人生初の衝撃を受けた本

『白い人 黄色い人』の作者、
遠藤周作『深い河』を20年ぶりに読み返した。


1995年に映画化され
母に誘われて映画を見に行ったのが
この本との最初の出会いだった。

その数年後に原作を読んで以来、
今でも時々、その内容や衝撃を
思い出す本は他にない。

人間の弱さや愛、生きることの虚しさ、
死生観。
それがとても静謐な文体で
抽象的な表現ではなく
具体的な出来事が明確に描かれているので
とてもわかりやすい。

キリスト教の神父を目指す、不器用で気の弱い
主人公が、苦悩の果てに、
どの宗教にも神は存在する、宗教間に優劣はない
んだという考えで教会の組織から破門され、
最終的に、ガンジス川で、ヒンズー教の僧侶たちと行き倒れの人たちを助ける毎日を送り、、
衝撃のラストへ。

という彼の人生が中心に描かれ、
ガンジス川へ日本からツアーに行く
4人の登場人物の死生観も描かれている。
(そのツアーには、主人公に過去、
影響を与えた女性も含まれていて、
その彼女との対話も興味深い)

川端康成、芥川龍之介、夏目漱石など
好きな作家は何人かいるけど、
遠藤周作ほど、衝撃が強い作家はいない。
描いている世界のスケールが違う気がする。
宇宙的というか。
神の目線というか。 

日本人にも、今の時代だからこそ、
読んでもらいたいと思うし、
海外の人にも読んでもらって是非
感想を聞きたい。