よるドラ
「ここは今から倫理です」
第３話～ソクラテス「美にして善であること」
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松田） 高柳先生は、教師と生徒の恋愛
についてどう思いますでしょうか？
高柳） 生徒と、恋愛をしているんですか？
違っ…してないです！ まだ…あっ、いや、
ま…まだっていうか、あの…あの…も…
もしかしたらって…いやいや、もしかした
らっていうか、もしかしたらも違うな。
え～っと…。
高柳） それは、愛ですか？
それとも、性的欲求ですか？
松田） は？
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
高柳） ソクラテスは、人間が生きる上
で最も重要なことは、「よく生きること」、
だといいます。「よく生きる」とは、一体
何でしょう。ギリシャには昔から、「美
にして善であること」といって、「美しい
こと」と「善（よ）いこと」を一体化する
考え方があります。ソクラテスはギリ
シャの人ですから、美にして善である
ことをとても大切に考えていました。
善と美の調和が、人間が生きる上で、
非常に重要なことだと、こう考えてい
たんです。では、何が善いことで、何
が美しいことなんでしょう。
時代の心の声） こういう、パッと見
礼儀正しくて、クールで、きれいな
大人の男って、泣かせたくなる。
だけど、私は既に一度、失敗してる。
（回想・２年前）
時世） わざと死角に入ってぶつから
せて「セクハラだ」って騒ぎまくった。
いつもクールぶってるこの男の絶対
的にゆがんだ顔が見たかった。
だけど…。だけど、こいつは眉一つ
動かさなかった。最終的には校長
まで出てきて大騒ぎになったけど、
高柳は後方の不注意でそこには何
もないと、頑として譲らなかった。
時世の心の声） 普通もっとうろたえ
るだろ。あ～あ、こいつ泣かせたら
絶対いいのに。
高柳） 真の自分は、「魂」であると、
ソクラテスは言います。人間は魂を
よくすることによって、よりよく生き
ることができ、魂への配慮が、人間
の最大の関心事であるはずと。
時世の心の声） まあ、今は新しい
オモチャができたから、もうどう
でもいいんだけど。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
高柳） 私は、教師と生徒の恋愛が、全
て悪だとは言いません。ただ当然問題
はあります。相手が18歳未満であれば、
児童福祉法に問われます。更に踏み込
んで話すと、高校時代というのは、人生
において、青年期にあたります。青年期
は、アイデンティティーを確立する、その
途上にある時期です。松田先生は既に、
アイデンティティーを確立している成人。
ですので、そんな松田先生と、生徒の
間にフェアな恋愛関係が成立しうるの
でしょうか？ 松田先生と、その女子生
徒の関係が、教師の持つ権力を笠に
着て成立しているのであれば、それは
恋愛ではなく、セクハラです。
松田） あ…そ…そうですよね。
失礼しました。
高柳） ですが、もし仮に、仮に、２人の
関係が本当に対等であるのならば、
恋愛していいと、私は思っています。
松田） へ？
高柳） 規則違反はいけない。
いけないけれど、その規則が、本当に心
から結ばれたいと願う２人を結ばせない
ものならば、その規則自体が、「人は自
由に恋愛していい」という社会の決まり
を破ることになるから。松田先生、あな
たは今、その彼女を、心から愛してしま
ったのですか？ 弱気者を、己の性的欲
求のはけ口にしているのではなく？
松田） ああ…。僕は、卑怯者です。
ありがとうございます。
少し冷静になれました。
高柳） 相談なら、いつでも聞きますから。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
高柳） だってあなたがしていることは、
まるで大人の目を引きたくてわざと
悪さをする子どものようです。
時代） 違う！
高柳） 大人をからかうのは、
親が妹さんにそうするように、
自分を気遣ってほしいから。
時代） 違う違う！ 私はただ余裕ぶっ
てる大人をオモチャにしたいだけ！
楽しいから！
高柳） 楽しかったですか？
美にして善であること。美しいことと
善いことは同一のもので、その両方
の実現を目指すべき。
ギリシャの古い考え方です。
時代） は？
高柳） ソクラテスは若者に言った。
「たえず自分を鏡に映し、美しければ、
それにふさわしい者になるように。
醜ければ、教養によってその醜い姿
を隠すように」と。魂を善くしなければ、
人間はよく生きることはできない。
時代） 私は杏奈と違ってブスだから、
勉強しろって？ はいはい。うっざ。
松田） 違うよ、それは違う。深川さん！
時代） は？
松田） 君は、とても…とても…。
きれいだよ。
時代） 杏奈に比べれば、
全然ブスだっつうの。
松田） 高柳先生、今夜一杯
つきあってもらえませんか？
高柳） 無理です。
仕事は直帰がモットーなので。
松田） ええ…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
怖いな～。時代のような女の子は存在するし、
そういう女の子のターゲットにされた男性はた
まったもんじゃない。痴漢の冤罪もそうだけど、
そういう行為は女性にとっても男性にとっても
迷惑。本当の被害者にとって迷惑でしかない。
やっぱりあちこちに監視カメラがないと…みた
いなことになってしまうじゃないか～嫌なのに。
魂を善くしなければ、
人間はよく生きることはできない。
魂はよく分からないけど、自分の良心というか、
内なる善良な声に嘘をついて、よく生きること
は出来ないかも知れないなあとは思う。これく
らいは別にいいよね、とうそぶいても、ちょっと
やっぱり悪かったかもって思うような時。心で
はどこか罪悪感を感じてしまうような時、居心
地の悪い自分に気付いてしまう。いわゆる「心
が汚れる」ことってあると思う。「傷つく」と言い
換えてもいいけど。心が傷つくから、やらない
方がいいよっていうこと。そういうことは、ある。
それは、愛ですか？
それとも、性的欲求ですか？
性的欲求のある愛ですか？
性的欲求のない愛ですか？
愛ある性的欲求ですか？
愛なき性的欲求ですか？
実際はいろいろあって…難しかったりね…ｗ
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