うまくいかなかったら | POP RADIO WEB

うまくいかなかったら

仕事をするのはキツかった。

机に向かってPCでする仕事とは言え、咳も出て、息もあがる。

呼吸が苦しいから肩や背中も張り、ガチガチになった。

どうやら大丈夫そうだとなったのは、今日の朝だった。

気道の炎症がだいぶ落ち着いた。

病院で聴診器を当てて見てもらった。

喘鳴はほぼ、無くなっていた。

20代後半の頃、一度喘息の大発作で死にかけた。

タンが詰まって、息が止まった。

こういう風にして死ぬんだねー、と思った。

こりゃイカン、と思い、半ばヤケクソか本能か、

逆立ちみたいな感じに頭を垂れたら、ゴロっとタンが出て来た。

呼吸ができるようになって、助かった、と思った。

あの時から、僕の人生は前後二つに分かれた。

それ以前と以後では、ずいぶん考え方が変わった。

あれからもう、10年くらい経っているんだということを、

今回の病気で休んでいる時、ふと気付いた。

この10年は、いったい何だったのだろうか。

僕は歩んだ道に自分の死体を積み重ねて、

もうこんなことは終わりにしたいと思い続けて来た。

今も、終わりにしたいとは思っているけれど、

もう少し淡々と事実を受け入れるようになった。

起きたことは起きたことだから変えられない。

ここから、どうするか。何をするか。

反省は今日の後悔のためではない。明日の改善のためにある。

今日のひとつの変化が、明日の改善につながるのである。

今、変えられること。今止められること。そして、今やれること。

それをひとつから、始めること。

今日の自分と、明日の自分は違う。

そのことを、病気は教えてくれる。

昨日より、今日の方が、深く息を吸える。

その時、人は毎日違う自分になるのだということを感じる。

そうであるなら、より納得できる自分に明日会うために、

今日を変え続けるしかない。

生きている限り、途中経過なのである。

また息が吸えるということは、続きを始めて良いということだろう。

僕は自分を、幸運だと思う。