先日早朝の大分駅での出来事である。

 

私は福岡出張のためソニックに乗るのに、早く着いてしまい、構内のカフェでコーヒーを飲むことにした。まだ7時台で、学生アルバイトと思われる店員が2人でお店をまわしていた。30席ほどのテーブル席にお客は私を含め5人くらい。みんな次の電車待ちだと思われる。よくある駅の朝の風景だった。

 

 

 

 

その静かな時の流れをぶち壊すかのように、カウンターで女性客が声を張り上げ始めた。怒りの内容は聞きたくなくても聞こえてくる。店員がテークアウト用の紙袋にコーヒーとバケットサンドを入れたのであるが、その入れ方に腹を立てていた。

 

店員は20前後の女の子でおそらく学生アルバイトだと思われる。細身で真面目で気弱そうな印象の女の子だった。

 

女性客は45歳前後の身なりの整ったマダム風情で、おそらく駅近くのマンションに暮らしている感じだった。

 

「あなたのせいで最悪になったじゃない!」

 

すごい剣幕でまくし立てていた。2~3分、同じことを何回か吐き捨てた後、肩で風を切って立ち去っていった。その間、店員の女の子は一言も口答えをせず、ただうつむいていた。そのマダム風情が立ち去った後も、あきらかに落胆しながら仕事を続ける姿は痛々しくもあった。

 

「この女の子の一日はこれで台無しだな。かわいそうに・・・」

 

ほんの数分の出来事を見て、私も心が痛んだ。

 

おそらくマダム風情は、この店員が正社員ではなく、学生アルバイトであることはわかっていたと思う。しかも彼女は早朝から働いている。この状況から様々なことを想像できてよい。それが大人だ。しかも二人の年の差は親子ほど違う。

 

 

この問題の本質は、

『他者に対する寛容性の欠如』

これに尽きると思う。

 

私はお客であっても、店員に対する寛容性は必要であると考える。

 

わがまま。自己チュー。自分知らず。

このマダム風情のような大人になりきれない”オトナ”が増えた。それどころか、高齢化が進み、大人になれていない”ロージン”も目立つ。

 

お客様が神様であるなら、お客様自身が「大人であること」が前提でなければならない。

 

この大分駅の朝の出来事は、早朝からがんばる学生アルバイトの淹れたてコーヒーを後味の悪いものにした。