「スカーレット」第138回~いつもと変わらない1日を過ごすこと | 日々のダダ漏れ

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「スカーレット」 第138
第23週 「揺るぎない強さ」
いつもと変わらない1日を過ごすこと

 

 

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<夜・川原家>

(病院から帰ってくる喜美子)

(ジョージ富士川の絵本を出す)

(ページを開く)

 

(回想)

武志) 会いたい。みんなに会いたい。

 力もらいたい。

 

**********

 

(戸が開く音)

八郎) 喜美子?

喜美子) えっ。何?

八郎) 喜美子。

喜美子) えっ、何やの急に。

八郎) ごめんごめん。

 あの、電話でもよかってんけど…。

喜美子) 何?

八郎) ちょっとええかな。

喜美子) うん。

八郎) 名古屋、引き払おう思う。

喜美子) はっ?

八郎) 引き払て、信楽か、

 病院の近くに、アパート借りるわ。

喜美子) いや、何で。

八郎) 武志の…。

信作) おおっ、いたいた。

喜美子) えっ。

信作) 言うたん?

八郎) ああ。

 今日は、信作んとこ泊めてもらうわ。

信作) 百合子から聞いた、武志のこと。

 百合子は、言わんかった。

 あいつは、絶対言わんかったで。

 貝みたいに口閉じてな。それを俺が、

 絶対様子おかしいやろ言うて問い詰

 めたったんや、刑事みたいにな。

喜美子) もう、ええから上がり。

八郎) いやいやそら申し訳ない。

喜美子) 上がりぃ!

信作) はい。

 

**********

 

八郎) 武志、深野先生の葉書の、

 あのイメージのん作りたい言うてたやろ。

 釉薬のことやったら、相談乗ってやれる。

喜美子) よう考えてぇや。

八郎) よう考えたから言うてる。

喜美子) 仕事辞めてどうすんの。

八郎) 探すわ、どこでも。

喜美子) 今までどおりやったらあかんの?

八郎) 今までどおりおれるはずないやろ。

信作) おうおうおう…。

喜美子) 分かるで。ほんまのこと言うたら、

 うちかて今もまだ、朝目覚めるたんびに

 思うわ。武志が病気? 何やそれ。

 それで目ぇ覚める。

八郎) 何がしてやれるやろな…。

喜美子) もうお父ちゃんに言うてええ言う

 てたで。みんなに会いたい言うてた。

(八郎と信作の前に、ジョージ

 富士川の絵本を置く喜美子)

喜美子) これな。

 武志書いたで。

八郎) 見てもええの?

喜美子) 見てほしいんや思う。

(ページを開く八郎)

(右の白いページに武志の文字)

 

武志) 「今日が私の1日なら、私はいつも

 と変わらない1日を過ごすだろう」。

 

(ページをめくる八郎)

 

武志) 「今日が君の1日なら、君といつも

 と変わらない1日を過ごすだろう」。

 

武志) 「今日が友達の1日なら、友達とい

 つもと変わらない1日を過ごすだろう」。

 

(回想・武志&学&大輔)

 

(回想・武志&八郎&信作)

信作) あ~!

武志) ハハハハハ…。

信作)何やこれ!

 

武志) 「今日が母の1日なら、母といつも

 と変わらない1日を過ごすだろう」。

 

(回想・武志&喜美子)

 

武志) 「今日が父の1日なら、父といつも

 と変わらない1日を過ごすだろう」。

 

(回想・武志&八郎)

八郎) 左でしっかり支えてな。離すで。

武志) うん。

八郎) そう…ええな。

 

喜美子) 武志はいつもと変わらん1日を

 望んでる。病院顔出したってな。

八郎) そやな…。

 

**********

 

<病室>

(窓辺に立ち、水辺を飛ぶ鳥を見ている武志)

大崎) あっ…。

(声をかけようとした看護師を止める大崎)

大崎) おはよう。

武志) あっ、おはようございます。

大崎) 目覚めよさそうだね。

武志) はい。ほんまようなりました。

 もう、出られませんかね…?

大崎) もう少し様子を見たい

 ところなんだけどね。

武志) 通院治療に、

 切り替えられませんか?

大崎) うん…じゃあ、今日の血液検査の

 結果で問題がなければ、今週いっぱい

 は様子を見てから、外来にしようか。

武志) はい!

 

**********

 

<病室>

武志) 週明けにはな、

 退院して通院治療やって。

喜美子) ほんまか!

武志) うん。

喜美子) あ~よかった。

照子) あ~ここやここや。

 あ~来たでえ!

喜美子) 早速やな…。

照子) ここやで。

和歌子) はいはいはい。

 ああ来ましたでえ~!

喜美子) あ~すんません。

照子) こんにちは。

武志) すっごぉ…

 ものすごぉお久しぶりです。

 熊谷の、おばあちゃん…?

和歌子) あんた…誰や。

武志) えっ。

和歌子) うそやうそ。

(笑い声)

武志) 何やもう…。

照子) お母ちゃん…。

喜美子) びっくりした…。

和歌子) タケタケやろ。

 タケタケにいちゃんや。

 竜也が遊んでもろてたもんなあ。

 それにしてもあんた…

 ええ男になっとるな!

照子) お母ちゃん…!

敏春) いろいろ持ってくぅいうて

 きかへんさかい…。これ。

喜美子) あ~すんません、

 ありがとうございます。

和歌子) おばちゃんがな、神経痛で

 入院してる時にこれ使とったん…。

 これ、何でも…こうやってつかめるんや。

武志) ええなあこれ。何?

和歌子) 例えばな、腹立ったら、こうやって、

 「おい! こら!」とかな、できんねん。

武志) 腹立ったらやるの…。

照子) 誰にやんの…。

和歌子) 先生とかにやないの。

照子) 先生?

敏春) すんません。ほんますんません…。

武志) アハハッ、すごい…。

 

**********

 

大野) ほなボクにラジオあげよう。

智也) ええんですか?

大野) 大事に使てな。

陽子) 間違うててん。アハハハ…。

武志) それ痛恨のミスですやん。

大野) ほやねん。

 てっきり金婚式や思てたんや。

百合子) 3年早かったんよ。

陽子) しかもな、あかまつにおしゃれ

 して来い言うて呼び出すんやで。

 うちな、こう、着物着て行ったった。

 アハハハハ…。

信作) おう。

武志) おう。

百合子) お疲れさま。

信作) 抜け出してきた。

 武志、顔見に来たで。

武志) うん。

信作) よし。ほな。

大野) ほなな。

武志) いやほんまにそんだけなん!? 

 ちょっ…。

百合子) もうおかしな人やろ。

信作) おかしな人やろ~!

(笑い声)

百合子) そこがええねん! なあ?

武志) 何それ。

 

**********

 

<夜・病室>

武志) なあ、この色って

 どうやったら出るんやろな。

(深野の葉書を見ている武志と八郎)

八郎) これ濃度を薄くしてな。

武志) うん。

八郎) ハケで塗ってみたらええ。

武志) ほう~そうか。ハケな。

八郎) うん。

武志) なるほど。

 え~濃度薄くして…ハケか…。

八郎) あっ。

武志) うん?

八郎) もうこんな時間や。

 お父ちゃん行かな。

武志) ああ、送っていくわ。

八郎) いやええよええよ。よいしょ。

武志) ええよトイレ行きたいし。

八郎) ほんま?

武志) よいしょ。うん。大丈夫やて。

八郎) ほな行くで。

武志) うん。

(倒れる武志)

 

**********

 

(喜美子が来る)

喜美子) あ…。

八郎) おう。

大崎) 武志君ですが、検査の結果頭部に

 異常はありませんでした。しかし、微熱も

 あり、感染症の疑いがあるので、しばらく

 経過を見る必要があります。

 

**********

 

(ベッドでマスクを付ける武志)

(ベッドサイドに、マスクを付けた

 喜美子と八郎と真奈)

武志) アッハハ…

 こんなんしてたら病人みたいやな。

喜美子) 病人や。

武志) 病人か。

喜美子) 熱あるんやから寝とき。

武志) うん。

 せっかく来てくれたのに。

八郎) 石井さん、もうちょっといて

 はったら? 僕はもう帰るで。

喜美子) ああ、ほなな。

(喜美子を肘で突く八郎)

喜美子) うん?

八郎) 行く…。

喜美子) あっ…。ほな…お母ちゃん

 買い物にでも行こうかな。

八郎) ほなな、またな。

武志) 気ぃ付けてな。

喜美子) まあまた戻ってくるけどな。

八郎) (小声で) けぇへんねん。

喜美子) (小声で)あっ、そうなん…?

八郎) (小声で)戻ってけえへん。

喜美子) (小声で)あっ、そういうこと?

(武志のそばに座り治す真奈)

武志) うん?

(バッグからメモ帳を出す真奈) 

(ペンで「大丈夫?」と書いて武志に見せる)

武志) アッハハ…そんなん書いて聞かん

 でも大丈夫やて。熱は微熱やし。

(次のページにまた何かを

 書いて武志に見せる真奈)

(「逢いたかった」の文字)

武志) なあ…。どこまで、病気の

 こと聞いたん。詳しく聞いた?

(首を横に振る真奈)

武志) ほな言うとくな。白血病や。

 特効薬が見つからん限り、

 治すんは難しい病気や。

(メモ帳にまた何かを書く真名)

(武志に見せる)

武志) (頷く)

(武志の手を両手で握る真奈)

(握り返す武志)

(「手、つないでもいい?」の文字)

 

**********

 

病状はやがて落ち着き、

翌週には退院できました。

これからは、

2週間に1度の通院治療です。

アパートは引き払いました。

 

喜美子) ああ。

武志) ただいま。

八郎) ただいま。

喜美子) お帰り。

武志) 掃除してたん。

喜美子) うん?

 今日の晩ごはん何がええ?

武志) カレー。

喜美子) カレー?

 

**********
 

今日が私の1日なら…私らしい私が、そうする

だろう1日を過ごすだろうなあ…と思う。「いつ

も」というのは、今までどおりに動ける自分を想

定してのものになるけれど。要するに、普通だ。

特に意識せずに、普通の毎日を送ること。それ

が武志の願いなんだなあ。そもそも、普通であ

ることも、いつもどおりであることも、みんなそれ

ぞれに無意識に努力(普通に気遣い&思いや

るレベル)しているものだしね。その人らしく、い

つもと変わらないでいてもらえたらいいのかも。


つらい展開が続く中、武志と真奈に気を利かせ

る八郎と鈍い喜美子の夫婦漫才に癒やされた。

裏に回ってからの2人の小声のやり取りが最高。

 

そして天然真奈ちゃんの筆談がまた…。言葉に

する以上に、文字だからこそ滲む情緒が良き♪

「会いたい」より、「逢いたい」と書く、その感性が。

私もきっと、「会」より「逢」と書くだろうなあ。うん。

 

知らなくても、本編の映像だけでも、十分伝わっ

てくるけれど、余裕があれば、公式HPの記事も

読んでほしい。今週の真奈ちゃん役の松田るか

さんの「インタビュー」「今週の喜美ちゃん」を!

そっか~。うんうん、わかるわかる!と思うから。

ドラマだけど…そこに生きてる人達が愛おしい。

朝ドラを、毎日楽しく見ることができる…いつも

と変わらない1日が、これからも続きますように。

 

 

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