しました。
    いつぞやは、恋愛経験が乏しいなどと失礼な
    事を申し上げて、すみませんでした。
富山) あなたは失礼な事しか
    言わないじゃありませんか。
茂木) 蓮子さんも、お茶をいかが? スコット先生の
    焼いたクッキーもありますのよ。
蓮子) 恐れ入ります。
    富山先生。私は、愛のない結婚をして、
    こんなにひねくれた女になってしまいました。
    ですから、失礼ながら言わせていただきます。
    本当にその方が好きなら、過去にこだわらず、
    愛を貫くべきです。

**********

はな) 出来ました!
梶原) 村岡君!
英治) はい。
梶原) どう?
英治) 拝読します。
梶原) あのね、翻訳とは、原文との距離感が大事な
    んだ。原文に引きずられて、直訳や、不自然な
    日本語になってもいかんし、読みやすさを重視
    して、はしょり過ぎてもいかん。
    その制約の中の勝負なんだ。
はな) はい。
梶原) で、君の翻訳だけど。どう?
英治) これは、バカが読んでも分かりますね。
はな) えっ、バカ?
英治) あっ、いや、あなたがバカだと言ってる訳じゃ
    ないんです。褒めたんです。
梶原) 最上級の褒め言葉だね。
英治) 言いかえると、とても素直で、
    綺麗で読みやすい翻訳だと思います。
梶原) 小間使い君。本気でやってみないか?
はな) えっ?
梶原) これをたたき台にして手を入れれば、
    使い物になりそうだ。
はな) こぴっと頑張ります!
英治) こぴっと?
梶原) それ、どこの国の言葉?

**********

蓮子) 小間使いから翻訳者に昇格ね。
    おめでとう。
はな) ありがとう。
蓮子) でも忘れないで。
    最初にあなたの才能を認めたのは、私よ。
はな) ええ。もちろん、忘れませんとも。
蓮子) これからは、女も自分の才能を伸ばして、仕
    事をして、男の人や権力に寄りかからずに、
    自分の足で歩いていける時代が来ると思うの。
はな) それって…仕事一筋で、生きるっていうこと?
    ブラックバーン校長や、富山先生のように。
    私は仕事はしたいけれど、1人で生きていく覚
    悟はないの。結婚もしたいし、子供も欲しいわ。
    うちのおかあみたいに。
蓮子) 両方やればいいじゃないの。
はな) えっ?
蓮子) 与謝野晶子をごらんなさい。鉄幹と結婚して、
    精力的に仕事を続けながら、子供を何人も産
    んでるのよ。
はな) へえ~!
蓮子) そういえば、はなちゃんは、
    花子と呼ばれたいって、言ってたわよね。
はな) ええ。
蓮子) 世に自分の作品を出す時に、
    その名前を使えばいいじゃないの。
はな) ペンネームね!

(「翻訳者 安東花子」と書いてみせる蓮子)
蓮子) うん。悪くないわ。
はな) こぴっと、やる気が出てきたわ。
蓮子) 頑張って。
はな) 蓮様の夢は、
    燃えるような本物の恋、ですよね。
蓮子) ええ。そして、恋の歌をたくさんつくるの。
    これが、私のペンネーム。
はな) 白蓮? 素敵!


蓮子ははなと過ごしながら、
失われた青春の時間を取り戻していました。
そして、
このキラキラした時間がず~っと続いてほしいと、
蓮子もはなも思っておりました。

はな) これにて。
蓮子) 花子先生。では、ごきげんよう。

**********

蓮子) 失礼します。
葉山) 蓮子。
蓮子) お兄様、どうなさったんですか?
葉山) 例の縁談の事で…。
蓮子) それはお断りしたはずです。
葉山) 
(頭を下げて) 頼む。助けてくれ。
蓮子) お兄様?
葉山) この縁談を受けて、葉山の家を救ってくれ。

運命の歯車は、
蓮子の知らないうちに回り始めていたのです。

ごきげんよう。さようなら。

**********

恋バナには目がない醍醐さんにより、語られた富山
先生の過去。なるほど~文学青年ロミオは、お金に
目が眩んだのか、野心家だったのか、親に逆らえな
かったのか、毒薬を飲んで死ぬどころか、富山先生
を捨てて逃げた(とまでは言い過ぎかw)らしいと…。

編集長と富山先生の、逢引きシーンが頭から離れな
いはなは、得意の妄想の翼を広げ…。富山先生の
セリフの声色がツボ。はなイメージの富山先生はあ
んな風なのね~と。予告の映像は妄想映像なのか、
実はリアルでも同じ事が起こるのかが気になります。
蓮子の言葉に、思うところありの富山先生なのか…。
このまま何もないよりは、何かが起こりそうなら、心
のままに思うところを、愛を貫いてほしいものですが。

それにしても、学者先生の翻訳の言葉は専門的すぎ
て、一般人には意味不明。バカでもわかる…というよ
りは、子供でもわかると言ってほしかったけど、誰に
でもわかりやすいように説明できる人こそが、本当の
意味で頭がいい人だとは思う。言葉は悪いけど…最
上級の褒め言葉をもらえたはな。未来予想図が見え
てきた展開。こぴっと頑張りますというはなに、どこの
国の言葉かとツッコミが入ったシーンが萌えのツボ♪
いや~あんな可愛い子から、「てっ!」や、「こぴっと」
なんて、セリフを聞いた日には、恋に落ちてしまう~!
(私が男だったらと…、妄想の翼を広げてしまったw)

翻訳者として作品を世に出す時に、「花子」というペン
ネームを使えばいいという蓮子。白蓮というペンネー
ムも披露。未来を夢見る二人のキラキラした時間が、
本当にもっと続けばいいのにと思ってしまったシーン。
なのに、すぐさま暗雲たちこめる運命の歯車は回りだ
し。エッヘン兄の願いなぞ聞いてやらなくていいのに!
と思いつつ、そうできない時代の不自由さが…切ない。


「花子とアン」関連ブログはこちらから↓
「花子とアン」関連ブログリスト

●「花子とアン」HP


ランキングに参加しています。
ポチっとしていただけると、嬉しいです♪


にほんブログ村


連続テレビ小説 花子とアン Part1 (NHKドラマ・ガイド)/NHK出版
¥1,155
Amazon.co.jp
アンのゆりかご―村岡花子の生涯 (新潮文庫)/新潮社
¥788
Amazon.co.jp
『赤毛のアン』と花子: 翻訳者・村岡花子の物語 (ヒューマンノンフィクション)/学研教育出版
¥1,365
Amazon.co.jp
村岡花子と赤毛のアンの世界/河出書房新社
¥1,680
Amazon.co.jp
アンを抱きしめて―村岡花子物語/NHK出版
¥2,100
Amazon.co.jp
花子とアンへの道: 本が好き、仕事が好き、ひとが好き/新潮社
¥1,470
Amazon.co.jp
村岡花子: 「赤毛のアン」の翻訳家、女性にエールを送りつづけた評論家 (KAWADE夢ムック .../河出書房新社
¥1,260
Amazon.co.jp