孤独のグルメ Season6
第8話
東京都台東区御徒町の
ラム肉長葱炒めとスペアリブ
一つひとつに気持ちを込める…か。
あらゆる仕事の、基本中の基本だ。
俺もいい仕事で応えなければ。
よし。
あれ? 気合いを入れたら急に、
腹が、減ってきた。
飲食店は…。
宝石街に飯屋はないか。
よし。
**********
ラーメン…。
ちょっと違うか。
こっち…いや、あっちか。
おっとインド料理。
居酒屋ランチか。違うな。
羊?
「羊香味坊」
魚羊麺、炒飯…。
中華系の羊料理ってことか。
いいような気がする。
いや、きっといい。
全然分かんないけど。
この胸騒ぎを俺は抑えられない。
入ろう。
**********
台湾のシャレた食堂って感じ?
ランチメニューに、おすすめ肴。
これが基本メニューか。へぇ~。
ここ、俺的に前例のないタイプの店だ。
これは注文の組み立てが難しい。
前菜から順にいくか。
先回りでメインを決めるか。
おっと、おいでなすった。
点心ラム尽くし。
ひとつ選ぶなら、餃子か…。
いや待て。焼売、小籠包…。
なに? ラム イン お焼き。
うん?
スープがラムなら飯もラム。
うわっ、こっちは更にラム。
おっと、スペアリブまでラムか。
徹頭徹尾、圧倒的なラム推し。
すごい。メニュー羊まみれ。
へ~薬味も選んで頼むのか。
面白いな。
おすすめ、羊は…1と8。
茹で野菜の田舎醤で食べる冷菜?
風干魚!
アウトオブ想像力。
店員) お待たせいたしました。
ランチのBですね。
豚三枚肉と鴨。
この店であえてラムはずし。
もはや勇気のいる決断。
常連のなせる技か。
いやぁ、尋常じゃないラム占拠率。
しかもどれもこれも未体験の料理。
目が落ち着かない。
あれくらいの小皿系だったら、
多めに頼んでも大丈夫か。
ここは、バランスよく、まんべんなく、
深追いせず、ラム。
で、この店の流儀も取り入れてみるか…
よし!
**********
ラム肉、ラム汁、ラム点心。
プラス、醤。
この迎え撃ちのラム攻め、
吉と出るか凶と出るか。
**********
おぉ、すごい!
テーブルに羊の群れだ。
五郎) いただきます。
まずは、大将からいただこう。
「ラム肉長葱炒め」
トロッとラム肉
葱の甘さがやさしく包む
おぉ! おぉ!
やわらかくてめちゃくちゃうまい。
これはいきなり大吉!
よしよしよし。
中華の炒め物界に、
まだこんな逸材が隠れてたのか。
あぁ~長葱との相性も、バッチリチリバツ。
これは絶対に飯だよな。
ん? 麦ご飯か。
「麦ご飯と薬味3種」
(発酵唐辛子の醤、きのこの醤、山椒醤油)
やっぱりドンピシャ。
麦飯ってのも案外いいぞ。
ほ~ら、
これは間違いないやつだ。
ここで、醤投下。
うん。これが山椒醤油。
こいつには、山椒醤油だろう。
おっ、こうなるか。うん、いい。
山椒醤油、初めてだが、これは使える。
**********
「ラム肉焼売」
肉汁ジュワーッ!
黒酢で引き立つ その旨さ
お次は、アツアツのうちに。
肉パンパン、はみ出てる。
焼売には、黒酢か。
こいつはたまげた。
いわゆる焼売とは別物。
これはたしかに羊。
だがうまい。
肉がレアめなのも、俺は好き。
ラムで点心、そんな技があったのか。
中華のふところ、まるで底なし沼だ。
う~ん、これはまた、いいピリ辛醤だ。
このピリ辛、深い。
この足し算も悪くない。
なるほど・ザ・チャイニーズ。
焼売を唐辛子で食うなんて、
想像すらしなかった。
今日は俺の味覚のチャクラが、
次々に開かれていくようだ。
何にかけてもおいしいって
言ってたよな。
うわっ、これ、うまい。
いいじゃないか、山椒醤油。
あと引くなぁ。
もう1回いっちゃえ。
俺は今、猛烈に感動してる。
衝撃の山椒醤油ご飯。
きのこの醤。
ふぅん、なるほど。
これは至極まっとうなご飯のお供。
普通に、とてもおいしい。
こいつはどうだ。
うん。いける。なるほど。
悪かないけど、
やっぱり山椒醤油ご飯が劇的すぎた。
**********
ここで漬け物。
「きゅうりの甘辛酢漬け」
歯ざわり パリッと 中華お新香
うん。いいサッパリ感。
醤ご飯にやられっぱなしの口の中を、
リセットしてくれる。
こういうとき、漬け物がいてくれて
よかったって心から思う。
漬け物、ラブ。
**********
「魚羊湯(白身魚とラム肉のスープ)」
海の香りと草原の風
スープの新たな夜明けぜよ
あぁ、こうきたか。
こういうタイプ初めてかも。
う~ん。しみとおるようにうまい。
魚と羊が奏でる、弦楽二重奏。
**********
焼売、スープ、肉炒め。
中華料理の中で、羊たちが
こんなにも生き生きと輝いている。
ラム醤の食卓、最高。
御徒町ラムフェスティバル、
これでお開きは寂しいな。
よし。子羊をもう1頭呼び込むか。
よ~し、まだまだ
祭りは終わらない。
**********
「ラムスペアリブ(ハーフサイズ)」
文句なし!
クミンまみれの羊肉。
おお~クミンまみれ。
うまそうじゃないの。
落ち着け落ち着け。
さんざん食ってるのに、
何を焦ってるんだ。フッ。
うん。あ~。
脂がガツンときた。
この強烈なパンチこそスペアリブだ。
うまいな~。
クミンの刺激もビンビンだ。
このこびりついてる肉が一番うまい。
これだ。発酵唐辛子。
スペアリブに最高!
本日のベストマッチ賞。
おっほ~きた。
クミンの刺激かける唐辛子の刺激で
ビンビンビン。
牛豚のスペアリブとは異次元のうまさ。
噛めば噛むほど、もっと噛みたくなる。
名残り惜しいが、
祭りもそろそろ大詰めだ。
さて、御徒町ラムフェスの
大トリを飾るのは…。
特製ラム丼だ。
ほ~ら、うまい。よし。
よ~し、かけちまえ。
あ~山椒醤油とラム肉の
素晴らしいハーモニー。
この丼いいぞ。
どんどんかっこみたくなるうまさだ。
御徒町でこんな店を発見できたのは、
偶然というより奇跡だ。
俺の知らなかった、
ラム中華という未開の地。
踏み入った、羊たちの深い森。
開拓者、冒険者の物語は、大団円だ。
五郎) ごちそうさまでした。
**********
いやぁ、驚いた。
食べ終わってみると、この4文字、
なんともいえず店のおいしさを表してる。
また寄らせてもらうね、羊ちゃん。
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今回はラム好きにはたまらない、変化球な
ラム尽くし。あの「ラム肉長葱炒め」が食べ
た~い! それとラムのスペアリブ! 山椒
があまり得意な方ではないけど、五郎さん
があれほど推してる山椒醤油は気になる。
ラムと相性がいいのかな。ご飯にかけても
おいしいなんて。私も猛烈に感動した~い。
ラムといえばジンギスカンばかりなので、
たまには、違うラムも味わいたい。脳内
ラムフェスティバルを開催したい。羊さん
の群れに埋もれた~い。な~んてね♪
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