孤独のグルメ Season6
第2話
東京都新宿区 淀橋市場の
豚バラ生姜焼定食
あ~気持ちいい朝だ。
8時半か…。
4時起きだったからな…。
ひと仕事終わらせて…。
腹が…すっからかんだ!
店を探そう!
この時間に開いてる店…どこだ?
モーニングのトーストじゃ物足りない。
米…ご飯食べたい!
となると…牛丼の店か…。
えっ?
こんなところに…市場?
市場なら早朝からやってる食堂とか
あったりしないかな…。
**********
青果市場みたいだな…。
ここで働く人たちが行くような店、
ないかな…。
この建物…怪しいな…。
あった!
やっぱりあった! やってるやってる!
うん。この看板とのれんの感じ、
グッとくるじゃないか…。
「伊勢家食堂」
よ~し。けさは市場飯だ。
**********
いかにも市場の食堂…。
この人たちもみんな、
今がまさに昼飯どき。フッ…。
電・客) キャベツがゲタメで、
ジャガイモがダリハン。
市場人しかわからない単語ばかり…。
さて…ここで食うべきものはなんだ?
カツ丼に…
へぇ、生姜焼はバラとロース、
両方あるのか。珍しいな。
50円引き。
増しと、引きがあるのか。
おもしろい。
カレーは月曜、まぐろは金曜。
今日は何曜だっけ?
えっ…えっ、何このカレンダーの数。
黒板が今日のメニュー。
おっ、アジフライ。
塩さけ定食もいいな。
なるほどこっちは副菜か。
ん? トマト酢漬?
アジフライにもひかれるけど、
今の気分は労働後の肉。
プラス、小鉢の連打だな。
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定員の動きがいい。
忙しいなかでも気配りがある。
これはうまいものが期待できる。
**********
女将) お漬物どうぞ。選んでください。
五郎) え?
女将) 6種類あります。
五郎) あぁ…。じゃ、これを。
女将) はい。
いろんな組み合わせの漬物を用意して
客に選ばせるなんて、すばらしいな。
一番いいかげんになりがちなところを。
あららら…いや~。
朝からすごいことになっちゃったな。
五郎) いただきます。
「豚バラ生姜焼」
飯一杯じゃ太刀打ち出来ぬ
おかわり必死の破壊力!
おお~質実剛健。
空腹にずばっとこたえる、
この香りと生姜のパンチ。
やっぱり、豚バラ生姜焼定食は、
定食界でも別格だな。
このタレ。
ご飯が進みすぎる。
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「たけのこ土佐煮」
かじればホッコリ おふくろの味
この時季、
たけのこの文字を見ると
条件反射的に頼んじまう。
やっぱりうまい。
四季のある日本。旬のある幸せ。
う~ん。漬物、ちゃんとうまい。
ああ~味噌汁もいいじゃないか。
ここ、ほんとに誠実な店だ。
おっと、ちょっと出づらい。
七味漬物、これも美味。
**********
「明太子」
ひと口サイズで3切れ。
この店の小鉢は、
ちゃんと小鉢然とした量でうれしい。
このサイズでこの破壊力。
ご飯の劣勢は必至。
その劣勢をしのいでくれるのが、
このおろしってわけか。
豚バラは飯の巻き食いが
できるのがいいんですよ。
ほ~らうまい。
つけ合わせのキャベツも、
この店では立派なごちそうだ。
そこに唯一、海の滋味が、
定食に深みを与えている。
**********
これは、初めて…。
「トマト酢漬」
おおっと! コイツは!
トマトとお酢のケミストリー
ほほ~こうなるか。驚いた。
めちゃくちゃうまいじゃないか。
玉ねぎもきいてる。
この手があったかって感じ。
さすがさすが青果市場。
野菜がもれなくうまい。
客) 肉豆腐、茶碗八分目。
女将) はい。肉豆腐、茶碗八分目。
細かいなぁ。
フッ。いかにも仕事の途中飯だ。
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最高だ。
9時3分の市場食堂で、
生姜焼定食の充実。
うん。うまい。
生姜焼のタレをつけたキャベツ。
これは名もなき一つの料理だ。
うまいという生命の実感。
うん。食べながら考えてたんだ。
納豆食うタイミング。大丈夫。
この店には、あの手がある。
五郎) すみません。
女将) はい。
五郎) ご飯のお代わりください。
女将) はい。
五郎) 茶碗、八分目で。
女将) はい。茶碗八分目。
ゲン) ごちそうさまです。
女将) ああ、ちょっとゲンちゃん、これ。
ゲン) どうも、ありがとうございます。
ゲンちゃん専用おにぎり。
頑張れ、ゲンちゃん。
客) 女将。おにぎり、俺払うから。
女将) はい。
フッ。
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「ご飯(茶碗八分目)・納豆」
店員) はい、おまけね。
五郎) あっ、ありがとうございます。
おかわりお新香。うれしい。
よし。
納豆は、混ぜれば混ぜただけ
こたえてくれる。
よ~し。
白飯と相思相愛。
地味だが、しっかり仕事する納豆は、
朝ご飯に欠かせない名脇役だ。
最後はやっぱりこいつで…。
町の食堂が少なくなっている今、
こんな定食を食べられる幸せ。
生姜焼でご飯をかっこめる、喜び。
俺は今、生きている。
これ以上、何を望む…。
市場朝食、完食。
五郎) あぁ…ごちそうさまでした。
**********
朝しっかり飯を食うのは、
労働の基本だな。
体中に血が巡り、ファイトが沸いてくる。
今日はまだ始まったばかりだ。
一日しっかり働くぞ。
あっ、そうだ。
電・五郎) 滝山、お前また余計なことを…
(電話の切れる音)
(電話の呼び出し音)
(電話の切れる音)
あの野郎…。
**********
市場飯…女性にはちょっとハードルが
高いかも~。豚バラ生姜焼きは普通に
美味しそうだった。小鉢系が充実してい
るのもいい。年取ると、そういうものを、
ちょっとずつ食べたくなるんだよね~。
あっさりちょっぴり。珍しいところで1番
惹かれたのはトマトの酢漬。青果市場
だけあってトマトがすっごくおいしそう。
付け合せのキャベツやお漬物も野菜
が良さそうだし。五郎さんは食べなかっ
たけど、原作者の久住さんが食べてい
たラーメンが、1番食べてみたかったw
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