以前イヤーパッド交換で記事にしたサウンドハウス(クラッシックプロ)のCPH3000をその後も使っています。より高級なヘッドホンと比べると高域の解像度こそ劣るものの値段の割には良い音で気軽に使えるので利用頻度が高く、だんだんくたびれてきました。2017年に購入しているので7年ほど使っていることになります。

ヘッドバンドの汚れがだいぶ目立ちます。人前に出すのがちょいとはばかられるレベルです。



プラグの付け根のケーブルが伸びて断線しそうなのでテープで保護しながら使っています。


もともと安価な製品です。気に入っているので同じ製品をまた買っても良いのですが、ドライバーユニットが元気なので使えるのに捨てるのも忍びない。

■ヘッドバンドを洗ってみた
イヤーパッドの時と同様に元ネタの〇ンハイザーのヘッドホン用の部品が使えないかな?と思ったのですがヘッドバンド部分は形が違っていて駄目そう。そもそも交換部品に2千円以上出すようなら新品のCPH3000を買います。まずは洗ってみることにしました。ヘッドバンドの革部分は外側から見えるL/R表記のプレートの裏側にある左右2本ずつ計4本の小ねじでメタルバンドに固定されていますのでまずこれを外します。このネジ回した記憶がまったく無いけど何故か最初からナメています。組み立てに使っている電動ドライバーのビットが#0番ではなくPH0なんじゃなかろうか?


ワッシャー付きでプレートに止まっていますのでプレートも外れます。



そのままでは革バンドが抜けないのでR側のハウジングを外します。スライダーの部品はクラッシックプロのロゴがある丸い円盤の下にパターンカッターの刃先を入れてぐるりと回すと外れました(接着剤で止めてあるだけ)。


中に小ねじ2本があるので外すと分解できます。この部分は再組立て時にネジを強く締めつけると割れる可能性があります。締め具合を調整しようとして触る場合は注意してください。


イヤーパッドを外してフェルトのシールを外し、小ねじ4本を抜きバッフル板を取り外してハウジングを分解します。



予想と異なりドライバーユニット(振動板)の裏側がハウジング内に露出しておらず、バックプレート状の黒いプラスチックでバッフル板と一体化したケースに収まっています。本家の〇ンハイザーもこういう構造になっているのでしょうか?


小さな基板(写真は右側基板ですが基板自体は左右共通)からはんだ付けを外してケーブルをハウジングの穴から引き抜きます。これで革バンドがメタルバンドから引き抜けました。



ヘッドバンドの革部分は外側が本革で内側はスウェード調のボア素材です。本革部分は汚れてはいるもののわりと頑丈そう。スウェード調素材の内側にクッション材が入っているようです。触った感じではまだまだいけそう?


人間の皮脂を分解する能力に優れていると思われる洗濯用の液体洗剤をぬるま湯に溶かし、ヘッドバンドを洗います。染料が溶け出してお湯が青くなりました。


すすぎながらゆるゆると洗っているうちに内側のボア部分が剥がれて禿げ部分ができるかなという気配があり引き揚げて水気を取って乾燥させました。



全体に色が褪せたものの黒っぽい汚れはだいぶ取れました。本革部分はやわらかめの歯ブラシで端のほうを洗えばもっと綺麗になったと思う。


ボア部分は乾くと毛羽立ちが回復しましたが、やや荒れてしまいました。


乾燥したら針金をヘッドバンド内に通します。(後述しますが)このバンドは多層構造になっていて、クッション材の真ん中にケーブルを通す溝がありますのでそこを通します。


針金の先にケーブルの端をテープでしっかり止めて引き込みます。


しかし、まだいけるかなと思っていたクッション材が洗ったせいなのか経年によるものか固着がぐずぐずで引き込んだケーブルに引き摺られてよれよれになってしまいました。指で戻したけど波打っています。元通りに組んで衛生的には改善したものの見た目はイマイチですね~。



■ジャンク品を入手
ここで思いがけずCPH3000のジャンク品が入手できてしまいました。色が赤で右側音出ずながら外装が綺麗なので送料込み980円なら買いです。


到着したジャンク品の赤いへッドバンド、美品です。内側はもともとそんなに毛羽立っていない。



CPH3000はイヤーパッドが外れやすいのが欠点(一旦外れ癖がつくとすぐ外れるようになる、外れたあと付け直すのが面倒)ですが、バッフル板にスポンジ付きの強力粘着テープ4個が貼られていてイヤーパッドが外れないように対策されていました。メーカーで施されたものか、前ユーザーが自分でやったものなのかわかりません。しかしなるほど確かに外れにくくなっています。


故障原因を探るため分解しました。例のネジの+溝はやっぱりナメています。


左側の基板の配線アップ。基板は右側と同じものですがヘッドバンドを渡るケーブルの配線が増えていてやや複雑です。


故障原因は右側のドライバーユニット不良でした。横にすると鳴るのですが縦にすると鳴りません。バックプレート部分を爪で叩くと音が途切れるので、内部に断線しかかりか接触不良の箇所があるようです。黒いケースのネジを外して分解を試みるも接着剤で固定されていて破壊覚悟で割らないと開けられないのでドライバーユニット自体の修理は断念し、今まで使っていた青色のCPH3000からドライバーユニットを移植しました。外れ対策の両面テープも真似てイヤーパッドも今まで使っていたものを移植。


音質を合わせるため最終的には壊れていない左側のドライバーユニットも青色のCPH3000から移植しましたが、7年使ってどれくらいドライバーがヘタっているのか興味があったので交換前に聴き比べてみました。しかし意外にも私の耳では違いがわかりませんでした(気のせいかな程度)。赤色のほうのドライバーユニットは保守部品としてストックしました。

■ヘッドバンドを分解してみた
実はヘッドバンドの内側のスウェード調部分を合成皮革で貼り替えようかと考えていて革バンドを外した時に型紙を取っていました。この構想はジャンク品が入手できたために未遂に終わりましたが後学のために縫い糸を切って中を調べてみました。


CPH3000のヘッドバンドは外側から内側へ向かって順に、

1.本革バンド
2.メタルバンド
3.セルロイド板(0.5mm厚程度の透明なプラ板)
4.シール付きウレタンクッション材2枚(セルロイド板に貼られていて間にケーブルが通る溝を成す)
5.シール付きウレタンクッション材(4のウレタンクッション2枚の上に蓋状に貼ってある)
6.スウェード調フェイクファー

と6層構造になっていて、洗った後ケーブルを通そうとした時によれよれになったのは5のウレタンクッションで、4のウレタンクッションはセルロイド板にしっかり貼り付いていてズレていませんでした。



革を縫う手間を厭わないのであれば、外側の本革は染めQで塗って流用するか、古くなったズボンのベルトをリサイクルするかして、スウェード調部分はDAISOの合成皮革はぎれ等を使って革バンド部分を作ってしまう事も可能と思います。

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