こんにちは、岡村周一です。
提案などのプレゼンテーションを行う際、聞き手に資料を配布することがあります。配布された資料は一見プレゼンの補助資料となりそうですが、1つ注意が必要です。
それは、配布資料は一人歩きしてしまうという点です。
どういうことなのか、順にご説明いたします。
プレゼンは大成功なのに・・・
プレゼンテーションは大成功を収め、お客様の担当者も大満足。気分上々で連絡を待っていたが、その結果は失注。そんな経験はありませんか。
お客様の担当者には、確かに1番いい提案だったと言っていただけたし、プレゼンターとしても最高のプレゼンができた。なのになぜ結果が伴わなかったのでしょうか。
それは、プレゼン後のお客様の行動にあります。実際にプレゼン後、お客様がどのような行動を取るのか、受注に至るまでのプロセスを考えてみましょう。
どのプレゼンが良かったかを評価する
複数のプレゼンを受けた場合、どのプレゼンがよかったか。どのプレゼンが自社にとってもっとも期待できる提案であったかを評価します。
上司あるいは担当役員に発注の許可をいただく
発注先の選定が終わったら、上司あるいは担当役員に、今回の趣旨、予算、費用対効果などを踏まえ、プロジェクトの承認をいただき、発注の許可を得ます。
プロジェクトが開始する
上司あるいは担当役員の承認が得られたら、発注先に対して連絡を入れ、今後のプロジェクト計画の詳細を明確にしていきます。
ここで注意していただきたいポイントは、2番目にご紹介した
上司あるいは担当役員に発注の許可をいただく
ここにあります。
社内プレゼンに配布資料を使用する
上記プロセスでは、どのようなことが行われるでしょうか。実はここでは、プレゼンの聞き手であったお客様の担当者が、自身の上司や意思決定権を持った担当役員にプレゼンを行うのです。
つまり社内プレゼンです。
ここではどのようなプレゼンが行われるのでしょうか?実は、担当者は「配布資料」を使用して上司や担当役員にプレゼンを行うのです。
つまり、上司や担当役員などの意思決定者は、お客様の担当者によって、配布した資料を基にして意思決定の判断を下すのです。
このような会社は実にたくさんあります。つまりお客様に対して素晴らしいプレゼンを行ったとしても、意思決定者には届いていない場合があるのです。
意思決定者に伝わる配布資料の作り方
このような意思決定プロセスを通る場合、プレゼンターである私たちができること、それは、「意思決定者に伝わる配布資料を作成する」ことです。
プレゼンの本番では、提案したい全てのことが話せるわけではありません。提案の詳細や金額、契約の諸条件などについては、補足資料として配付することになります。
意志決定者が欲しい情報を簡単に書き出してみると、
定量的メリット(費用対効果など)
定性的メリット(ブランディング、顧客満足度向上など)
発生費用(毎年の運用費用も含む)
プロジェクト期間
こういったものが挙げられます。
つまり意思決定者が欲しい情報とは、どれだけの期間で儲かり、費用はどれだけかかるかということです。
逆に「サービス内容」や「商品の機能」といった点については、どうしても優先順位が落ちてしまいます。
配布資料には、サービスや機能の説明も必要ですが、意思決定者に伝わる資料にしなくてはいけません。そのためには、
必要な費用(一時費用、運用費用など)
投資による効果(損益分岐点、予想収益など)
期間や契約内容などの諸条件
こういった資料を中に盛り込み、意思決定者が納得のいくものに仕上げていく必要があるのです。
担当者に聞いておくこと
プレゼンを見ない、目に見えない意思決定者に向けて伝わるようにするには、あらかじめ徹底した聞き手の調査を行っておく必要があります。
具体的には、
プレゼンに意思決定者は参加するのか
今回のプレゼンではどのような点に期待するのか
プレゼン後、選定作業にどれくらいの期間がかかるのか
こういった点を聞いておくことで、見えない意思決定者に少し近づくことができるようになります。
このような意思決定プロセスは、受注金額が大きくなればなるほど、会社の規模が大きくなればなるほど複雑で時間がかかるようになります。
そんな中、資料が一人歩きしてしまってもいいように、配布資料は細心の注意を払って作成するように心がけましょう。