僕にとっての『サクラ』 | 演劇集団アクト青山 月の宴&新人公演

演劇集団アクト青山 月の宴&新人公演

春公演に向けての役者・演出家、時々スタッフによるBlog。
イプセンとチェーホフ同時に上演なんて見た事ある?
ないですよね!
だから、チャレンジするのです。

演劇集団アクト青山主宰の小西です。


今夜、春公演W上演の稽古日程がほとんど全て終了しました。

日曜には最終の調整はありますが、稽古という認識のものはこれで最後です。


特に。

新人公演『桜の園』は僕の想像と想定を200%上回った状態で今日を終えました。

いい意味で。

こんなところまで来れるとは正直この1月が終わった段階では考えられませんでした。

もちろん、チェーホフという大作家、『桜の園』という大作としてみれば今はまだその完成の足元という部分も否めない事実ではありますが、それでも、今日の稽古への感慨というのはあるものです。

出演者一人ひとりが見せている、役の横顔が、お客様の心根に残ることを祈って、若い彼らの挑戦がAPOCで花開くことを心から祈っています。

もう、演出家の僕には祈ることしか出来ないのです。

今日の、強い風に桜のほとんどは散ってしまったでしょう。

そして次に咲くのは彼らであって欲しい、僕はそう願って止まないのです。

この半年、不安ばかりが付きまとってきましたが、今は期待をしています。

この座組みでしか出来なかった、この『サクラ』がきちんと咲いて、皆様の元に届くように。


土日はすでに満席を頂いております。

平日はまだお席がございます。

今のこの世界、本当にちゃんとした稽古を、諦めず、妥協せず、ひたむきにやることがどんなことなのか、少なくとも僕にとってはあたり前の日々でしたが、若い彼らが、こんなにも稽古してきた結晶を劇場で目の当たりにして欲しいと思うのです。


『桜の園』は僕にとって特別な戯曲です。

僕の師匠がこよなく愛した、美しい戯曲です。

僕は久しぶりにこの戯曲を上演する喜びに満ち溢れています。


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この写真は、僕の故郷、京都の円山公園の枝垂桜です。

僕はこのサクラを世界で一番愛しています。

このサクラだけが僕にとっての唯一のサクラです。

追悼公演『桜の園』の上演が決まった春、僕は久しぶりにこの木を眺めに帰郷しました。

この木はもう寿命を迎えていて、花を咲かせないという人もたくさんいる中で、それでも毎年、なぜか花をつけているのです。あの日、僕はこれを眺めながら泣きました。人目も憚らず泣きました。

桜はいつも、命について考えさせてくれます。


今日、偶然友人のインスタグラムにこの写真が載っていたので送ってもらいました。

『桜の園』の直前に、こんなにもタイミングよくこの木を見かけるとは思わなかったのです。

演劇集団アクト青山の船出は、追悼公演『桜の園』でした。

だとしたら、今回の『桜の園』はまた何かの船出なのです。

その運命に追いまくられるように、僕は今日の稽古を見ました。


春のせいでしょう。

僕のセンチメンタルは爆発寸前なのです。

だから、

一人でも多くのお客様に、この舞台を観て頂きたいのです。

ここから、彼らの、長く苦しい演劇生活は始まり、あるいは終止符を打つのです。

人生の普遍のテーマです。


長くなりましたが。

皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。





僕にとっての『   』が、彼らの舞台の成功に彩られるように。


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