「花子とアン」第147回~行くところがない吉太郎と、動き出した花子 | 日々のダダ漏れ

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「花子とアン」 第147回
第25週 「どんな朝でも美しい
行くところがない吉太郎と、動き出した花子


花子) 蓮様…。
蓮子) あなたが純平を戦地へ送ったのよ。あなた…
    ラジオで日本中の子供たちに語りかけてたじゃ
    ない。「お国のために命を捧げなさい」と。
    純平を返してちょうだい!
花子) 蓮様…。
蓮子) お願い…。純平を…。
花子) 蓮様…。
蓮子) (泣) 
あなたのせいで…。
    あなたのせいで純平が!
    返して…返してちょうだい!
花子) 蓮様…。
龍一) 蓮子、よさないか! 
純平が死んだのは、
    花子さんのせいなんかじゃない。
    戦争のせいだ。花子さん…すみませんが、
    今日はお帰り下さい。

**********

吉太郎) はな。
花子) 兄やん…。
吉太郎) どうかしたのか?
花子) あ…ごめんなさい。入って。


**********

吉太郎) 美里と直子は?
花子) 学校よ。空襲で校舎は焼けてしまったけど、
    9月から、授業を再開したの。
吉太郎) そうか。英治さんは?
花子) ももや旭さんたちと、甲府に、
    食糧を調達にしに行ったわ。
吉太郎) そうか。
花子) 兄やん?
吉太郎) みんな無事だって聞いて安心した。
     大森の町も随分焼けたのに、
     この一角は焼け残ってよかったな。
花子) ええ。兄やん、ずっと顔見せてくれないから、
    みんなで心配してたのよ。
吉太郎) ああ…いろいろと忙しくてな。
     醍醐さんはどうしてる?
花子) 南方から戻ったっきり、まだ会えてないの。
吉太郎) そうか…。
花子) これから日本はどうなるのかしら…。
吉太郎) さあな…。
花子) 兄やんは? 軍人が大勢逮捕されてるって、
    新聞に出ていたけど。
吉太郎) 俺たちは戦争に負けたんだ。
     どうなっても仕方ないさ。
花子) 兄やん…。
    ごめんなさい。何も出してなくて。
吉太郎) いや、もう行くからいい。
花子) まだ来たばかりじゃない。ちょっと待ってて。
    防空壕にお菓子があるの。

(お菓子を持って戻ると吉太郎の姿はなく…)
花子) 兄やん?

**********

醍醐) 吉太郎さん? 吉太郎さん!
吉太郎) 醍醐さん…。
醍醐) よかった…。ご無事だったんですね。
吉太郎) あなたもご無事でよかった。
     心配していたんです。
醍醐) 私も、ずっと心配してたんです。
吉太郎) もう、自分の事は心配しないで下さい。
醍醐) えっ?
吉太郎) 醍醐さん…。あなたに会えてよかった。
醍醐) 吉太郎さん…。
    どこかへ行ってしまわれるんですか?
吉太郎) いえ。自分には行くところなんてありま
     せん。すみません。これで失礼します。
醍醐) 待って下さい!
    また…すぐにお目にかかれますよね?
吉太郎) どうか、幸せになって下さい。
醍醐) 吉太郎さん!


**********

(回想)
蓮子) 純平。よろしくね…。

純平) じゃあ、僕、お母様を、
    ず~っと守ってあげるよ。

蓮子) 純平! 武運長久を、祈っています。
純平) はい!


富士子) お母様も、お夕食を召しあがって下さい。
     もう何日も食べていないでしょう?
     少しだけでも…。

(戸が揺れる音)
蓮子) 純平?
    純平! 純平なの? 帰ってきてくれたのね!
    純平。純平…。純平…。(泣) 純平!
龍一) 蓮子!
蓮子) (泣)


**********

梶原) あ、ここだよ。
小泉) ああ…。村岡花子先生のお宅、
    あの空襲でも焼けずに残ったんですか。
梶原) ごめんください!
花子) は~い。ああ、梶原さん、
    お待ちしてました。どうぞ。
梶原) いや~元気そうで何よりだよ。
花子) ええ。
梶原) あっ、こちら、小鳩書房で、
    児童文学の編集をしている、小泉君だ。
花子) ごきげんよう。村岡花子です。
小泉) この度は、お忙しいところ、お時間を作って
    頂き、誠に恐縮でございます。
花子) ああ、そんなかしこまらないで下さい。
    片付いていませんが、どうぞ。
小泉) 失礼します。
梶原) さあ。


**********

小泉) うわ~! すごいですね!
    こんなに本が残っているとは。
英治) ああ、どうも。梶原さん。
    ご無沙汰してます。
梶原) いや~英治君も元気そうで何より!
英治) おかげさまで。
花子) 英治さん。こちら、小鳩書房の小泉さんよ。
英治) どうも、初めまして。
小泉) どうも。お二人のお話は、
    梶原さんから、いろいろと伺っています。
    大変仲のいいご夫婦との事で。
英治) ああ…いや…。
梶原) 英治君、聞いたよ。青凛社のこと。
    本当に残念だったね。
英治) ええ…。今はまだ、食糧を作ったりするので
    精一杯ですが、また何かの形で、本の仕事を
    したいと思ってます。
梶原) そうだね。
英治) とにかく、家族と、このうちが無事だっただけ
    で、幸運です。梶原さんのところは?
梶原) 家は焼けてしまったけど、幸い、妻の実家は
    無事でね。妻と2人で、身を寄せているんだ。
花子) 富山先生…あっ、今は梶原先生ですね。
    お元気でいらっしゃいますか?
梶原) ああ。彼女は、家より、
    本を失ってしまった事を悔やんでるよ。
花子) あっ、あの、いつでも本を読みに
    いらして下さいとお伝え下さい。
梶原) 世の中が少し落ち着いてきたら、出版業界も、
    一気に動き出すと思うんだ。これから、出版で
    きる原稿を探していると言うんで、小泉君を連
    れてきたんだよ。
花子) ああ、そうですか。
梶原) 実は小泉君、「にじいろ」のファンだったそうだ。
花子) そうなんですか?
英治) へえ~!
小泉) はい。お小遣いをためて、毎号買っていました。
    先生の、「王子と乞食」も、
    もう夢中で読みましたよ。
梶原) これは、君を紹介しない手はないと思ってね。
花子) 「にじいろ」のファンと、お仕事を一緒にできる
    日が来るなんて、何だか不思議な気分です。
小泉) 早速ですが、先生の翻訳されたものを、
    弊社で、出版させて頂けませんか?
花子) あ…それは、私も嬉しいお話ですが。
    でも、すぐに、出版なさりたいのでしょう?
小泉) そうなんです。短編でも、長編でも、何か、
    翻訳が終わっている原稿があれば。
花子) あっ、ちょっとお待ち下さい。
小泉) はい。

**********

花子) お待たせしました。
    こちらの作品はどうでしょうか?
小泉) ああ…ストー夫人ですか。
花子) ええ。戦前に訳し終えたものなんですけど、
    結局出版を見合わせる事になってしまって。
    こちらでよろしければ。
小泉) ありがとうございます。
花子) それから…。こちらは、
    翻訳し終わったばかりのものなんです。


花子が空襲の中、命懸けで守り、
翻訳した物語が、
いよいよ出版されるのでしょうか。

ごきげんよう。さようなら。

**********

すっかり老け込んで、気力を失くしてしまったかのよ
うに見える兄やん。真面目な人なだけに心配です。
醍醐との再会でも、「行くところなんてありません」と、
不安を煽るセリフを残して去っていく兄やん。どうか
幸せになって下さいと言われても…。ここまで待た
せてしまったのだから、「おまえがしろよ!」って話。
まあ、最後に残った恋バナが吉太郎と醍醐なので、
おそらく、何とかなってしまうのだとは思いますが♪

そうそう…。恋バナといえば、どうでもいい話ながら、
なぜか引っ張ってきた富山先生と梶原さんのお話も、
ドサクサに紛れて、ちゃんと結婚してたんですよ~と
視聴者にお知らせするかのような説明台詞で苦笑。

そして花子のもとには、いつも通り、棚からぼたもち、
幸運が向こうから歩いてやってくるようで。やたら爽
やかな編集者小泉君登場。登場人物がどんどん老
けていく中、絵面的に若い人も出しておかないと~
と思ったのかどうかはわかりませんが、一服の清涼
剤的な存在になりそう。気になって調べたら、中の人、
白石隼也君は、ジュノンボーイ出身、そして仮面ライ
ダーウィザードの人らしい。朝ドラのライダー率高し!
彼のTwitterは、こちら

花子が小泉君に差し出した原稿は、「アンクルトムの
小屋」だったのですね。ストー夫人と言われてもピン
と来なくて、そんなお話あったっけ?と思っちゃって。
アンのお話の方は、すぐには出版されないはずだけ
ど、もう時間がないので、障害があってもすぐにまた
ワープして、あっという間に出版されそうな気が…w


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