ここが違うよ!共通テストとセンター試験 | 東大に文理両方で合格した男が綴る、受験の戦略

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共通テストとセンター試験を比較してみた。

「共通テストってどうなんですか?」と聞かれるので、簡単に。

①「大差ないっす」(受験から離れている人向け)

子供が受験するとか、予備校で働いているとかではない限りは「センターと同じ」と思ってて良いでしょう。

大学入試改革だの、日本の教育を変えるだの、美辞麗句が散々飛び交ったけど、蓋を開けてみればほぼ同じ。

記述試験も導入されなかったし、英語の民間試験も導入されなかったし。変わったことと言えば、数学ⅠAの時間が10分伸びて、英語のリーディングとリスニングの配点が50%ずつに変更になった、というくらい。

「共通テストになったから、日本の行く末が安泰だ!日本の教育が大きく変わるぞ!」みたいな大改革ではないです。全然。

例えば、江戸時代の寺子屋教育から、明治時代の義務教育への変化なんてのは、とんでもなく大変革だったわけですけど、そういうのと比べちゃうと、まっっっったく変わってないです。

 

②「大体同じですかねぇ。細かいところは違うけど」(小さいお子さんがいる人向け)

お子さんが小さくて、将来的に受験するという方には、「大雑把には同じだけど、細かくは違いますよ」くらい。

共通テスト自体が、まだ変革中で細かい微調整をしている段階なので、「共通テストはこういうのだ」みたいな固定された価値観を持つには早いかなぁという印象。

でも、国公立大学の1次試験を兼ねているとか、私立大学に「共通テスト利用入試」の枠が設けられているとか、そういう大きな考え方やシステムではセンター試験と同じ

ただ、大きな方向性として、とにかく処理速度が求められる傾向が強いです。英文の分量もすごい増えているし、国語の文章量も増えている。数学の計算量も増えてるし、数学の文章量も増えている。

「え?数学の文章量」と思った方もいるかもしれませんが、共通テストの数学は、なが~~い文章の穴埋めをしている感じ。いわゆる誘導問題ってやつなんですが、ようするに作問者が作った流れに乗っかって、ある結論を出していくという問題。

それが、ただの文章だったり、図や表だったり、太郎君と花子さんの会話だったりするんだけど、とにかく文章がある。

センター時代も誘導でしたけど、それが強烈になってます。

ということで、お子さんにはスピード訓練をさせておくと有利かも!?

 

③「全然違うぞ!気をつけろ!」(受験生や業界人と話すとき)

受験生、受験生の親、業界の人と話すときは「センター試験と全く違いますよ」という話になる。要するに、共通テストをいざ受けるという人にとっては、まるで別の試験に思うかもしれません。要するに、センターと何が違うかと言えば、ハードは据え置きで、ソフトを変えただけという感じ。

例えば、問題文の長さや分量、計算量が増えたから、センター試験よりも速読とか、素早い計算スピードが求められるようになりました。ということは、訓練法が変わってくるので、センター時代と同じようにしていてはダメ。

日本史なんかも、年号と人の名前と事件の名前を無意味に覚えているだけでは、全然太刀打ちできなくなっていて、初見の資料(史料)を見て、どのような歴史的考察が導けるのか、自分で考えなければならなくなりました。

日本史は、暗記要素はまだまだ強いものの、完全な暗記テストと評する人はいないと思います。

あとは、得点帯。

共通テストになって、高得点が取りづらくなってます。

平均点自体はそれほど変わってないんですが、成績分布はあきらかに散らばらなくなった印象。

センター時代は東大受験生は総合9割くらいとるものだったんですが、共通テストになってからは、9割以上とる生徒はかなり減って、大体40~50点くらい下がったところにいる印象です。

ここだけの話、(多分)開成高校の文系で9割超えた人はたった5人だけっぽい。

※だから、お近くの受験生に「俺はセンターで9割だったぞ」みたいなマウントを取るのは、やめてあげてください。

ということで、センターと共通テストの比較は、解像度によって評価が変わる印象です。

 

対策できないぞ、どうするんだ!?

ちなみに、共通テストになって最大の変化は「対策がしづらくなった」です。

文章題が多くなったとか、資料が多くなったとか、色々あるのですが、私が一番問題だと思っているのは、

共通テストだけが突然変わってしまって、現場の教員や教材が全く追いついていないこと。

先ほども書いたとおり、共通テストとセンター試験は対策するとなると全く異なることをやらなければなりません。

しかし、共通テストは蓋を開けてみるまでどんな問題が出題されるか全くわからないままスタートしました。

もう3回目の共通テストが終わりましたが、まだまだ作問者が悩みながら作っている印象で、来年も傾向が大きく変わる可能性が十分ある。

ということは、現場では共通テスト対策ができません。教科書とか問題集など教材もセンター時代のままだし、当然教える人も同じ。教える人が優秀で柔軟でも、教材がないと教えるのは非常に難しいです。

現場で教えていると、現場だけ置いてけぼりになって、試験だけ突然変更させられたという印象。それで、現場ではアップアップしている、というのが今の状況かなと。

 

ちなみに、共通テストは「思考力」を測るというコンセプトらしいのですが、分量が増えすぎて考えるヒマを与えられず、ひたすら情報処理をさせられるという、自己矛盾を孕んだ試験です。乙。

個人的には、そんなに事務処理の正確さと速度が優秀な人を育てて、何がしたいのかあまりよくわかりませんが。