映画 「レンタネコ」

映画 「レンタネコ」



サヨコ（市川実日子）は、都会の片隅にある

平屋の一軒家で、数えきれないほどの猫た
ちと一緒に暮らしている。幼いころから人間
よりも猫に好かれる子どもだった彼女の状
況は今も変わらず、サヨコは、占い師などの
数ある肩書とは別にある仕事をやっていた。
それは寂しい人に猫を貸し出す「レンタネコ」
という一風変わった商売で……。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

子どもの頃から、

なぜか私の周りには、

いつも猫が寄ってきた。

学校の帰り道や、

お使いに行った先、

公園でブランコに乗っている時、

河原を散歩している時、

どこからともなく猫が寄ってきて、

私をじっと見つめるのだった。

猫に好かれる特殊な匂いを発して

いるのか、気になるところだ。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

猫が寄ってくる人、

というと聞こえがいいが、

猫だけが寄ってくる人、

というのは問題だ。

私は、人間にも
寄ってきてもらいたい。

最近、目標を作った。

目標は、紙に書いて、

目に留まる所に貼っておくとよい、

と、誰かが言っていた。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

サヨコ）　♪レンタ～ネコ。レンタ～ネコ。

　　　　　寂しい人に～猫、貸します。
　　　　　♪レンタ～ネコ。レンタ～ネコ。
　　　　　ネコネコ。

　　　　　寂しい人に～猫、貸します。
　　　　　♪レンタ～ネコ。ネコネコ。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

ニューヨークで有名だというドーナツは、
確かにおいしかった。でも、正直言うと、
子どもの頃、おばあちゃんが揚げてくれ
たドーナツの方が、何倍もおいしいと思
った。大きさはまちまちだったり、お砂糖
のまぶし具合もものによって違っていた
り、それこそ、Ｃランクのドーナツだった。

でも、私にとっては、誰がなんと言おうと、
おばあちゃんのドーナツの方がうまかった。
もう２度と食べる事はできないけれど。

きっと、誰かにとっての大切なものは、
それがどんなものでも、一番なんだと思う。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

私は、とっても駄目な中学生だった。
忘れたい過去だ。
でも、おばあちゃんはいつでも、
私の最強の味方だった。

サヨコ）　おばあちゃん。

　　　　　猫の優しさでも、

　　　　　埋められない穴ぼこがあるのかなあ。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

おばちゃんが死んだあと、
心に、ぽっかり穴が開いてしまった。
おばあちゃんが死んでしまったというのに、
毎日、むかつくほどまぶしい朝がやって来て、
バカみたいに一日３回おなかがすいて、
しつこいくらいに、日が暮れると月が昇って。
吐き気がするような春が終わり、
狂った夏が過ぎ去って…。
悲しみがいっぱいで。
塞ぎようのない、心の寂しい穴ぼこを、
少しずつ埋めてくれたのは、猫たちだった。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

どうしようもなく寂しい人がいっぱいいる。

救われない悲しみが、たくさんある。

だから今日も、寂しい人に猫を貸そう。

心の穴ぼこを埋めるために。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「かもめ食堂」の監督、荻上直子さんの作品。
彼女の世界観が好きな人向けの、ある種の、
ファンタジー。もちろん、私は嫌いじゃない方。

サヨコの目標が変わっていくのが面白かった。

「今年こそ 結婚するぞ」
「焦りは禁物！顔で選ぶな」
「新婚旅行はハワイ その前に相手」

あの猫たちと一緒に結婚するには、レンタル
する相手以上に人を選ぶ気がするけれど…。
目標は、紙に書いて、目に留まる所に貼って
おくとよいというのは、確かに有効。意識する
事は大事。実際にかなうかどうかは別として。

どうしようもない寂しさを、心に空いた穴ぼこを、
レンタル猫が埋めてくれるかどうかは分からな
いけれど、一人でいるよりは、猫といたほうが、
何となく少しだけ救われるような気はするけど。

♪レンタ～ネコ。レンタ～ネコ。

　寂しい人に～猫、貸します。

♪レンタ～ネコ。レンタ～ネコ。

　ネコネコ。

この「ネコネコ」がツボ。「石焼イモ～イモイモ」
の口上で、猫を乗せたリアカーを引くサヨコの
姿を、遠くから生あたたか～く見守っていたい。
うっかり目があったら…レンタルしちゃうかもｗ

●「レンタネコ」公式ＨＰ

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