帯ドラマ劇場
「トットちゃん!」
第12週 第57話(12/19)
恋人、祐介の身体に異変が・・・の巻
著書「窓ぎわのトットちゃん」を手に、
恋人、カール・祐介・ケルナー(城田優)
が東京で開いたコンサートでMCを務め
た徹子(清野菜名)。だが、祐介はいっ
たんステージに登場したものの、ピアノ
に触れることなく、すぐに楽屋に戻って
しまい…!?
**********
徹子) ケルナーさんは、17歳の時に、ドビ
ュッシー国際ピアノコンクールで、グラ
ンプリをお取りになって、それ以来、ウ
ィーン、ベルリン、ニューヨークと、第
一級のオーケストラと何度も共演なさ
って、世界的ピアニストとなられました。
なんてお話は、今宵ここにおいでの
皆さまはよくご存じですわよね。
(観客たちの笑い声)
徹子) ではお待たせ致しました。
ケルナーさんにご登場頂きましょう。
最初の曲は、ドビュッシーの、
「アラベスク第1番」です。
ケルナーさん、どうぞ!
(拍手)
**********
徹子) ケルナーさん、ご気分でも悪く
おなりになったんでしょうか。今ちょっ
と様子を見て参りますので、今少し
お待ちくださいませ。ほんの少し…。
**********
秘書) 徹子さん。
どうしましょう…。
徹子) ちょっと待ってね。
(ノック)
徹子) 徹子です。
私がお客様をお繋ぎしますから…
それでよろしい?
祐介) 大丈夫だよ。
必ず、弾くから…。
徹子) ステージで待ってるわ。
きっと来てね。
祐介) ああ…。
徹子) じゃあ。
**********
徹子) それでですね、マンハッタンの
セントラル・パークを歩いておりました
ら、ホットドッグ屋さんの前に列が出
来ておりましたの。早速、私もそこに
並んだんですのよ。そうしましたら、
私の前の方で、もう売り切れだって
ホットドッグ屋さんが言うんですの。
まあなんて事!って、思わず申しま
したのよ。そうしましたら、私の前で
最後のホットドッグを買われた男性
が振り返り…「お嬢さん、これをどう
ぞ」って、私にくださったんです。
観客) へえ~。
(当時の回想)
徹子) 私はもう、ケルナーさんにそんな
ところでひょっこり再会できた事に驚い
てしまって、おなかがすいてる事も忘
れてしまいました。それでもう、どうぞ、
ケルナーさんがそれを召し上がってく
ださいって申しましたの。でも私早口
でしょう?
(観客の笑い声)
徹子) ケルナーさんは日本語がとって
もお上手ですけれど、ちょっと聞き取
れなかったみたいで…。「食べないの
ですか?」って、不思議そうな顔をな
さってました。
**********
徹子) どう? 彼の様子は…。
秘書) 帰ったわ、ホテルに。
徹子) えっ…?
秘書) ごめんなさい。
私が代わって謝ります。
徹子) そんな…。
そんなに悪いの? どこが悪いの?
あの人はどこが悪いの?
秘書) これからプロデューサーと
話をするわ。観客には払い戻し
をします。
徹子) 教えてちょうだい。
あの人に何があったの? 病気なの?
秘書) 私の口からは言えないわ。
本人に聞いて。
**********
(ホテルのベッドに寝ている祐介)
(近づく徹子を見ようとしない祐介)
(祐介の右手を両手で握る徹子)
(祐介の演奏をあれこれ思い出す徹子)
祐介の手が、小さく震えているのを、
徹子は感じました。
徹子) 私が一緒にいたほうがいい?
いないほうがいい?
祐介) いないほうがいい。
一人でいたい。
徹子) わかったわ。お大事に。
**********
(回想)
祐介) あなたのためだけに、
演奏します。
(回想)
祐介) 徹子と一緒に、
生きていきたい。
**********
<寝室>
(徹子のためだけに歌ってくれた
祐介を思い出す徹子)
きっと夜が明けたら、
祐介はいつもの、
明るくて素直で率直な、
愛情深い祐介に戻っている…
徹子はそう自分に言い聞かせました。
病気かもしれないけれど、
あの人の愛が
病気に負けるはずはない。
あの人の才能が、
病気に負けるはずがないと…。
**********
徹子) おはよう…。
このお部屋のお客様は?
スタッフ) 今朝早くチェックアウト
なさったようですよ。
**********
<テレビ朝日のスタジオ>
スタッフ) 黒柳さんお入りになられます。
どんなに悲しくても、
毎日仕事は押し寄せてきました。
月曜と火曜は
「徹子の部屋」の収録。
2日間で6本を収録します。
水曜と木曜は特番や取材と、
「世界ふしぎ発見!」の収録。
金曜は「徹子の部屋」の
打ち合わせがあり、
土曜日曜には、レギュラー
以外の仕事があったからです。
**********
<「徹子の部屋」の打ち合わせ>
ディレクター) 月曜日の3本目が、
脳腫瘍手術の世界的な権威で、
イーストシカゴカレッジ、脳神経
外科の山下正志教授です。
徹子) 脳腫瘍権威…。
ディレクター) はい。山下教授はアメリカで、
山下式手術を初めて成功させた方で
すね。セカンドオピニオンを求めて、世
界中から、主治医に見放された患者
が、山下教授の元に殺到しています。
こちらからの取材情報は以上ですが…。
黒柳さん、ご質問は…?
徹子) あっ、あの…。
ディレクター) はい。
徹子) 脳腫瘍が出来ると、
どんな症状が出るのかしら?
ディレクター) 患者の症状ですか…?
徹子) あっ…いいの。ごめんなさい。
質問は、別にないです。
**********
(祐介からのFAX)
Dear Tetsuko
パリの家に戻りました。
東京でのことは、許して下さい。
I'm forever yours.
Yusuke
**********
(回想)
守綱の幻) トット助。
寂しい時は、夜空を見上げて、
「きらきらぼし」を口ずさんでごらん。
パパがそばに降りていくから。
(庭に出て星空を見上げる徹子)
徹子) ♪きらきらひかる
おそらのほしよ
**********
祐介さんは、美意識の強い人なんだろうね。
徹子) 私が一緒にいたほうがいい?
いないほうがいい?
祐介) いないほうがいい。
一人でいたい。
弱った自分は見せたくないだろうし1人で
いることに慣れ過ぎてしまっているのかも。
でもやっぱり、恋人としては寂しいよね…。
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