毎日を生きる事に必死で、聞こえなかった声、見逃したチャンス、本当はいつも隣にあった幸せ。
早送りで流れ去った時間を巻き戻す事は出来ないけれど
一度特急を降りて各駅停車に乗り換える事は出来る。
貴方が、本気でその気になれば、いつでも。
スピードダウンした貴方の旅からは、見えていなかった幾つもの景色が、その疲弊した心に気付きを残していく。
降り積もった雪が凍っても、暖かな日差しが時間をかけて確実に溶かしていくように、貴方の凍てついた執着も、柔らかな気付きで溶けていく。
その雫には貴方が流してきた沢山の悲しみと悔しさが強い光を放っている。
だけど、ポタッポタッと小さな音を奏でながら大地に還っていく。
その瞬間を見届けた貴方は、今日から自分こそが自分自身を縛りつけていた事に気付き、自由の身となっていく。
そして怖いもの知らずで何でもできた昔を懐かしむ以上に、あの頃は気づけなかった本当の豊かさを見つける力が、今の貴方には時間と共に強化されて備わっている事を知る。
だって、遠い昔に気づけただろうか。
まず、貴方自身が何よりの資産である事に。
競争、正義、ジャッジ。
そんなものは一つも要らなくて。
ただ、速度を落とすだけで見えてくる沢山の景色。天は、それを貴方に見せたくて今日も知らせてくれている。