空想大河ドラマ「小田信夫」第4回~本能寺の辺 | 日々のダダ漏れ

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空想大河ドラマ
「小田信夫」




第4回 「本能寺の辺」

明智が謀反を起こしたとの一報を受け、逃げるよ
う諭す柴田やお毛に対し、間に合わなかったら嫌
だと、逃げるそぶりも見せず「人間五十年」を舞う
信夫。寺に火がかけられ、進退窮まり、何もかも
どうでもよくなった信夫は、寺が炎上するさまを美
しいと眺め、燃え盛る本能寺あたりの寺でいつま
でも舞い続けるが...。


**********

林) 殿! 一大事にござる!
柴田) 騒ぐな! 大声を出さなくても聞こえるわ。
林) 失礼致しました。
信夫) よい! 申してみよ。
林) 軍勢に囲まれております!
柴田) 何っ!?
信夫) 落ち着け。して…誰の軍勢ぞ?
林) それが…。
柴田) え~い、何をためらっておる。早く申せ!
林) 明智充様の軍勢にございます!
柴田) 何!? 明智殿が謀反を起こしたと申すか。
   バカを申すな!
林) しかし真実でございます!
柴田) オヤカタ様、今すぐお逃げ下され。
   ここは、この柴田がしのぎ申す!
信夫) ハハハハハハハハハ! ハハハハハハハ!
   明智のやつめ。柴田よ、ついてまいれ。
柴田) いやしかし…すぐ明智が参ります。
   急ぎお逃げ下され!
信夫) 明智が謀反を企てたのであれば、
   もはや逃げ道など残っておるまい。
柴田) いやしかし…。
信夫) ついてまいれ。舞うぞ。


1563年、永禄6年5月、
本能寺辺りの寺に滞在していた信夫様は、
反旗を翻した明智様の、
急襲を受けたのでございます。


**********

信夫) 舞の支度はできたか?
柴田) はっ。オヤカタ様、今は舞を舞ってる
   場合ではございません。
信夫) くどい!
柴田) しかし…。
信夫) 人間の命、たかだか五十余年、
   わしも十分に生きたわ!
柴田) しかし…。
信夫) 柴田よ、人の一生も、舞のようなものぞ。
柴田) 明智殿の謀反、それがし納得がいきませ
   ぬ。あんなに仲良しだったのに。
信夫) 仲良し仲良しと思っていても、
   腹の中までは分かり合えぬのが人よ。
お毛) 殿!
信夫) お毛、こんな所で何をしておる!
お毛) お毛は、お毛は…「信夫様がいない
   世の中で生きていく事など、とてもでき
   ません!」、と言えと言われて来ました。
信夫) え?
お毛) そう言えって言われたから来ました。
信夫) 言われたから来たの?
お毛) はい。
信夫) 誰に?
お毛) 殿の知らない男の人に。
柴田) 殿…奥方様は、
   戦国一の、おなごにございますな。
信夫) えっ? そうかなあ。
お毛) どこに参られるのですか?
信夫) うむ。もはやここまでじゃ。
   最期に舞でも舞おうと思ってな。
お毛) えっ、何で?
信夫) 何で?
お毛) 逃げた方がよろしいんじゃありませんか?
信夫) もう間に合わないし。
お毛) 間に合わなかったらその時でしょう?
柴田) ですよね?
信夫) お主らは何を言っておる。
   大名が逃げる途中で捕まって
   死んじゃったら格好悪いではないか。
柴田) でも死んじゃうんだから
   格好悪いも何もないでしょ?
お毛) そうですよ。
信夫) そうかなあ?
お毛) そうですよ。逃げましょうよ。
信夫) でも今から逃げて間に合う?
柴田) だから早い方がいいですって。
信夫) でも、今、逃げるとするだろう?
   …で、ギリギリのところで
   捕まったとするだろう?
柴田) はい、それはもう
   しょうがないでしょう?
信夫) そしたら悔しいじゃない? だってさっき
   逃げていれば、急いで逃げていれば助かっ
   たかもしれないんでしょう?
柴田) いやそれはしょうがないじゃないですか。
お毛) そうですよ。
信夫) いやいやいやいやいや…すんでのところで
   捕まったとしてだよ? この会話の時間もなけ
   れば、ギリギリ助かったかもしれないでしょう?
柴田) だから早く逃げましょうよ。
信夫) だから、今逃げても遅いかもしれない
   でしょっていいう話をしてんの!
   分かんないやつだなあ。
柴田) 分かんないのは殿の方でしょ?
信夫) 何で?
お毛) 私、逃げようかな。
信夫) えっ?
お毛) でも、明智殿だったら、
   私の事は殺さないかも。
柴田) 多分そうですよ。
   それがしも謝れば大丈夫じゃないかな?
   お坊さんになるとか何とか言って。
   だって、それがし悪い事してないし。
信夫) わしは?
柴田) 殿は、だって…ねえ?
お毛) ですよねえ。
信夫) え~? じゃあもういいよ。
   やっぱり舞うよ! わしは!
お毛) あ…私、行っていいですか?
信夫) どこへ?
お毛) 自分の部屋。
信夫) 何で? これから舞うんだよ?
   小田信夫が!


**********

(寺の外、兵を率いた明智がいる)

明智) 敵は…。本能寺の辺りに、あり~!
家臣たち) ん?
明智) あるかなしかで言えば…。
家臣) えっ?
明智) あり~!
家臣) あるかなしかで言えば?
明智) あり~!
家臣たち) お~!


**********

(本堂)

信夫) ♪人間五十年…
(踊る信夫の顔から面が落ちる)
信夫) ♪人間五十年…
(面が落ちる音)
信夫) あ…これやっぱなしにしようかな。
柴田) それ、うたう時に着けちゃ
   駄目な面じゃないですか?
お毛) えっ?
信夫) いや、これ、噛んで固定するやつ
   だから、うたいづらいんだよ。
柴田) だからうたう時に着けちゃ
   駄目なやつじゃないですか?
お毛) じゃあ私踊っていいですか?
信夫) 何で? これは歴史に残る場面だから、
   わしが舞わないと。
   お毛は「よ~!」って言って。

(面を置き、仕切り直す信夫)
信夫) ♪人間 人間 人間五十年~
お毛) よ~。
信夫) ♪下天のうち くらぶれば~
お毛) よ~。
信夫) ♪夢まぼ 夢まほ 夢幻の如く
柴田) 殿、殿…。
信夫) 何よ?
柴田) これいつもと違いません?
信夫) いや、ちょっと新しく編曲して
   みたんだけどどうかな?
柴田) 何で?
お毛) あ…普通のやつがいいです。何か
   「よ~!」って言いづらいです。
信夫) そう?

(鼓を構える柴田)
信夫) ♪人間五十年~
お毛) よ~!
信夫) ♪下天のうちをくらぶれば~
お毛) よ~!
信夫) ♪夢幻の如くなり~
お毛) よ~!
信夫) ♪ひとたび 生を得て~
林) ごめん!
信夫) ♪滅せぬもののあるべきか~

(林乱丸が現れ、柴田とお毛に耳打ちする)
信夫) ♪人間どうしたの~?
(気になる信夫)
信夫) ♪どうしたの~?
柴田) えっ?

(出ていくお毛と柴田)
信夫) ♪どうしたの~? どこ行くの~
   人間五十年~みんな行ってしまった~
   わしは誰のために~
   下天のうちをくらぶれば~  
   夢幻なの? ひとたび生を得て~
   これが最期の舞なのに~
   一生懸命みんなに好かれようと~
柴田) オヤカタ様!
お毛) 舞をおやめ下さい!
信夫) 何じゃ?
柴田) 明智めが、火矢を打ちかけました。


**********

明智) 放て~!
(寺に火矢を打つ兵たち)

**********

林) オ~ヤカ~タ様~!
信夫) あいつふざけてんだろ!
柴田) あれは、いつもあんな感じです。
お毛) 殿、逃げましょう。
林) お~逃げ下さ~い!
信夫) やっぱふざけてない?

(刀を構えた明智が現れる)
柴田) 乱心したか、明智!
信夫) 明智よ、わしの首、取りに参ったか。
   しかしこの首! そう簡単にくれてやる
   わけには、いかんのう。

(刀を抜く信夫) 
明智) 何やってんでござるか?
信夫) えっ?
明智) 何で逃げないんでござるか?
信夫) えっ?
柴田) いやいや…明智どん、
   何を言ってるんでござる?
明智) 火を放たれてるのに、何でこんなところ
   でぼんやり舞なんか舞ってるんですか?
信夫) いや…その方が放ったんであろう? 火。
明智) そうだけど。
   誰が放とうが、火は火でしょ?
   危ないじゃないですか! 信夫様が死んだら、
   小田家はどうなるんですか。
   まだお世継ぎもいないのに。
信夫) お毛の前でお世継ぎの話とかしないで!
お毛) あっ、大丈夫です。慣れてるんで。
信夫) ほら…。
柴田) 明智殿…貴殿、謀反したんだよね。
   何普通に話してんの? 駄目でしょ。
   殿の事殺そうとしたんだから!
明智) 殺そうとはしてないでござる!
   だって逃げるでしょ、普通。
信夫) わしは逃げん!
明智) 逃げなさいよ! 柴田殿も何で
   「逃げろ」って言わないの?
柴田) 言ったよ! だけど殿が逃げないんだよ。
明智) 何で?

(信夫を叩く明智)
信夫) だって逃げたら負けだろ!
明智) そうだけど…。
   いいからとにかく逃げて下さい!
柴田) 貴殿、何がしたかったの?
   謀反したんじゃないの?
明智) まあ、謀反はしてみたけど、
   やっぱりほら…愛着もあるし。
   友達でしょ?
柴田) そうだけど…。それなら、もともと
   謀反しなきゃよかったんじゃないの?
明智) それがしは、小田家の事を思ってね、
   「このままじゃ駄目だ。信夫様をしっかり
   させないと」って思って、ず~っと考えて
   たら、何かもう「わ~!」ってなっちゃって。
   「やっちゃえ~!」みたいになっちゃって。
   火までつけちゃった。
柴田) ええ?
明智) 何かちょっと、歯車1個間違えちゃった。
柴田) 1個?
明智) あるでしょ? そういう事。
   考え過ぎて、本末転倒になる事。
柴田) 転倒し過ぎでしょう。
   いくら何でも。ねえ?
お毛) 分かる。でも…。
柴田) えっ、分かんの?
お毛) 何か、アリを見ていて、かわいいなあ
   と思うけど、イラっとして踏んづけちゃう
   気持ちでしょ?
明智) ああ、それとは違います。
信夫) もうよい。

(縁に立ち、庭に舞う火の粉を見つめる信夫)
信夫) ほら…きれいだよ。
柴田) きれいだけれども…。
信夫) 皆で舞おうではないか。
柴田) いや…
   今舞ってる場合じゃないでしょ?
   お坊さんたちにだって迷惑かけてる
   んだから。消すか逃げるかしないと。
信夫) 大丈夫。相手はお坊さんであるぞ。
   そんな事では怒らない。
柴田) いくらお坊さんでも、
   寺焼かれたら怒りますって。
明智) さすが殿でござる。感服つかまつった。
柴田) 何に?
明智) かような状況でも、その豪胆な振る舞い、
   まさに天下人の器でござる。この明智、
   感服つかまつった。
柴田) あっ! そんな事言って、自分のした事
   うやむやにしようとしてるでござるな?
   殿! 騙されちゃ駄目でござるよ。
   謀反起こしたの、この御仁ですからね。
信夫) ハハハハハハハハハ!
   小さい事はよいではないか。
   余は天下人の器であるぞ。

**********

明智) よ~!
信夫) ♪人間五十年~
お毛・明智) よ~!
信夫) ♪下天のうちをくらぶれば~


オヤカタ様は、
燃え盛る本能寺辺りの寺で、
舞を舞ったのであります。
本能寺辺りの変と呼ばれ、
後世に伝えられる事はなく、このあと、
小田家がどうなってしまったかには、
諸説ありますが…


お毛) お三方、恰好いいですよ!

あまり知られておりませんし、
知りたくもありません。




**********

本当にあの明智が謀反を起こしたのにびっくり!
てっきりなんちゃって謀反かと思っていたら、火
矢まで打つなんて、割と本格謀反じゃないか~。
ホントに? マジで? と思いながら、信夫の人間
五十年に笑いつつ、結構ドキドキしてしまった~。
信夫が結構ちゃんと「殿」だったことにびっくり~。
謀反は結局うやむやになってしまったけれど…w

意外とマジで、意外と戦国で、意外と面白かった。
燃え盛る本能寺の辺りの寺で、舞を舞う織田信長
に名前が似ている男の「本能寺辺りの変」。ププ。
確かに「変」だった。だって「空想大河」だから~!

今も、昔も、自分の名前と同じだったり、似ている
有名人がいたら、何気に気になるよね~。そんな
信夫の、信長を意識しちゃう気持ち、分かるよ~。
たったの15分だけど、朝ドラより中身が濃い15分。
何ならいっそ…戦国時代のキャラを使って、空想
朝ドラファンタジーを作ってみる…なんていうのも
面白そう。似てるけど別人の「べつじんさん」とか。

NHKさんには、民放にはできないドラマにどんどん
チャレンジしてほしいな~と。秘かに期待…(*^^)v


●「小田信夫」HP

「小田信夫」関連ブログ↓
第1回~決戦桶狭間
第2回~武士の威信
第3回~黒田城攻め
第4回~本能寺の辺

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