前回のブログから、またずいぶんと間が空いているので、
とりあえず近況から。
太り過ぎで、突然、右目が見えなくなりました。
【網膜静脈閉塞症+黄斑浮腫】
という病気らしく、目の中の血管が詰まったらしいです。
今はだいぶ見えてますけど、視野の一部分は全然見えてません。
というのも、
新聞を読んでたら、真ん中あたりの文字だけチカチカと点滅してるので、
あれっ?
っと思って、片目をつぶってみたら、右目の視野の真ん中だけ、磨りガラスのようにボヤケて見えない部分がある。
「ドライアイかな? それともオガクズが目に入って角膜を傷つけたかな?」といって目薬をつけてみたものの、一向に良くならない。
それでも病院嫌いの私は「たぶん角膜か網膜の異常じゃないかな、目を動かすとぼやける部分が移動するから、脳じゃないね」と楽観視していたものの、
「なんか悪い予感がするから、ちゃんと調べてよ」と妻。
無理やり近所の眼科に連れてかれたところ、
「網膜の血管が詰まって、血が溜まっています。健康診断で何も言われてません?高血圧とか高脂血症とか」
「ん〜。そういえば、最近、また2キロくらい太りました」
「こう言っては何ですけど、目で良かったですよね。先に脳や心臓の血管が詰まらなくて」
「ほっておいたら見えるようになるんですか?」
「そのままだと視力低下していって失明しますんで、できるだけ早急に施術してもらってください。ここでは目に注射をうてないので、他の病院を紹介しますけど、車を運転していったらダメですよ。」
「はああ、そうですか、、、」
ちょっと大きめの眼科に行ったら、おなじ治療の人が10人くらいいて、なんだそういうものなのかと一安心。
《眼球に注射》っていうと、いかにも恐ろしいんですが、実際には全然痛くなくて、5分ほどで終了。
プツンって感触が、イクラを歯でつぶした時のような感じで気持ち悪いですけどね。
しかし、この話が本当に怖いのはここからです。
この注射ってのが、なんと1本 45000円。
保健が効いても、この値段。いや〜それは高すぎるだろう。
しかも、1回じゃダメで、1ヶ月おきに半年間打ち続けることもあるという、、、。アイタタタタ。
そこにダメ押しするかのように女医さんの一言。
「時間がかかりますが、根気強くがんばって直していきましょうね。」
恐ろしいでしょ〜? 痛いでしょ〜?
そりゃもう一気に血の気が引くほどの恐怖体験でしたよ〜。
網膜静脈閉塞症というのは、高齢者がかかりやすい病気らしいのですが、40歳代では珍しく、発症率は0.2%ほど。
注射とレーザー治療によって視力は回復するものの、根本原因が高脂血症なので、体質改善をしないことには再発の可能性があるとのこと。
そうなると脳梗塞や心筋梗塞の危険性が高くなってくるので、人間ドックを勧められました。
そんなには太っていないと思うんですけどねぇ。
まあ、体重計も最近は液晶画面の端に、【やや肥満】というお節介かつ、かなり失礼なメッセージを発してましたからね。
もともとがすごく痩せていたものだから、脂肪吸収しづらくて血液中のコレステロール量が上がりやすい体質なのかもしれません。サーフィンをしなくなったことにより、運動量が激減して、筋肉がぜんぶ脂肪にかわってしまいましたしね。
と、ここまでが長い前置きではありますが、
私がどうしてもどんぐり拾いに出掛けなければならなかった理由であります。
広々とした公園をウォーキングでもして、体脂肪率を下げようという魂胆です。
というわけで来てみたのが、
都会のオアシス 《新宿御苑》
それにしても雲行きがあやしいなあ。
残念なおデブちゃんの運命を暗示するがごとく、どんよりと雲が立ち込めています。
三浦半島の自然の中に暮らしているのに
なんでわざわざ新宿まで、どんぐりを拾いに行くのか意味不明ですが、
妻によると、珍しい種類のどんぐりが拾えるとのこと。
というのも、この新宿御苑。
もともとは《新宿植物御苑》といって、世界の植物を集めた大植物園で、
戦時中には御苑内の温室で野菜や果物を栽培し、宮中の食料をまかなう役割をしていたとのこと。
知らんかったー。それにしても敷地が広大すぎて家庭菜園って規模じゃないよなー。
入るには入場料が500円かかるんですけど、そのおかげで観光客も少なく、
都心、それも超高層ビル群のど真ん中とは思えないほど、静かでリラックスできる空間が広がっているんです。
しかしまあ、温室に入った途端に、ほんとに別世界。
ジュラシックパークというかロストワールドというか。
この体験、この贅沢さ、みんなに知ってほしい。
だけど、来ないでほしい。うるさくなると台無しだから。
ガラス張りの大温室のなかには南国の花が咲き乱れ、トロピカルフルーツがたわわに実る。
栽培されている植物はそれぞれ、《人の生活に役立ってきた植物》、《小笠原諸島の固有種》、《希少な樹上性ラン植物》などエリア分けされており、世界の気候帯とそれに適応した植物の多様性を巡るテーマパークのようになっています。
おーっ!
マホガニーの木ってはじめて見ました。紫檀や黒檀もあります。
家具とかに使うからもっと大木なんだと思っていましたけど、イメージと違うなあ。
日本もかなり熱帯化してきたので、これからはコーヒーやマホガニーとかの広葉樹を植樹したらいいんじゃないでしょうか?
植物の種類の豊富さも驚きなのですが、その植栽の方法が実に見事で、
パリ万国博覧会の温室を彷彿とさせるような、博物学的なアカデミックさはもちろん、
日本庭園のような遠近や高低差を利用した錯視効果が配されていて、
順路をぐるっと一回りすると、まるで世界を一周したような気分になるのです。
総天然色の植物図鑑の中を旅した気分っていうほうが正しいかな?
アトラクション感覚で楽しめる、大規模で密度の濃い植物園としては、
《東京ディズニーランド・ディズニーシー》が最高峰だと思っていましたが、
それを超える素晴らしさです。しかもたったの500円。
いやー、みんなに知ってほしい。 いや、来ないでほしい。 混むと荒れるから。
おっと、そうだった。どんぐりを拾いに来たんだっけ。
まあー、とにかく広いんですわ。
御苑の中で《シダーローズ》という変わった松ぼっくりが拾えるという情報をつかんでいるのですが、
どれがその木なのか全然わからない。
もしかしたら拾える時期じゃないのかもしれないし、誰かにすでに取られているのかもしれない。
ひたすら、ひたすら、歩いて探しているんですが、
血糖値が下がり、中性脂肪がゴリゴリと消費されていくばかりで、全然見つからない。
それとともに最近、めっきり弱ってきた膝と足首の軟骨もゴリゴリと削られていく。
なんだかすごく辛いなあ。
あっ!!!
コレじゃね。
これ、シダーローズじゃね?
ついに見つけました。
薔薇の形をした松ぼっくり《シダーローズ》です。
どの木がどこに生えているのか、入口で配られているガイドマップに載っていればいいんですが、
見つけるまでに1時間かかってしまいました。
調べてみると、どうやら、シダーローズという名前の木があるわけじゃなくて、
《ヒマラヤスギ》《アトラスシーダー》の松ぼっくりのことを通称シダーローズと呼ぶらしい。
えっ?ヒマラヤスギって
入ってすぐのところにあった、でっかい松ぼっくりの木じゃん。
そんなの落ちていなかったけどなあ、と思ったら、
実が成熟するにつれて松ぼっくりが端からバラバラと崩れてゆき、
最後まで枝に残った部分が薔薇の形になるんだとか。
なるほど、どうりで探しても見つからないわけだ。
もう一つ、お目当てのどんぐりがあって、こちらはガイドマップに書いてありました。
《シリブカガシ》
日本に自生するマテバシイ属2種(シリブカガシ、マテバシイ)のうちの1つです。
なんでおなじ属なのに、こちらが樫(カシ)で、もうひとつが椎(シイ)なのかは不明ですが、
お尻のところが深くえぐれているので、シリブカガシだという。
なるほどー。
疲れすぎて、なるほどー、しか感想がでない。
これのために歩いたのかー。
取ってきたどんぐりは標本箱へ。
だいぶ種類が増えてきたぞ。
ちなみに左上のいちばん大きいのが西表島の《オキナワウラジロガシ》です。
新宿御苑でとれる木の実を1つの標本箱にまとめてみました。
こうすればどこで何が拾えるのか、一目瞭然。
こんな分類の仕方もあるんですよー。
やっぱり博物学って楽しいなあ。