孤独のグルメ Season７
第５話
荒川区三河島の
緑と赤の麻婆豆腐
せっかくだからのぞいてみるか、
韓国の店。
うん？
この辺りもなんとなく韓国っぽい。
あれが駅だから、この通りを
ちょっと先で渡ればいいんだな。
このへんじゃないのか。
うん？ ここか！
へぇ、ほんとだ。
いろいろあるぞ。
これか。
うわ～これは、見るからに辛そう。
でも絶対うまそう。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
結局買ってしまいました。
このキムチで飯をバクバクと。
いかん。
想像したら、腹が、減った。
家までもたない。
ここで店を探そう。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
う～ん…。
やっぱ大通りに出ないとダメだな。
ん？ あれは？
麻婆豆腐専門…。
「眞実一路」
そんな専門店聞いたことがない。
ストレートに攻めてくるな。
その麻婆一筋、
脇目もふらない心意気…。
しびれるじゃないか。
よし！ その思い、
受け止めさせてもらおう。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
へぇ～！
麻に、辣…。
香り、熱、そして色味。
黒板の文字に、
店の意気込みがにじみ出ている。
セットメニュー…。
辛さは五段階。
で…こっちはお茶。
お茶もいろいろあるんだ。
ん？
五味一体が王道の赤。
白麻婆は、さわやかな辛み。
黒は、コクと旨み。
緑は…緑！？
緑の麻婆って…。
あ…なるほど！ 野菜か。
えっ！ 燻製？
そんなのもあるんだ。
すごいな、専門店…。
超地獄…。
デフォルトの辛さが分からない今、
それは勘弁してもらおう。フッ！
ほう…確かに白と黒。
おっと…いかん。
ついガン見してしまった。
別黒板？
あれか。
前菜系に、点心系…。
ん？ 正式杏仁豆腐？
正式って何？
麻婆専門と言いながら、
おすすめ料理めっちゃ豊富。
海老チリ、油淋鶏に酢豚…
おっと！ 火鍋もあるぞ。
となると…
麻婆とどう組むかだ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
五味一体も魅力的だが、緑の麻婆は
今を逃すと出会えそうにない。
青、緑、白…。
お茶も色とりどり。
せっかくだし、こっちも…。
客） 麻婆ハイボール…いく？
客） いきましょう。
麻婆ハイボール？
えっ！？ ハイボールで麻婆？
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「白茶」
湯気と楽しむ甘い味わい
30秒か。
あっ、あそこにも麻婆。
白子に、チーズ。
麻婆にかける飽くなき探求心。
あれが麻婆ハイボール。
一体どんな味がするんだろう？
客） うん、意外といけるね。
客） おいしい…。
客） いい香り。
そろそろかな？
うん、なるほど。
これが白。
芳醇でさわやかな甘み。
う～ん、よくわからない。
中国茶、奥深し。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「ワンタン入 滋養スープ」
優しさが五臓六腑に染み渡る
五郎） いただきます。
ほぉ～。
ほぉほぉ、なんとも心和む味。
滋養という言葉が胃袋にしみていく。
ワンタンのサイズがいい。
うんうん、これは体にいい。
心にもいい。
魂が癒されていく。
こっちはどうだ？
「ザーサイのネギ生姜和え」
ひと手間かけた旨さなり
へぇ、うん、塩味優しめ。
よいよい。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
超地獄。
競ってまで食わなくても。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「海老と大葉のハルマキ」
サクッとプリッと楽しい歯ざわり
まずは、海老と大葉。
うん、うまい。これ当たり。
大葉がいい。
う～ん、味付けが程よくて、程よい。
うんうん。
お次は、豚ヒレと野菜。
「豚ヒレと野菜の五目ハルマキ」
酒のアテにもいいんじゃないの
はぁ～
こっちは濃いめのおかず味。
ハルマキ、ザーサイ、スープ、
この三つ巴がたまらない。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
おっ、来た。
「緑麻婆豆腐」
初体験！魅惑のエメラルドグリーン
おぉ、確かに緑。
へぇ～！ よし…。
おっ！ ほうほうほうほう。
なるほど。
これは確かに野菜の旨みだ。
それが辛くてしびれる。
こうきたかぁ。
これは新しい。
でも確かに麻婆豆腐だ。
これは驚いた。
しかし驚きながらも
スプーンは進んでゆく。
おっと！ ジワジワきたきた。
うわっ、青ト噛んじゃった。
四川のカミソリパンチだ。
うん、ザーサイが役立っている。
そうだ、これもあった。
白茶、ありがたい。
これでハルマキともお別れ。
ちょっと寂しい。
店主） はい、燻製焼き飯で～す。
なるほどの燻製臭。
謎の中国人、クン・セイシュウ。
その登場が、
俺の食欲をあおってくる。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「五味一体 麻婆豆腐」
超熱い！ 超辛い！ 超旨い！
うわ～グツグツいってる。
これもしかして
100℃超えてるんじゃないの？
よし！
あ…アツッ！
熱くて味が分からない。
あぁ、やっと慣れてきた。
熱いけど、うまい。
なんなんだ、これは。
俺の舌はしびれと辛さで
悲鳴を上げ続けているのに、
脳がスプーンの動きを止める
ことを拒絶している。
恐るべし、赤麻婆。
緑は優しい。
赤の前では緑が優しく感じられる。
うぉ～この器の中はまるで溶鉱炉だ。
ならば、麻婆ド～ン！
四川が誇る、麻と辣。
そこに香りと熱と色味を加えた、
五味一体の破壊力。
う～！
汗が一気に噴き出してくる。
こんなにも攻撃的で、
こんなにも刺激的な
麻婆豆腐に出会えるなんて、
今日の俺は、なんて幸せ者なのだろう。
三河島の路地裏に
ひっそりとたたずむ麻婆豆腐の王国。
若き国王の麻婆道よ、
永遠（とわ）に、永遠に。
あ～うまかった。
あぁ、そうだ。
ここは助け舟を呼ぼう。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「正式杏仁豆腐」
スプーンですくう幸せ
これは見ただけで上等な杏仁。
うわっ、見た目以上にうまい！
ねっとりとして、すっきりしてる。
ねとすきで、品よい甘み。
麻婆豆腐が熱き国王ならば、
杏仁豆腐は国王を優しく支える、お妃だ。
このおいしさは、まさに、癒やし。
俺の中華の歴史で
ベストオブ 締め杏仁。フッ。
あ～大満足。
五郎） ごちそうさまでした。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
いや～いい店だった。
真実…路？
あれ？
「一」はどこにいっちゃったんだろ。
フッ…まぁいいか。
いや～今度来たら、
白と黒と燻製でコンプリート。フッ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「孤独のグルメSeason７」…の続きをアップする
のに１年もかかってしまいました。途中で終わっ
てしまうのは嫌だったので、いつか、何とか…と
思って今日になりました。お待たせ過ぎですね。
日々気力体力が減ってきているので、孤独のグ
ルメの記事はSeason７が最後になると思います。
さて今回は麻婆豆腐。緑の麻婆豆腐は食べて
みたいかも～！ 辛いものは好きなのだけれど、
年々体が受け付けなくなってきているので、あ
まり辛いのは食べられなくて…ほどほどの辛さ
でチャレンジしてみたいかも～です。トホホ…ｗ
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