「ひよっこ」第19回~お父ちゃんね、東京で迷子になっちまったみたいなんだ | 日々のダダ漏れ

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「ひよっこ」 第19回
第4週 「旅立ちのとき」
お父ちゃんね、

東京で迷子になっちまったみたいなんだ

 

 

1964(昭和39)年12月23日

 

奥茨城村にも年の瀬が迫り、

冬の支度が進んでいます。

お父さんが、

帰ってくると約束したお正月は、

もうすぐです。

みね子) じいちゃんまだ炭焼きけ?

美代子) 頑張ってくれてるよ。

みね子) 明日は餅つきの準備しないとね。

美代子) えっ? みね子、映画行がねえのけ?

みね子) うん。行がね。

美代子) え~? 吉永小百合の映画でしょ?

     評判なんでしょ? 「愛と死をみつめて」。

     見たいんでしょ? みね子。

みね子) 違うって、お母ちゃん。私は、映画は

     好きだけど、哀しいのは苦手なの。

     んだからやだよ、私。今は、楽しいのし

     か見たくないの。

美代子) そうけ。

みね子) うん。

 

**********

 

(庭で餅つきをしている谷田部家)

 

みね子・ちよ子・進) よいしょ! よいしょ!

 

お父さん…。

年の瀬が近づいていますが、

いかがお過ごしでしょうか?

東京の冬は、奥茨城より、

少し暖かいと聞いていますが、

本当ですか?

今年の冬は、何だか少し、

いつもより寒く感じます。みんな、

お正月をお父さんと過ごせることを、

楽しみにしていますよ。

帰ってきて下さいね…。

みね子は、信じてお待ちしています。

 

**********

 

(家の表で作業をしている美代子とみね子)

君子) どうもどうも!

美代子) いや、どうも!

みね子) 君子さん、どうも。

君子) うん、頑張ってるね。美代子。

美代子) ん?

君子) ちょっと。

美代子) えっ? それ!

君子) あの、少しだけど、これ、

    何かの足しにして。な?

美代子) いいよいいよ、やだよ。

君子) 何言ってんの? どう考えたって

    あんた今困ってんでしょうよ。

    いいんだってば。

美代子) やだって!

君子) 何で?

美代子) 当り前でしょうよ!

     一生の親友だがらだよ。お金借りて、

     引け目なんか感じたくないの。

君子) そんなもの感じるこど…。

美代子) あんだよ君子! あんの!

君子) わがったよ。ちょっとまた来っから!

美代子) えっ? 何、また来るって!

君子) うるさい!

美代子) 君子!

君子) うるさい!

 

**********

 

(仏壇の前でこっそりお金を数えている美代子)

 

谷田部家、

9月から実さんが消息不明になって、

送金が止まってしまっています。

 

君子) まだ来ました。

みね子) 君子さん…。

君子) お邪魔するよ! よいしょ…。

    これは、我が家からの、お歳暮です。

    気持ちの品ですので。お金ではなく、

    品ですから。受け取って頂きますので。

    これ、お肉! ね? シャケ。

    何か、文句あんの? 美代子。ないよね。

美代子) プッ…。

君子) アハハ!

美代子・君子) フフフフフ! フフフフフ!

美代子) もう~。ありがたく、頂戴致します。

君子) 今年も、お世話になりました。

    来年も、よろしく。

美代子・君子) アハハハハ!

みね子) 君子さん、ありがとう。

君子) うん…あぁ、重がったぁ。

美代子) 当り前だよ。

     こんなに一人で持ってきて。

みね子) わっ、すごいね、これ。

 

**********

 

とうとう、大みそかになりました。

 

(日めくりをめくるみね子)

 

**********

 

(夜、灯のともったバス停)

 

ちよ子) あとちょっとで来る。

みね子) 楽しみだね。

ちよ子) んだね。

みね子) あれ? ほら見て。

ちよ子) あっ!

みね子) 来たよ! 来た来た来た!

進) 来た…。

みね子) 向こうで待とう!

(3人の前に止まるバス)

次郎) みね子、悪いな。今年最後のバスだ。

みね子) 次郎さん、謝るこどないよ。

     よいお年を!

次郎) よいお年を!

みね子) 小太郎さんも、よいお年を。

小太郎) おう。

(バスを見送る3人)

みね子) 帰ろっか。

ちよ子) うん。

進) お父ちゃん、帰ってこねえの?

みね子) うん…仕事が忙しいんだね、きっと。

ちよ子) うん。

みね子) ほら、帰って「紅白歌合戦」見っぺ!

進) んだな。

ちよ子) うん。

みね子) 待って!

ちよ子) 進~!

 

**********

 

ちよ子) 1番~!

みね子) はぁ~疲れた。

美代子) お帰り。

ちよ子) ただいま! 寒がったね。

美代子) お風呂湧いてっから。入ってね。

ちよ子) あ~待て、進!

(美代子に微笑み、首を横に振るみね子)

(頷く美代子)

(頷く茂)

みね子) あ~いい感じだね。

美代子) うまいよ~。

 

**********

 

昭和40年 元旦

 

茂) はい、みね子。

みね子) ありがとう!

茂) 進。

進) ありがとう。

茂) ちよ子。

ちよ子) ありがとう!

(子供たちにお年玉を渡す茂)

美代子) いがったねぇ!

進) 100円だ!

美代子) うわ~すごいねぇ!

ちよ子) 私は200円。

美代子) お姉ちゃんだからね。

ちよ子) じいちゃん、ありがと。

茂) うん。

美代子) ちゃんと持ってられる?

     お母ちゃん持っとくか?

ちよ子) 自分で持つ。

(笑い声)

みね子) みんな、聞いて下さい。

     私は、今年の春に、高校卒業したら、

     東京に行くこどに決めました。

ちよ子) え…?

進) お姉ちゃんが?

みね子) うん。そしてそして、お父ちゃんも、

     見つけてきたいと思ってます。

進) お父ちゃん?

みね子) お父ちゃんね、東京で迷子になっ

     ちまったみたいなんだ。だからお姉

     ちゃん、見つけてくるしかなかっぺ。

(頷く進)

みね子) ちよ子、しっかり手伝うんだよ。

ちよ子) うん…。

みね子) 進も、しっかりすんだよ。

進) うん…。

みね子) うん。じいちゃん、お母ちゃん、

     谷田部家を、よろしくお願い致します。

茂) 何言ってんだ。

(笑い声)

みね子) というわげで! 

     これ、姉ちゃんからのお年玉だ!   

     はい、ちよ子。

ちよ子) ありがとう。

みね子) はい、進。

進) ありがとう。

美代子) いがったねぇ。

ちよ子) お姉ちゃん!

進) お姉ちゃん…。

みね子) 何だよ、泣くほど入ってねえよ。

     何だよ。まだ行くわけじゃねえよ。

 

**********

 

美代子) みね子。

     お母ちゃん、あんたに謝んないと。

みね子) 何で?

美代子) あんたに決めさせてしまった。

     あんたに言わせてしまった。

     それはお母ちゃん、ずるいよね。

     お母ちゃんから言うべきだった。

     お母ちゃんから、

     みね子にお願いすべきだった。

     お母ちゃん、頭ん中で思ったよ。

     お父ちゃんがいなぐなって、このうち

     守っていくためには、みね子に。

みね子) やめて。やだよ…。

     お母ちゃんに言わせたくねえよ。

     だから自分から言ったんだよ。

     だから言わないで。

     言わないで。お願い。言わないで…。

美代子) 分かったよ。

みね子) お母ちゃん…。(すすり泣き)

(みね子を抱き締める美代子)

みね子) お父ちゃん…。帰ってこながったね。

美代子) うん。大丈夫。

**********

なんていいドラマなんですかねえ。

 

あさイチの冒頭、いのっちがしみじみと言った言葉

が全てを物語っている。本当にいいドラマだと思う。

登場人物たちのやさしさに、健気さに、泣ける幸せ。

 

君子と美代子が重ねてきた時間、信頼、友情がち

ゃんと伝わってくる。親友が困っているのを放って

おけない君子の気持ち。親友だから、ずっと対等

でありたいと思う美代子の気持ち。どちらも分かる

から…涙が止まらない。譲れないところ、譲るとこ

ろのさじ加減がちょうどいい。人の好意の受け取り

方は、時にむずかしいものだから。甘えすぎても、

かたくなすぎてもいけない。気持ちがいっぱいつま

った重い荷物を担いで歩いてきた君子。それを持

って帰れとは言えない。もし、逆の立場になったら、

美代子もまた、重い荷物を担いで君子のもとへ駆

けつけるだろうから。友だちってありがたいよね…。

 

大みそかの夜、バス停で父を待つ子供たちの姿が

切なかった。きっと待っているだろう彼らを思って、

次郎さんも胸を痛めたんだろうなって。謝ることじゃ

なくても、そういう気持ちになるよね。「よいお年を」。

やさしい言葉だね。日本語ってやさしいなあと思う。

 

元旦の朝、決意表明をするみね子。さりげなく進に

お父ちゃんの説明をするみね子の言葉のやさしさ。

 

お父ちゃんね、東京で迷子になっちまった

みたいなんだ。だからお姉ちゃん、見つけ

てくるしかなかっぺ。

 

迷子になってしまったら…見つけてあげなきゃね。

東京は、大きな街だから。迷子になったら大変だ。

迷子のお父ちゃんを…捜しにいってあげなくちゃ。

 

また一つ、大人になっていくみね子。切ないなぁ…。

そんなみね子にお母ちゃんはずるかったと謝る美

代子。自分が言わなければいけなかった事をみね

子に言わせてしまったと(まれと常子のお母ちゃん

に美代子の爪の垢を飲ませたい~)。ずるいまま

ではいられないお母ちゃんだから、子供への愛情

にあふれている人だから、分かっているから、自ら

言ったのだというみね子。うんうん、分かるよ~! 

どっちの気持ちも分かる。分かり過ぎて…つらい。

ああ、もうみんなが愛おしすぎてつらい。涙が止ま

らないよ~。大丈夫だよ。きっと、大丈夫だから…。



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